●試合の流れを変えた選手交代と配置転換

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージ第6節が現地1日に行われ、アウェイに乗り込んだアイントラハト・フランクフルトはスポルティングCPに2-1の逆転勝利を収めた。この結果によりフランクフルトはクラブ史上初のCL決勝トーナメント進出が確定。立役者となったのは鎌田大地だった。(文:舩木渉)

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 鎌田大地が止まらない。

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージ第6節が現地1日に行われ、アイントラハト・フランクフルトはスポルティングCPに2-1で勝利を収めた。

 この試合で勝ち点3を積み上げたフランクフルトは、クラブ史上初のCL決勝トーナメント進出を果たしている。スポルティングCPに先制される展開で、逆転勝利の立役者となったのが鎌田だった。

 ともに2位以内でのグループステージを突破がかかっており、前半は慎重な立ち上がりになった。両チームともビッグチャンスが少なく、リスクを最小限に抑えながら様子をうかがう時間が続く。

 そんな中でスポルティングCPは先制に成功した。39分、フランクフルト陣内でボールを奪ってショートカウンターを繰り出し、FWアルトゥール・ゴメスがゴールネットを揺らす。失点したフランクフルトは決勝トーナメントへ進むために2点が必要になった。

 しかし、前半はなかなかプレスがはまらず、効果的な攻撃ができないまま終了。鎌田は3-4-2-1のダブルボランチの一角で出場していたものの、前線へ効果的なパスを配球できず、いつものようにゴール前へ飛び出していく機会も少なかった。

 それでもフランクフルトは後半にスコアをひっくり返した。鍵になったのは、やはり鎌田だった。オリバー・グラスナー監督はハーフタイム明けに最初の交代カードを切り、MFイェスパー・ランドストラムを下げてMFセバスティアン・ローデを投入する。

●日本人初のCL3試合連続ゴール

 キャプテンマークを巻いたローデがボランチに入ると、鎌田の立ち位置は1列上がり、MFマリオ・ゲッツェと2シャドーを形成することになった。この采配が功を奏し、フランクフルトはスポルティングCPを徐々に押し返していく。

 ボールホルダーに対するプレッシングの連動が高まり、ローデの存在によって強度も向上した。前半よりもボールを奪う位置が高くなり、鎌田やゲッツェがよりゴールに近い場所でプレーに関与できるようになる。

 そして60分、ついに反撃が実る。ゴール前で鎌田と浮き球を競り合ったスポルティングCPのDFセバスティアン・コアテスがハンドを犯し、主審はフランクフルトにPKを与える。これを鎌田がGKアントニオ・アダンの逆を突くひと振りでゴール右に沈め、同点に追いついた。

 試合前にカタールワールドカップに出場するサッカー日本代表メンバー選出が発表されていた26歳のMFは、第4節のトッテナム・ホットスパー戦、第5節のマルセイユ戦に続いて、日本人初のCL3試合連続ゴールを達成した。

 これで勢いに乗るフランクフルトは、72分にFWランダル・コロ・ムアニが豪快なボレーシュートを突き刺して一気に逆転。終盤は必死に食い下がるスポルティングCPをあざ笑うかのようにボールを保持して試合を締め、逃げ切りに成功した。

 前半の劣勢を鎌田のポジション変更で覆し、鎌田が絡んだプレーでPKを獲得、そして鎌田のゴールでクラブ史上初の決勝トーナメント進出への望みをつないだ。この試合のピッチ上で勝敗を分けた最も大きな鍵は、誰がどう見ても鎌田だったと言えるのではないだろうか。

 一方のスポルティングCPにとっては、守田の不在が大きく響いている。CLグループステージ第5節のトッテナム戦で左ふくらはぎを痛めた日本代表MFは、その後の国内リーグとフランクフルト戦を連続で欠場。中盤の人材不足によりバランスを欠いたチームは2連敗を喫し、CLからも姿を消すことになってしまった。

●高まり続ける鎌田大地への評価

 鎌田も守田もCLの舞台で評価を高めてきたが、特に大きく躍進を遂げているのが鎌田だろう。今季は国内リーグで11試合出場7得点3アシスト、CLで6試合出場3得点、国内カップ戦で2試合出場2得点と、結果を残し続けている。レアル・マドリードと対戦したUEFAスーパーカップも含めると、公式戦20試合出場で12得点3アシストという驚異的な成績だ。

 2列目のシャドーに入った際にチャンスメイクとフィニッシュに数多く絡めるのはもちろん、3列目のボランチで起用されても相方に中盤のリスク管理を任せながら積極的にゴール前へ進出する。複数ポジションを柔軟にこなす鎌田の万能性とチーム内の役割分担、そして周囲からの鎌田に対する信頼といった全ての歯車が噛み合ってこそのパフォーマンスと言えよう。

 ピッチ上での目を見張る好調ぶりに対して、外部からの評価もうなぎ上りだ。独『キッカー』誌の採点では、平均点がブンデスリーガ1部の全フィールドプレーヤーの中で単独1位となっている。さらに、スペインの強豪セビージャやイタリア王者ミランなど、名門クラブからの関心が伝えられる機会も増えてきた。

 スポルティングCP戦でPKを蹴る際にはスタンドの相手サポーターからレーザーポインターの光を浴びせられたが、鎌田は全く動じることなく、ニヤリと笑みすら浮かべた。こうしたメンタル面の強靭さも大舞台での活躍を後押ししているに違いない。

 フランクフルトで戦術・戦略上のキーマンとなって絶好調の鎌田は、カタールワールドカップでもチームの柱の1人として日本代表を高みに導いてくれるはず。スポルティングCP戦でのパフォーマンスによって、大きな期待は確信へと変わった。

(文:舩木渉)


・結果