明治安田生命J1リーグ第30節が18日に行われ、横浜F・マリノスは北海道コンサドーレ札幌と0-0で引き分けた。

 この試合が始まる直前、札幌はMF深井一希の負傷を発表。15日の練習中に右ひざ前十字靭帯を断裂していたことが明らかとなった。深井にとっては左右合わせてキャリア4度目の前十字靭帯断裂となる。

 一度でも選手生命が脅かされるほど大怪我を何度も乗り越え、その度に復活を遂げてきた深井に再び試練が襲いかかってきた。クラブ生え抜きの中心選手が長期離脱することとなり、日産スタジアムのアウェイ側ゴール裏スタンドには「深井へ勝利を届けよう」と書かれた横断幕も掲げられた。

 試合後には札幌の選手たちが深井の背番号「8」のユニフォームを着用し、ファン・サポーターから「深井!」コールも。“不屈の男”へ、精一杯のエールを送った。そして、対戦相手だったマリノスのDF松原健も世代別代表時代から知る戦友への思いを語った。

 深井と松原は2011年にサッカーU-18日本代表としてAFC U-19選手権予選などに揃って出場。当時、2歳下の深井は飛び級でU-18日本代表に選ばれており、将来を嘱望されるタレントとして高く評価されていた。

 松原は「何と言えばいいか……簡単な言葉ではちょっと表せない。彼が一番、悔しいと思っている。僕も彼がすごくいい選手というのを知っているので、悔しいという言い方が正しいかな……」と、時折言葉を詰まらせながら、10年以上前から知る深井に思いを寄せた。

 そして「一希が(宮市)亮が怪我した時にエールを送ってくれたのは僕も見ていましたし、同じ怪我をした人たちの気持ちをわかってくれる、すごく心優しい選手」と続ける。

 マリノスのFW宮市亮が7月下旬の日本代表戦で右ひざ前十字靭帯を断裂した際、深井は直後のJリーグでの試合後にメディアを通して「宮市くんを僕のプレーで励ましたかった」とコメントしていた。

 これから長く苦しいリハビリの日々が待っている。左右通算で4度目の前十字靭帯断裂から復帰し、元どおりのパフォーマンスを取り戻すには並大抵ではない努力が必要になる。これまで3度にわたって大怪我を乗り越えてきた深井は、復帰までの道のりがどれだけ困難に満ちているかを誰よりも深く理解しているだろう。だからこそ「頑張れと言うのもおかしい」と松原は語る。

「長い時間はかかると思いますけど、ピッチでまた会えるように。僕も精一杯頑張って、一希とまた一緒にピッチで戦えることを楽しみにしていたいなと思います」

 深井が戦列に復帰できるのは来季になるだろう。元気に復活を遂げた札幌の“不屈の男”が、松原とピッチ上で再会し、お互いに全力を出し切って戦える日がくることを祈るばかりだ。誰もが赤黒軍団を象徴する背番号8の完全復活を心待ちにしている。

(取材・文:舩木渉)