●アーセナルがホームで3-0の快勝

 UEFAヨーロッパリーグ(EL)グループリーグ第3節、アーセナル対ボデ/グリムトが現地時間6日に行われ、3-0でホームチームが勝利している。第1節チューリッヒ戦以来のスタメン出場を飾った日本代表DF冨安健洋は高評価を得た一方で、レギュラー奪取に向けては課題を見せている。(文:安洋一郎)

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 第2節PSVが、エリザベス二世の国葬に伴い延期となっており、今節はアーセナルからすると約1ヶ月ぶりのUEFAヨーロッパリーグ(EL)での試合となった。

 対戦相手のボデ/グリムトを率いるヒェティル・クヌートセンは、グレアム・ポッターをチェルシーに引き抜かれたブライトンが最後まで後任にリストアップしていた評価の高い指揮官であり、アーセナル相手でもポゼッションを重視し、最終ラインから繋ぐサッカーを徹底していた。実際にポゼッション率では、ボデ/グリムトが51%と上回っている。

 前半はアーセナルの強度が高く、ハイプレスから高い位置でボールを引っかけてショートカウンターを発動させるなど主導権を握り、先発に抜擢されたエディ・エンケティアとロブ・ホールディングの2人がゴールを決めて2-0で前半を折り返した。

 しかし、後半になるとアーセナルの集中力が低下したのか、プレスの寄せの甘さが目立つようになり、流れはボデ/グリムトへ。指揮官ミケル・アルテタはこの悪い流れを脱却すべく、59分にガブリエウ・ジェズスやマルティン・ウーデゴール、ブカヨ・サカといった主力級の選手を投入した。結果的にこの采配が功を奏し、ジェズスの個人技からファビオ・ヴィエイラのゴールが生まれて3-0の快勝を収めた。

 その中で今季2度目の先発出場を果たした冨安のパフォーマンスはどうだったのだろうか。

●圧巻だった一対一の守備

 今節の冨安は守備における対応が抜群だった。出足の鋭さを生かしたインターセプトからカウンターの起点となったり、一度相手選手に後ろを取られても上手く身体を入れてボールを奪い切ったりするなどDFとしての能力の高さを発揮した。

 一対一における守備対応の上手さはデータにも表れており、データサイト『Sofa Score』によると地上戦勝利数は6戦5勝と圧巻のスタッツを残した。

 70分過ぎからは先発のキーラン・ティアニーに代わって左SBのポジションに入るなどユーティリティな部分でもアピールに成功している。

地元メディア『football.london』では、ゴールを記録したファビオ・ヴィエイラやホールディング同様にチーム2位となる10段階中8の評価となっており、「いつでも(レギュラーの)ベン・ホワイトに代わる準備ができている」と称賛している。

しかし、現時点の状況を踏まえると、ホワイトからポジションを奪取する難易度はかなり高いだろう。

●冨安健洋がライバルよりも劣っているポイントとは?

 守備が完璧だった一方で、攻撃における貢献度の低さは今節も課題として残った。昨季多くの試合で、右サイドでコンビを組んでいたブカヨ・サカが先発メンバーから外れ、今季加入のマルキーニョスと縦関係の連係を築いたこともあり、意思疎通が合わないことが多かった。

 マルキーニョスは自分に相手選手が食いつき、その大外を冨安がフリーでオーバーラップをしているのにも関わらずドリブルで仕掛けるなど、状況判断の甘さが目についた。

 しかし、冨安も常に効果的なフリーランができていたわけではない。69分には右サイドでボールを受けたエンケティアが大外の冨安にパスを出したかったタイミングで、オーバーラップを仕掛ける判断が遅れるシーンもあった。

 味方との連係不足、個人の状況判断ミスもあって、データサイト『Sofa Score』によると冨安はこの試合で1本もクロスを記録することはなかった。

 それに対し、右SBのレギュラーを務めるホワイトは攻撃参加するタイミングが抜群で、攻撃的なサッカーで常に主導権を握りたい現在のアーセナルの戦術には彼の方がフィットしているというのが現状だ。

 現在チームは絶好調ということもあり、今節のようにターンオーバーをしない限りはホワイト、ウィリアン・サリバ、ガブリエウ・マガリャンイス、オレクサンドル・ジンチェンコ(キーラン・ティアニー)の4バックを変えることはないだろう。ただ、その中で誰かしらが負傷した場合は冨安に出番が与えられる可能性が高く、再びレギュラーに向けてアピールする場が訪れるはずだ。その日に向けて少しでも弱点を克服しておきたい。

(文:安洋一郎)