ヨーロッパでは数多くの日本人選手がプレーしている。その中で、最も多くのゴールを奪っているのは誰なのか。今回は、欧州クラブに所属する日本人選手限定の得点ランキングを1〜10位まで紹介する。(情報は24日時点で、リーグ戦のみの成績が対象。成績は『transfermarkt』を参照、ゴール数が並んだ場合の順位はサイトに準拠)

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●10位:久保建英(くぼ・たけふさ)

生年月日:2001年6月4日
所属クラブ:レアル・ソシエダ(スペイン)
22/23リーグ戦成績:15試合3得点3アシスト

 FIFAワールドカップカタール2022にも出場した久保建英は、キャリアで最高のシーズンを過ごしていると言っていいだろう。

 今季より所属するレアル・ソシエダは久保にとって理想的なクラブだ。ボールポゼッションを基本とするチームスタイル的にも持ち味を発揮しやすく、毎試合伸び伸びとプレーしている。ヘタフェやマジョルカ2年目の頃は「ゴールやアシストが足りない」との声も聞かれたが、ソシエダではすでにリーグ戦15試合で3得点3アシストと良いペースで数字を積み重ねている。

 久保のキャリアハイはマジョルカに所属していた2019/20シーズンのリーグ戦35試合4得点5アシスト。今季に更新される可能性は非常に高いと言っていいだろう。今後もラ・リーガ、そしてヨーロッパリーグ(EL)の舞台における活躍に期待したい。



●9位:三笘薫(みとま・かおる)

生年月日:1997年5月20日
所属クラブ:ブライトン(イングランド)
22/23リーグ戦成績:14試合4得点1アシスト

 いま、欧州リーグで最も評価されている日本人選手は三笘薫と言えそうだ。各方面から、ビッグクラブ入りを推薦する声もあがっている。

 ユニオン・サン=ジロワーズへのレンタルからブライトンに復帰した三笘は、グレアム・ポッター監督の元では途中出場がほとんどだった。しかし、同指揮官がチェルシーに引き抜かれ、ロベルト・デ・ゼルビ新監督を迎えると、レアンドロ・トロサールをベンチに追いやり左サイドのファーストチョイスに。そこからの活躍ぶりは、目を見張るものがある。

 先日行われたプレミアリーグ第21節のレスター戦では、世界に驚きを与えるスーパーゴールを決めてみせた。これで今季リーグ戦4得点目、同直近5試合で3得点という結果になった。ノリに乗る日本最強のドリブラーは、まだまだイングランドの地から良いニュースを届けてくれそうだ。

●8位:伊東純也(いとう・じゅんや)

生年月日:1993年3月9日
所属クラブ:スタッド・ランス(フランス)
22/23リーグ戦成績:16試合4得点1アシスト

 日本が誇るスピードスター、伊東純也は今季ヘンクからスタッド・ランスに活躍の場を移した。戦術<個とも呼ぶべきリーグ・アンで、まずまずの結果を残している。

 ヘンク時代はサイド起用がほとんどだった伊東だが、スタッド・レンヌは当初3-4-1-2をベースとしていたため、2トップの一角が主戦場となった。伊東にとっては慣れていないポジションではあったが、高い適応力を発揮し、第2節からの10試合で4得点1アシストを記録。クラブ史上最高額となる1000万ユーロ(約12億円)の移籍金に見合う活躍を披露した。

 ただ、監督交代によりチームの基本フォーメーションが4-2-3-1に変更され、右サイドハーフに移ってからの伊東は、なかなかゴールに直接関与することができていない。現在スタッド・ランスはリーグ戦11試合無敗と好調で、伊東も全く貢献していないわけではないが、そろそろ4得点1アシストという成績に変化をつけたいところではある。

●7位:前田大然(まえだ・だいぜん)

生年月日:1997年10月20日
所属クラブ:セルティック(スコットランド)
22/23リーグ戦成績:20試合5得点5アシスト

 セルティック在籍2年目を迎えた前田大然は、リーグ戦開幕10試合でノーゴールという結果だった。アシスト数こそ多かったが、1年目に比べると物足りないのは明らかで、決定力不足を指摘されることもあった。

 しかし、第11節ハイバーニアン戦で今季リーグ戦初ゴールをゲットすると、続く第12節でも得点。FIFAワールドカップカタール2022終了後はペースが一気に上がり、公式戦直近6試合で3得点1アシストをマークしている。とくに第19節ハイバーニアン戦で奪ったゴールは見事だった。左サイドからドリブルで運びカットインすると、最後は右足でファーサイドのネットを射抜いている。良い意味で前田らしくないスーパーゴールだ。

 前田はW杯を経験し活躍したことで、明らかに自信をつけていると言っていいだろう。上記のスーパーゴール、そして2-0で勝利したリーグカップ準決勝のキルマーノック戦における幻のゴールを見ても、プレーにどこか余裕がある。“覚醒”というにはまだ早いかもしれないが、W杯前より怖い存在となっている。

●6位:林大地(はやし・だいち)

生年月日:1997年5月23日
所属クラブ:シント=トロイデン(ベルギー)
22/23リーグ戦成績:19試合6得点2アシスト

 一昨年の東京五輪(東京オリンピック)で主力としてプレーした林大地は、ベルギーの地で着実に成長している。日本代表のFW争いに絡んでくる可能性もあるだろう。

「ビースト」の愛称でも知られる林は今季、リーグ開幕2試合連続ゴールと最高のスタートを切った。その後しばらくは結果を残せなかったが、第15節〜第19節までの5試合で4ゴールを奪取と存在をアピール。これで今季リーグ戦得点数は「6」となり、海外1年目だった昨季の7得点1アシストを早くも上回ろうとしている。

