最強の日本人選手は誰だ! 欧州リーグ戦アシストランキング1〜10位。単独1位に輝いたのは?
ヨーロッパでは数多くの日本人選手がプレーしている。その中で、最も多くのアシストを決めているのは誰なのか。今回は、欧州クラブに所属する日本人選手限定のアシストランキングを1〜10位まで紹介する。(情報は26日時点で、リーグ戦のみの成績が対象。成績は『transfermarkt』と『WhoScored』を参照、アシスト数が並んだ場合の順位はサイトに準拠)
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●10位:森岡亮太(もりおか・りょうた)
生年月日:1991年4月12日
所属クラブ:シャルルロワ(ベルギー)
22/23リーグ戦成績:18試合3得点3アシスト
森岡亮太は今季で欧州リーグでのプレーが8シーズン目となる。これだけ長い期間にわたって活躍できているのは得点に関与し続けているからに他ならない。
昨季はリーグ戦で10アシスト、プレーオフで4アシストと躍動した。今季も現時点で3得点3アシストを記録しているが、気になるのは年明け以降の起用方法だ。それまで不動のスタメンだった森岡だったが、その立場はかつてほど絶対的なものではなく、2023年に行われた4試合のうちスタメンは0試合で、2試合の途中出場に留まっている。
森岡はジュピラー・プロ・リーグ(ベルギー1部)で2度、シーズン二桁アシストを記録したことがあり、彼の能力からすると3アシストというのは物足りない数字と言えるだろう。スタメン落ちをしてしまっている現状、ここからアシスト数を伸ばすことは容易ではないが、スタメンに返り咲くには限られた出場機会で指揮官の期待に応えて、ゴールに絡むしかない。
最強の日本人選手は誰だ! 欧州リーグ戦アシストランキング1〜10位
最強の日本人選手は誰だ! 欧州リーグ戦アシストランキング1位
最強の日本人選手は誰だ! 欧州リーグ戦アシストランキング2位
●9位:久保建英(くぼ・たけふさ)
生年月日:2001年6月4日
所属クラブ:レアル・ソシエダ(スペイン)
22/23リーグ戦成績:15試合3得点3アシスト
久保建英は現在ラ・リーガで3位と絶好調のレアル・ソシエダの不動のレギュラーとして、キャリア最高のシーズンを過ごしている。
昨季所属していたマジョルカは相手に押される時間が長く、チームとして攻撃の時間が短かったため持ち味を発揮しづらい環境だったが、基本的に自分たちで主導権を握ることができるレアル・ソシエダでは生き生きとプレーしている。ダビド・シルバという周りを使うことの上手い選手がチームメイトにいることも好影響を与えている。
現在ラ・リーガでは3アシストと特別数字を残しているわけではないが、直近数試合の活躍には目を見張るものがある。マン・オブ・ザ・マッチに輝いたアスレティック戦での大活躍は記憶に新しいだろう。オサスナ戦、アルメリア戦でもラストパスがわずかに相手選手へ当たって“アシスト“が付かなかったが、得点を演出するなど絶好調だ。この調子が続けば自然と得点に関与する数は伸びていくだろう。
●8位:南野拓実(みなみの・たくみ)
生年月日:1995年1月16日
所属クラブ:モナコ(モナコ)
22/23リーグ戦成績:10試合1得点3アシスト
南野拓実は、昨夏にモナコが移籍市場に投じた補強資金では最高額となる1500万ユーロ(約18億円)の移籍金で引き抜かれたが、ほとんど試合に絡むことができていない。ただ、その限られた出場機会では3アシストと数字は残している。
ウインガーとしてはドリブルでの突破力に欠けるため南野は中央で起用したいところだが、現状4-4-2のツートップの一角としては殆ど計算されておらず、立場的には5番手とかなり苦しい。そのためウイングでの起用の方がチャンスはあるが、ゲームメイク力に長けているアレクサンドル・ゴロビンと突破力に定評のあるクレパン・ディアタとの評価の差はかなり開いている。
