●下位へ沈んでいった京都サンガ

来季のJ1でのプレーをかけて、京都サンガとロアッソ熊本が13日にJ1参入プレーオフ決定戦で対戦する。久々にJ1に昇格したものの、16位に沈んだ京都と、J3からJ1へ一気に駆け上がろうとする熊本。対照的な両チームの一戦は、どのような試合になるのだろうか。(取材・文:ショーン・キャロル)
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 森保一監督が26人の日本代表メンバーを発表し、ワールドカップへの関心が高まっているが、2022年のJ1シーズンはまだ終わっていない。今週末には来年の日本のトップリーグでどちらがプレーするのかを決めるために、京都サンガとロアッソ熊本が対決する。

 ヴィッセル神戸やガンバ大阪のような強豪が降格(あるいは少なくともプレーオフ)という屈辱を味わうかと思いきや、シーズン中盤には9位まで上がっていたサンガが、直近15試合でわずか2勝しかできずに16位へと静かに沈んでいったのである。

 レギュラーシーズン最後に0-0で引き分けた2試合は、運動量豊富でソリッドな守備、ハードワークといった曺貴裁監督の特徴をあらわすものだった。サンガはシーズンを通して2連敗以上はしなかったものの、8回しか勝利することができなかったのである。

 守備の堅さでは、京都はJ1でアビスパ福岡と並んで3番目に優れたディフェンスで、失点はわずか38。8試合のクリーンシート(無失点)に加え、度重なるビックセーブでチームを救ってきた上福元直人が年間ベスト11に選出されなかったのは少し不運だったように思う。

 一方でチームは得点の脅威を明確に欠いていた。今季9得点を記録したベテランのピーター・ウタカは5月3日までに8ゴール目を挙げたが、それ以降でサンガは16回しかネットを揺らすことができず。チーム得点数は30ゴールで、名古屋グランパスと並んでリーグワースト2位という結果に終わってしまったのだ。ウタカに次ぐ得点王が武富孝介で、わずか3得点しか挙げられなかったことが、得点力という部分における彼らの貧弱さを最もよく表している。

●「継続」でJ2を突き進むロアッソ熊本

 実際、サンガが無得点に終わった試合は12試合にも上る。そのうちの2試合、最後のセレッソ大阪戦とジュビロ磐田戦で1点でも決めていればJ1残留がほぼ確定していた。

「監督として、プレーオフに参加するのは初めてです」と、シーズン最終節の膠着状態に陥ったジュビロとの試合の後、曺監督は語った。

「腰が引けた戦いではなく、今日以上の戦いができるようにしたい。今日は少し固さが見られました。そういうことも含めて、選手たちが次へ向かっていける状況を作っていきたい」

 一方、ロアッソもここ2試合も引き分けているが、Jリーグの奇妙なプレーオフ方式のおかげで、大分トリニータとモンテディオ山形を下して日曜日の決戦に臨むことになった。

 大木武監督が率いるロアッソは、今年のJ2において最も見ごたえのあるチームのひとつである。

 ロアッソの歴史上最も大きな試合にどう臨むか、という質問に対して「普段どおりやるということです」と、監督らしい的を射た答えを返したように、今年のテーマも「継続」である。

●「戦ってきたことを忘れないように」

 2021年のJ3王者としてJ2に復帰したロアッソは、勢いそのままにJ2でも上位争いに加わり、4位でシーズンを終えた。大木監督はこれまでと同様、8人の選手が平均75分以上プレーしていることが示すように、信頼できる選手を中心にチームを構成した。

 もしロアッソが来年J1に昇格できなかったとしても、あるいは昇格できたとしても、菅田真啓、河原創、髙橋利樹といった面々が2023年にまだ赤いシャツを着ているのか、興味深いところである。

 杉山直宏と坂本亘基はチーム得点王・髙橋の背後で常に脅威となり、FC東京からシーズン途中に加入した平川怜はチームの巧みなパスワークに難なく溶け込み、黒木晃平とイヨハ理ヘンリーは3バックで菅田の脇を完璧に固めている。

「今年最後の試合なので、いろいろ思うことはあるんですけど、いつも通りというか、リーグ戦を通して毎試合、同じように戦ってきたことを忘れないようにするだけです」と、前節、モンテディオとの激闘でゴールを決めたイヨハは語った。

「相手も球際の激しさを大事にしてくるチームだと思うので、そこは自信を持って戦えば、良い結果が出せると思っています」

 ロアッソが初のJ1昇格を確保できるかどうかは分からない。しかし、確実に言えるのは、ロアッソはJ1昇格の権利を得るために、京都を徹底的に追い詰めるということだ。

【了】