●鎌田大地の得点は幻となったが…

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第2節が現地13日に行われ、フランクフルトはアウェイでマルセイユに1-0の勝利を収めた。MF鎌田大地とDF長谷部誠は、フランクフルトの一員として先発出場して今大会初勝利に大きく貢献した。2人とも今後はチームにとってさらに重要な存在になっていくかもしれない。(文:舩木渉)

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 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)グループステージ第2節が現地13日に行われ、フランクフルトはマルセイユに1-0で勝利。初戦に敗れた同士の対戦は、アウェイチームに軍配があがった。

 昨季はUEFAヨーロッパリーグ(EL)を制覇するなど大きな功績を残したフランクフルトだったが、今季は序盤から苦戦が続いていた。国内リーグでは開幕から6試合で2勝2分2敗の11位に低迷し、CLもグループステージ初戦でスポルティングCPに0-3という大敗を喫した。

 そんな中で迎えたマルセイユ戦。前半は押し込まれる展開が続いたが、42分にフランクフルトが劣勢を跳ね返して先制に成功する。MFイェスパー・リンドストロムが味方のシュートのこぼれ球に反応し、ダイレクトシュートでゴールネットを揺らした。

 先手を取ったことで主導権を握ったフランクフルトは後半に入ってから、さらにマルセイユを押し返していく。54分にはMF鎌田大地を起点に右サイドへ展開し、チャンスを作った。MFクリスティアン・ヤキッチからのパスは相手DFに当たったが、こぼれ球にリンドストロムが反応してクロスバー直撃のシュートを放った。

 81分には鎌田にもゴールチャンスが。カウンターの流れでFWランダル・コロ・ムアニのスルーパスに抜け出した鎌田が、相手GKとの1対1を制してゴールネットを揺らす。しかし、日本代表MFが直前に最終ラインを破った場面でオフサイドだったことが判明し、追加点は認められなかった。

 最終的にはリンドストロムのゴールが決勝点となってフランクフルトが、CL本戦での初勝利を飾った。クラブ史の新たな1ページとなる勝ち点3をつかむきっかけとなったのは、やはりシステム変更だろう。今季に入ってから主に4-2-3-1を採用して戦っていながら、先に述べた通りなかなか結果が出ていなかった。

●取り戻した「昔からの成功の秘訣」

 そこでオリバー・グラスナー監督は、マルセイユ戦で昨季までの主戦術だった3-4-2-1に戻すことを決断。これまで2列目の左サイドで起用されていた鎌田はダブルボランチの一角に下がり、人数が増えたセンターバックの中央にDF長谷部誠が先発起用された。

 このシステム変更によって押し込まれた際のディフェンスラインの安定感が増し、かつてのようなカウンターの鋭さも取り戻すことができた。残念ながらオフサイドで無効になってしまったが、鎌田がゴールネットを揺らした場面が最たる例だろう。

 地元紙『フランクフルター・ルンシャウ』も「昔からの成功の秘訣」と3バックへのシステム変更を称賛。4バックになってから出場機会が激減していた長谷部も、3バックの中央に入ることによって真価を発揮した。

 試合後に長谷部はクラブ公式サイトで「38歳になってもCLでプレーできることを誇りに思います。ただ、重要なのは個人のパフォーマンスではなく、チームの勝ち点です。いいプレーを発揮して、自分の役割を果たせたので、それ以上に幸せなことはないです」と勝利の喜びを語っていた。

 そして、3バックへの変更によって鎌田も輝いた。4-2-3-1の際は左サイドから中に入ってくるプレーが多くゴール前にも積極的に顔を出せていたが、やはりスタートポジションがアウトサイドでは持ち味が活きづらい。守備時の負担も大きくなってしまう。縦に突破するためのスピードはなく、相手にプレーを読まれやすいという小さな弱みもあった。

 一方、3-4-2-1に戻したマルセイユ戦ではMFマリオ・ゲッツェとリンドストロムが2列目で起用され、鎌田はMFジブリル・ソウとダブルボランチを組んだ。かねてから「6番でも8番でもプレーできる」と語ってきた日本代表MFは、ボランチでもしっかりと持ち味を発揮した。

 様々なスポーツのデータを扱う『FootMob』を参照すると、鎌田はマルセイユ戦でチーム最高のパス成功率「92%」を記録。フランクフルトのボール支配率が39%と苦しい流れの中でも極めて正確にパスを通していたことがわかる。

●マン・オブ・ザ・マッチに輝いたのは…

 守備時は的確なポジショニングで相手ボール保持者の選択肢を限定しながら味方のボール奪取を助け、時には体を張って攻撃を食い止める。そして、攻撃に移ると果敢にゴール前まで飛び出していき、チャンスメイクにも関わった。

 こうした働きぶりが認められ、鎌田はUEFA公式のマン・オブ・ザ・マッチ(この試合で最も活躍した選手に贈られる賞)に選ばれている。攻守にエネルギッシュな姿勢が高く評価されたようだ。

 クラブ公式サイト上では「非常にタフな試合で、僕たちにとって非常に重要な勝利だったと思います。チーム一丸となって戦い、自分たちらしいスタイルで戦えた」という鎌田のコメントが紹介されている。やはり4-2-3-1ではなく、慣れ親しんだ3-4-2-1での戦いに手応えを感じているようだった。

 フランクフルトを率いるグラスナー監督は「今日のようなパフォーマンスを発揮したチームには脱帽だ。予想していた通り激しい戦いになったが、チームは非常に規律が取れていて、選手たちは全く諦めなかった。我々は勝利に値すると思う」と選手たちの奮闘を称えた。

 この流れを踏襲して、今後も昨季と同じ3-4-2-1での戦いを続けていくことになるだろうか。新加入のゲッツェが2列目で中心選手となった今、もし3バックを継続するなら鎌田はボランチ起用が増えるかもしれない。シーズン開幕からゴールを量産していたが、今後は少しゴールから遠い位置でのプレーが増えそうだ。

 また、昨季まで主力だったDFマルティン・ヒンターエッガーが現役を引退した最終ラインでは、ヴォルフスブルク時代以来13年ぶりのCLに挑んでいる長谷部の出番が増えるはず。そうなればフランクフルトの今季の戦いでカギを握るのは、2人の日本人選手と言っていいのではなかろうか。

(文:舩木渉)