出場した直近の2試合(11月6日と12月28日)では、各試合で1アシストずつを記録。しかし、それでも指揮官からの評価は上がることはなく、2023年以降はリーグ戦での出場試合数がゼロとさらに苦しい状況になっている。この状況では得点関与数を伸ばすことは難しいだろう。
●7位:鎌田大地(かまだ・だいち)
生年月日:1996年8月5日
所属クラブ:フランクフルト(ドイツ)
22/23リーグ戦成績:15試合7得点3アシスト
欧州リーグで6シーズン目を戦う鎌田大地は、マリオ・ゲッツェの加入も影響して今季よりボランチでの出場試合数が増えている。これまでと比較すると低い位置でプレーする機会が増加したが、それでも3列目からの攻撃参加で決定機に絡んでいる。
4-3の打ち合いとなった第4節ブレーメン戦では、鎌田が決勝点を含む2アシストを記録。トップ下を主戦場としていた昨季までと同様に攻撃面で高い貢献度を見せている。一方で13アシストを記録した2020/21シーズンと比較すると、ポジションを下げたことでアシスト数が減っているのも事実だ。
こうした現在の起用法を踏まえると、2シーズンぶりのシーズン二桁アシストというのはかなりの難易度かと思われる。それでも鎌田にはプレースキックという武器があり、初期配置と関係のないセットプレーからアシストを量産できれば、不可能な話ではないだろう。
●6位:中村敬斗(なかむら・けいと)
生年月日:2000年7月28日
所属クラブ:LASKリンツ(オーストリア)
22/23リーグ戦成績:15試合8得点3アシスト
18歳で海を渡った中村敬斗は、今季欧州リーグで4シーズン目を迎えている。これまで全てが順風満帆だったわけではないが、オーストリア・ブンデスリーガに所属するLASKリンツでプレーしている今季はキャリア最高のシーズンを過ごしている。
2020/21シーズンの前半戦にプレーしたシント=トロイデンではわずか5試合の出場に留まるなど苦しんだ時期もあった。転機となったのは同シーズンの後半戦にジュニアーズOÖ(オーストリア2部)に加入したことだろう。オーストリア国内で評価を高めた中村は、半年後に1部のLASKリンツに個人昇格を果たして今に至る。
今季は開幕から得点を量産しており、8ゴールは得点ランキング4位である。ゴールが増えたと同時にアシスト数も伸びており、既に昨季を上回る3アシストを記録している。中村の大活躍もあってLASKリンツは3位と高い順位をキープできており、今季後半戦も好成績を残せば更なる個人昇格の可能性もあるだろう。
●5位:坂元達裕(さかもと・たつひろ)
生年月日:1996年10月22日
所属クラブ:オーステンデ(ベルギー)
22/23リーグ戦成績:18試合0得点4アシスト
今季が欧州リーグ挑戦2シーズン目となる坂元達裕は、所属するオーステンデで不動のレギュラーとして活躍している。
Jリーグ時代から定評のあった切れ味鋭いドリブルの精度はさらに上がっており、今季はジュピラー・プロ・リーグ(ベルギー1部)で地上戦勝率60%を叩き出すなど、フィジカルの強い選手が多いリーグでも抜群の1対1の強さを見せている。得意のドリブル突破から多くのチャンスメイクに成功しており、現時点ではチーム1位の4アシストを記録している。
しかし、チームはリーグワーストの49失点を喫するなど守備に大きな不安を抱えており、現在6連敗中で降格圏の17位と絶不調だ。この状況からオーステンデを残留に導くためには守備の改善はもちろん、坂元がさらに多くの決定機を演出する必要があるだろう。
●4位:川辺駿(かわべ・はやお)
生年月日:1995年9月8日
所属クラブ:グラスホッパー(スイス)
22/23リーグ戦成績:16試合6得点4アシスト
欧州移籍2シーズン目となる川辺駿は、シーズン前半戦を消化した現時点で6得点4アシストを記録。昨季記録した7得点3アシストを超える勢いで得点に絡んでいる。
