横浜F・マリノスは13日、横浜市内でJリーグ優勝報告会を開催した。会場となった赤レンガ倉庫には約5000人のファン・サポーターが集結し、3年ぶりとなるリーグ優勝の喜びを分かち合った。

  優勝報告会には現在一時帰国や代表招集などでチームを離れている一部の選手やケヴィン・マスカット監督を除く全選手・スタッフが参加した。キャプテンのMF喜田拓也や11月末で退任が決まっている黒澤良二社長がファン・サポーターに向けて挨拶し、ホームタウンを代表して横浜市の山中竹春市長も祝福の言葉を述べた。

 その後は選手たちのトークショーなども行われ、会場に集まった多くのファン・サポーターとの交流は大盛況に終わった。

 今季のJリーグ最優秀選手賞を受賞したDF岩田智輝は「たくさんの方に来ていただいて、すごく嬉しいですし、本当に優勝したんだなという実感が湧きました」と、改めてJリーグ優勝の喜びを噛み締めているようだった。

 チームキャプテンとしてステージ上でもスピーチをした喜田は「いつもプライベートで来るような場所で(優勝報告会を)できる特別感もありますし、これだけのサポーターの方が埋め尽くしてくれて、自分たちが成し遂げたことや、一緒に戦った記憶も蘇ってきて、より嬉しさが増しました。みなさんに優勝を届けられてよかったなと改めて思いました」と述べる。

 会場には朝4時頃からスタンバイしていたファン・サポーターもいたという。5000人という数字には喜田も「いい意味で想定外でした」と驚きを隠さず、「それだけ期待してくれていたということだと思うし、僕だけじゃなくていろいろな選手がマリノスのすごさを感じてくれたのではないかと思います。これだけの熱量や愛を持って接してくれている、素晴らしいファン・サポーターだと思います」と感謝を述べた。

 2019年の前回優勝当時はセレッソ大阪に在籍し、2020年に10年ぶりのマリノス復帰を果たした水沼宏太は「僕がマリノスに帰ってきて初めて優勝報告会に参加して、『やっぱりすごいなマリノス』という気持ちです。改めて、本当にみなさんに支えられて僕たちがあるんだなと、感謝しています」と感慨深げだった。

「この1年、本当に頑張ってきてよかったなと率直に思いますし、この最高の仲間たち、そしてチームに関わるみなさん、そしてファン・サポーターのみなさんがいなければ、こうやって優勝することはできなかった。横浜の街が優勝によって盛り上がってくれるって本当に幸せだなと思います」(水沼)

 3年前の優勝報告会には約3000人のファン・サポーターが集まったが、今回は大幅に増えて観衆は約5000人に。背景にはマリノスが築き上げてきたアタッキング・フットボールの魅力や、「マリノスファミリー」と表現されるチームを取り巻く人々の一体感があったと言えそうだ。

「僕たちの良さは一体感だと思っていますし、選手だけじゃなくて、会社やフロントのみなさん、クラブ全体、全てが一体感を持ってやっているのがマリノスというクラブ。僕が育ってきた街で、何気なく通っていた赤レンガ倉庫の前で、こんなにマリノスのユニフォームを着たみなさんがいるなんて想像もしていなかったので、本当にいい1日を過ごせたなと思います」(水沼)

 喜田はマリノスのファン・サポーターとの関係性について「いい時はもちろん、苦しい時も選手やチームをリスペクトしてくれた。僕らもファン・サポーターの方々をすごくリスペクトしています。でも、その関係性は当たり前ではなく、彼らの姿勢あってのこと。一方通行になっても意味がない」と語る。

 そのうえで「そこ(ファン・サポーターの献身)に甘えるだけじゃダメ。僕たちは結果を出すためにいますし、マリノスのためになりたいと思って各個人がチームのためにやっているので、そこはもっともっとできるところかなと思います」と、今後のさらなる発展を見据えていた。

 2020年に復帰するまで約10年間マリノスを離れていた水沼は「僕が来る前からマリノスのスタイルが少しずつ変化していっていて、『みんながチームのためにやる』というのが根付き始めているんだなと、昔(自分が)いた時よりもすごく感じているところがある」と、より長いスパンでの変化を実感しているようだった。

「僕が加入して3年目で優勝できましたけど、これからもマリノスの歴史は続いていきます。創設30年の節目でしっかり優勝できて、これから40年、50年と続いていくクラブだと思いますけど、その中で『この頃のマリノスは強かったよね』というのを、今いる僕らがしっかり示していかなければいけないと思います。それがこれからにつながっていく。

僕たちが優勝することで街も盛り上がって、『横浜ってすごい場所だな。マリノスってすごいクラブだな』とみんなが思ってくれるようなクラブになっていくことが僕の夢でもあるので、それに向かって、今いる選手たちがグラウンドでしっかり表現していきたいなと思います」(水沼)

 今季の公式戦は全て終了しているが、マリノスの2022シーズンはまだ終わっていない。今月28日にはEUROJAPAN CUP 2022でイタリアの名門ローマと対戦する。Jリーグ優勝クラブとして、世界的な強豪クラブ相手に「アタッキング・フットボール」の真価を示せる絶好の舞台だ。

 岩田は「まずはローマ戦が終わってからじゃないとシーズンオフにならないので、しっかりいい準備をしたい。マリノスらしいサッカーをローマ相手にどれだけできるかは楽しみな部分でもあるので、頑張りたいと思います」と意気込みを語った。そしてJリーグ年間MVPになり「いい選手だと思われたい」と、ローマ戦で個人としても実力をアピールするつもりだ。

 来季はJリーグ連覇や、今季達成できなかったAFCチャンピオンズリーグ(ACL)制覇にも挑める大事なシーズンになる。優勝報告会に参加して「マリノスファミリー」の熱量を感じた選手たちは、今後の戦いに向けて大きなモチベーションを得たことだろう。

 マリノスの選手として初めてタイトルを手にした水沼は、「来季はとにかくJリーグ2連覇を目指してやりたい。もちろんリーグだけではなくて獲れるタイトルは全て獲りたいと思いますし、ACLにも僕たちが越えられていない壁がある。そこに向けてしっかり、また今年とは違った姿を見せていけたらいいなと思います」と語った。

 兎にも角にもまずはローマ戦。そして来季の戦いで、Jリーグを席巻したアタッキング・フットボールのさらなる進化に期待したい。

「この一体感を作るのは簡単ではないし、全ての人の力が必要。それぞれの立場や状況は違うかもしれないし、置かれた立場によってはマリノスのために尽くすのが簡単ではないかもしれない。でも、信じて、我慢強く続けてきたからこそ、今のチームの形や色があると思うし、そこに自分たちは誇りを持ってやってきた。

タイトルを獲って、それ(自分たちのサッカー)を結果で証明できる、こうやって(マリノスファミリーの)絆を確かめ合う機会があるのは、非常に素晴らしいことだと思います。これからもっとグレードアップさせていくために、ここで立ち止まることはないので、またみんなで頑張っていきたいと思います」(喜田)

(取材・文:舩木渉)