●セルティック、未勝利のままCL敗退

 UEFAチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージ第6節が現地2日に行われ、セルティックはレアル・マドリードに1-5で敗れた。すでにグループ最下位での敗退が決まっていたスコットランド王者だが、改めてCLの厳しさを突きつけられる結果となった。(文:舩木渉)

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 セルティックが5年ぶりに挑んだUEFAチャンピオンズリーグ(CL)のグループステージの戦いが終わった。

 前節終了時点でグループ最下位での敗退が決まっており、現地2日に行われた第6節のレアル・マドリード戦も1-5の大敗。最終成績は2分4敗、勝ち点2は全出場クラブの中で3番目に少なく、CLという舞台の厳しさを突きつけられる結果となった。

 今月1日にサッカー日本代表メンバーが発表され、セルティックからはFW前田大然がカタールワールドカップ出場の権利をつかんだ。一方、森保ジャパンへの招集歴があるFW古橋亨梧やMF旗手怜央は選出されず、「なぜ?」という疑問の声も聞かれた。

 カタール行きの切符を逃した彼らが悔しさをバネに発奮し、マドリー戦で森保一監督を後悔させるようなパフォーマンスを見せてくれるのではないか。マドリーの選手やサンティアゴ・ベルナベウに集まった5万人を驚かせるようなプレーを披露できれば、実力の証明となり、セルティックの今大会初勝利にもつながるのではないかと思っていた。

 しかし、現実はそう甘くなかった。チームで見ても、選手個々を見ても相手との間には歴然たる力量差があり、それはスコアにもはっきりと表れた。

 試合の立ち上がりは悪くなかった。開始2分に前田が相手のバックパスにプレスをかけ、ベルギー代表GKティボ・クルトワのクリアをカット。あわやゴールという場面を作り出したものの、以降はマドリーの一方的な攻勢となり、セルティックは防戦一方となる。

 そして、5分と20分にペナルティエリア内でのハンドを取られ、セルティックは2本のPKを献上。MFルカ・モドリッチとFWロドリゴにしっかり決められ、早い時間に2点のビハインドを背負うことになってしまった。

 14分には旗手、前田、古橋の3人が絡んだショートカウンターで相手ゴールに迫ったものの、古橋のシュートはクルトワの壁を破ることができず。数少ないセルティックのチャンスシーンは、ことごとくベルギー代表守護神に止められてしまった。

 最たる例が、35分の場面だろう。33分にFWリエル・アバダがマドリーのDFフェルラン・メンディのファウルを誘ってPKを獲得したが、DFヨシップ・ユラノヴィッチが蹴ったシュートはクルトワの完璧なセーブに止められてしまった。

●圧倒的だったレアル・マドリードのクオリティ

 もし古橋らにマドリー戦で局面を打開できる個のクオリティがあれば、森保監督も迷わずカタールワールドカップ出場メンバーに選んでいたはず。現時点でそれはまだなかった。むしろ日本代表がカタールの地で対戦する可能性のある国の選手たちに、個の力の差を突きつけられた。

 51分、スペイン代表DFダニ・カルバハルが右サイドの深い位置からスライディングでマイナス方向へクロスを上げると、スペイン代表FWマルコ・アセンシオがダイレクトシュートを放つ。利き足と逆の右足で繊細にコントロールされた一発がマドリーに3点目をもたらした。

 続く61分にはウルグアイ代表MFフェデリコ・バルベルデが右サイドから低い弾道の高速クロスを送ると、ニアサイドに詰めていたブラジル代表FWヴィニシウス・ジュニオールがGKとDFに寄せられながら鼻先でワンタッチシュート。マドリーはリードを4点に広げた。

 さらに10分後の71分、途中出場のスペイン代表DFルカス・バスケスが右サイドからマイナス気味にクロスを上げると、やや低めの位置で待っていたバルベルデが右足で合わせる。豪快なワンタッチでのミドルシュートをセルティックのゴール左隅に突き刺し、ダメ押しの5点目を奪った。

 マドリーに翻弄……いや、蹂躙されたセルティックは、自慢のハイプレスが機能不全に陥っていた。相手のボールホルダーに寄せても、それよりも早い判断で次々にパスを通され、プレスが全く追いつかない。

 前回大会王者の選手たちは激しく寄せられても、まるでプレッシャーを感じていないようなプレーでひらりひらりとかわしていく。時間とスペースを奪われる中、極めて正確な判断を高速で実行し続け、そのうえ正確性を損なうことがない。ここぞの場面で発揮する最大出力は、ゴールに直結するエネルギーを生み出す。

 セルティックの選手の中で唯一、光るものを見せたのは途中出場のFWジョタだった。前田との交代で62分からピッチに立ち、84分に直接フリーキックを沈めた。右脚のひと振りでクルトワの守るゴールを破った23歳は、A代表未招集ながら55人の予備登録リストに入っており、カタールワールドカップに向けて滑り込みでのポルトガル代表選出に近づいているとも言われる。スコットランドでプレーしていながら、A代表レベルで高く評価される理由を自らのプレーで証明した。

 結局のところ、セルティックはチームとしても個のクオリティでも、CLの舞台で決勝トーナメント進出を争うレベルに届いていなかった。それは前田や古橋、旗手といった日本人選手たちも例外ではない。

●ポステコグルー監督のCL総括とは

 今季のCLでグループステージを突破した日本人選手は、アイントラハト・フランクフルトに所属するMF鎌田大地とDF長谷部誠だけだ。代表引退を表明している長谷部は別として、今の日本代表における鎌田の立ち位置と、セルティック勢3人の立場の違いは、日頃のプレー環境や競争のレベルともリンクしている部分があると言えるだろう。

 セルティックを率いるアンジェ・ポステコグルー監督は「我々の選手たちに、これ以上何も求めることはできない。彼らはできることをやった」とマドリー戦を総括した。

 大量リードの終盤の時間帯を、マドリーは負傷から復帰したばかりの選手たちの試運転に使った。今季の公式戦出場が全くなかった選手も起用したし、両センターバックを入れ替えるという大胆な交代も実践した。セルティックは負けるべくして負けた。それが現実である。

 もしかすると10回戦って1回は勝てるかもしれないが、そんなラッキーパンチはマドリー相手にはほぼ通用しない。ホームでは0-3、アウェイでも1-5と敗れた事実が、両者の間にあるギャップの大きさをよく表している。

 ポステコグルー監督は自身初の大舞台での6試合を終えて「CLのレベルに関して学んだことは、毎年本戦に出場して、毎年強くなる必要があるということだ」と総括した。やはり5年ぶりのグループステージ出場で決勝トーナメントに進めるほど、CLは甘くない。

 セルティックはグループステージ最下位で敗退となったため、UEFAヨーロッパリーグ(EL)に回ることもできない。今季の残りは全て国内での試合になり、まずはリーグ連覇と来季のCL出場権獲得を目指すことになる。

 欧州最高峰の戦いの中でリアルな「差」を突きつけられた日本人選手たちは、それをいかにして今後の成長につなげていくだろうか。与えられた環境の中で試行錯誤を続け、どのように進む道を見つけていくか注目していきたい。

(文:舩木渉)


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