最も得意としているトップ下やインサイドハーフなど中央でのプレー以外にも、そこからプレーエリアを下げたボランチや3-4-3のウイングなど、今季の川辺は様々なポジションで試合に出場している。ウイングで出場するときは基本的に左だが、稀に右でも試合に出場するなど、その高い万能性が功を奏して指揮官から厚い信頼を勝ち取っている。
プレー幅を広げる中で4アシストを記録しているのは、いずれもトップ下で試合に出場している時であり、どのポジションで起用されるかによって、今季終了時点でのスタッツは大きく変わりそうだ。
●3位:前田大然(まえだ・だいぜん)
生年月日:1997年10月20日
所属クラブ:セルティック(スコットランド)
22/23リーグ戦成績:20試合5得点5アシスト
昨年11月に行われたカタールワールドカップでも1ゴールを決めた前田大然は、所属するセルティックでも充実したシーズンを過ごしている。
6試合に出場したUEFAチャンピオンズリーグ(CL)では6試合で1得点にも絡むことができなかったが、国内リーグでは好調をキープ。特にワールドカップ明けの試合では好パフォーマンスを披露しており、1月2日に行われたレンジャーズとの“オールド・ファーム”では1ゴールを記録した。
前田は現在5アシストを記録しているが、これは既にキャリアハイのアシスト数である。チャンスメイクをするタイプの選手ではないが、セルティックは国内リーグでは無敵であり、5アシストのうち4アシストは8月に記録したものである。いずれも5-0、2-0、9-0と大差のついた試合で生まれたアシストであり、このアシスト数はセルティックに所属する選手だからこそ残せているものだと言えるだろう。
●2位:旗手怜央(はたて・れお)
生年月日:1997年11月21日
所属クラブ:セルティック(スコットランド)
22/23リーグ戦成績:20試合3得点5アシスト
旗手怜央は22年冬のセルティック加入時から評価を上げ続けている。
旗手は豊富な運動量で中盤を動き回りながら局面に顔を出して、正確なパスでゲームを作る役割を担っており、状況に応じて3列目から攻撃参加して得点にも絡む。セルティックは国内リーグでは他のチームと比較すると群を抜いて強く、ほぼ全試合で自分たちが主導権を握ってサッカーを展開している。そうした環境において旗手の能力は発揮されやすい。
現在セルティックは22試合で69ゴールと圧倒的な攻撃力をみせており、得点ランキングとアシストランキングの両方で上位を独占している。こうした環境ではスタッツが伸びやすく、旗手もカタールワールドカップの中断明け以降の7試合で2得点3アシストと調子を上げている。この調子を維持することができれば、キャリア初の二桁アシストを達成する可能性も出てくるだろう。
●1位:菅原由勢(すがわら・ゆきなり)
生年月日:2000年6月28日
所属クラブ:AZ(オランダ)
22/23リーグ戦成績:16試合3得点6アシスト
現時点での欧州リーグ戦アシストランキングで日本人トップに立ったのはAZの菅原由勢だ。欧州リーグでのプレーが4シーズン目となる今季はキャリア最高のシーズンを過ごしている。
元々は対人守備に定評のある右サイドバックだったが、昨季から思い切りの良い攻撃参加が評価されるようになり、度々右ウイングで起用されていた。この右ウイング挑戦が功を奏したのか、右サイドバックにポジションを戻して以降も攻撃面で高い貢献度をみせている。
今季はほとんどが右サイドバックでの起用にも関わらず、3得点6アシストを記録している。特に今月25日に行われたゴー・アヘッド・イーグルス戦での活躍は凄まじく、DFながら1得点2アシストの大車輪の活躍をみせた。現在エールディビジで菅原より多くのアシストを記録しているのはコーディ・ガクポ(リバプールへ移籍)とドゥシャン・タディッチ、ウサマ・タンナーヌの3選手しかおらず、DFでは1位のアシスト数だ。この調子をキープすれば近いうちに日本代表へも復帰を果たすだろう。