 足元のテクニックが飛び抜けて高いわけではないが、気持ちを前面に出した熱いプレーや非凡なフィジカルは対戦相手の脅威となっている。リーグ戦で2桁得点を叩き出すことができれば、その後のステップアップ、そして日本代表での活躍への道が切り拓かれるはずだ。

●5位:川辺駿(かわべ・はやお)

生年月日:1995年9月8日
所属クラブ:グラスホッパー(スイス)
22/23リーグ戦成績:16試合6得点4アシスト

 サンフレッチェ広島とジュビロ磐田でのプレーを経て海外へ飛び出した川辺駿も、印象的な活躍を披露している。

 川辺はスイスのグラスホッパーで絶対的なレギュラーだ。主にインサイドハーフで起用されているが、ダブルボランチの一角やウィングでの出番もあり、指揮官からの信頼は厚い。その中でリーグ得点ランキング5位タイ、またチームトップとなる6得点をマークしているなど、中盤からの飛び出しや推進力といった持ち味を遺憾なく発揮し、多くの勝ち点をもたらしている。

 川辺の昨季リーグ戦成績は34試合7得点3アシストだったが、今季は16試合ですでに6得点4アシストであり、2桁得点&アシストも十分に狙える位置につけている。もしそれが現実となればレンタル元であるウォルバーハンプトンからの評価も高まるはずで、イングランドでの更なる挑戦に繋がっていきそうだ。

●4位:鎌田大地(かまだ・だいち)

生年月日:1996年8月5日
所属クラブ:フランクフルト(ドイツ)
22/23リーグ戦成績:14試合7得点4アシスト

 ヨーロッパリーグ(EL)王者の一員として迎えた2022/23シーズン、鎌田大地は絶好調だ。今冬はフランクフルト残留が濃厚だが、今夏の移籍市場を賑わす可能性は十分にある。

 鎌田は今季、ブンデスリーガ第1節のバイエルン・ミュンヘン戦こそベンチを温めたが、続く第2節ヘルタ・ベルリン戦で先発復帰するとゴールを記録。さらに第3節ケルン戦でもゴールネットを揺らした。その後もペースを落とすことなく、FIFAワールドカップカタール2022開催による中断前の14試合で得点数を「7」まで積み上げた。

 W杯では好パフォーマンスを披露できなかった鎌田だが、それを所属クラブに引きずるようなメンタルの持ち主ではないため、後半戦も活躍に期待がかかる。フランクフルト5年目にして初のブンデスリーガ2桁得点到達は、かなり現実味があるだろう。

●3位:上田綺世(うえだ・あやせ)

生年月日:1998年8月28日
所属クラブ:セルクル・ブルッヘ(ベルギー)
22/23リーグ戦成績:22試合8得点0アシスト

 ベルギーでは数多くの日本人選手がプレーしている。その中でいま最もゴールを奪っているのが、セルクル・ブルッヘ所属の上田綺世だ。

 昨年夏に鹿島アントラーズから欧州に渡った上田のスタートは順調ではなかった。ベルギー独特のフィジカルの強さやテンポに対応することができず、リーグ開幕10試合でわずか2ゴール。ストライカーとして満足できる結果でないことは、誰の目にも明らかだった。

 しかし、チームがベースフォーメーションを変更し上昇気流に乗ると、上田にも結果がついてくるように。第12節〜第17節までの6試合で5得点を奪うという活躍もあった。また、先日の第22節オーステンデ戦でもゴールを決めており、これで今季リーグ戦得点数は「8」に。厳しいかと思われた序盤戦から一転、海外1年目での2桁得点到達が間近に迫っている。

●2位:中村敬斗(なかむら・けいと)

生年月日:2000年7月28日
所属クラブ:LASKリンツ(オーストリア)
22/23リーグ戦成績:15試合8得点5アシスト

 ガンバ大阪から海外に飛び出して以降、なかなかインパクトを残せずにいた中村敬斗だが、2022/23シーズンは印象的な活躍を披露している。

 中村は2021年夏にオーストリアのLASKリンツに加入。1年目はリーグ戦22試合で6得点という成績だったが、2年目の今季は開幕から好調で、わずか10試合で昨季の得点数に並んでみせた。また直近5試合でも2ゴールと結果を出しており、現在のリーグ戦成績は15試合で8得点5アシストと十分すぎるものとなっている。

 中村は国内カップ戦でも3試合で3ゴールをマークしているため、すでに今季公式戦得点数は2桁を超えている。これほどのパフォーマンスであれば、日本代表初招集にも期待できそうだ。左サイドの日本人アタッカーといえば三笘薫のイメージが強いが、中村からも目が離せない。

●1位:古橋亨梧(ふるはし・きょうご)

生年月日:1995年1月20日
所属クラブ:セルティック(スコットランド)
22/23リーグ戦成績:20試合17得点0アシスト

 いま欧州のリーグで最もゴールを奪っているのが、セルティックに所属する古橋亨梧だ。その数は「17」と、2位以下に大差をつける圧倒的なものとなっている。

 中村俊輔に次ぐセルティックの新たなアイドルになりつつある古橋は、今季最高のスタートを切った。リーグ開幕5試合で、なんと6得点を奪ったのである。しかし、その後はペースを落とし、10月には3試合連続ベンチスタートを余儀なくされている。そもそも期待が大きかっただけに、がっかり感もかなりのものがあった。

 それでも古橋は第13節リヴィングストン戦で先発復帰しいきなりゴールを決めると、そこから一時期の停滞が嘘のようにゴールを量産。とくにここ最近は手がつけられないレベルになっており、FIFAワールドカップカタール2022中断明けからのリーグ戦7試合で7得点を奪っている。このまま得点王の座に輝くのだろうか。