悪夢の大転落…。どん底に沈む名門クラブ5選(1)
ユベントス(イタリア)
リーグ順位:13位
今季リーグ成績:11勝5分4敗
一昨季にセリエAでの連覇が9で途絶えたユベントスは過渡期を迎えている。現在13位という順位がそれを象徴している。
昨季はマッシミリアーノ・アッレグリが3シーズンぶりに再任したが、2010/11シーズン以来の“無冠“に終わった。今季のUEFAチャンピオンズリーグ(CL)では、パリ・サンジェルマン、ベンフィカ、マッカビ・ハイファとの同組で1勝5敗という残念な結果に終わり、屈辱的なグループステージ敗退となった。
その一方でリーグ戦では8試合連続で完封勝利を挙げるなど一時は好調を維持していたが、1月13日に行われた首位ナポリとの一戦で1-5の大敗。その一週間後には選手の移籍に関する不正会計操作で勝ち点15をはく奪され、一気に二桁まで順位を落とした。今季の補強の目玉であるポール・ポグバは未だに1試合も出場しておらず、全てが嚙み合っていない印象だ。2006年の「カルチョ・スキャンダル」以来のどん底と言えるだろう。
悪夢の大転落…。どん底に沈む名門クラブ5選 全紹介
悪夢の大転落…。どん底に沈む名門クラブ5選(2)
悪夢の大転落…。どん底に沈む名門クラブ5選(3)
リバプール(イングランド)
リーグ順位:9位
今季リーグ成績:8勝5分6敗
数シーズン前までは負けることも“稀”だった最強のチームだったリバプールだが、今季はリーグ戦だけで既に6敗を喫している。
この低迷はスカッドに問題があるだろう。圧倒的な強さでプレミアリーグを制した2019/20シーズンは、GKから最前線までどのポジションも穴がなかった。当初のスカッドと現在のスカッドを比較すると大きな違いはサディオ・マネとジョルジニオ・ワイナルドゥムがいるかどうかだ。
献身的に前線から守備を行うマネがいた時と今では最前線からの守備強度に大きな差があり、先日行われたブライトン戦のようにプレスが全くハマらず簡単に突破を許すことも多い。また、“黒子”として100点満点を常に叩き出せるワイナルドゥムの不在の影響も大きく、献身的で守備強度も高い彼の後釜を獲得しなかったことが大きく響いている。フィルジル・ファン・ダイクもかつてほど圧倒的な存在感はなく、ハイラインの裏を簡単に取られて失点することもしばしば。その結果、今のスカッドで過去のサッカーをやることは不可能に近く、戦術的な見直しも必要だろう。
チェルシー(イングランド)
リーグ順位:10位
今季リーグ成績:8勝5分7敗
ロマン・アブラモビッチ前オーナーが退任したチェルシーは、トッド・ベーリー新オーナーの下で変革期を迎えている。
トーマス・トゥヘル前監督を移籍市場閉幕直後に解任すると、今季ブライトンで成熟したサッカーを展開していたグレアム・ポッター監督を招聘。ポッター監督は流動的なサッカーを展開する指揮官であり、スウォンジーやブライトンでも就任直後は自らのサッカーを植え付けることに苦戦していた。それはチェルシーでも同様であり、現時点では10位とUEFAチャンピオンズリーグ(CL)出場圏内から大きく遠のいている。
今冬にチェルシーはブノア・バディアシルやミハイル・ムドリクらを積極補強。ポッター監督の下で迎えた初の移籍市場でチームのスタイルに合った選手を獲得し、チームの強化を進めている。特に大きな影響がありそうなのがバディアシルの獲得だ。それまでのレギュラークラスだったカリドゥ・クリバリとトレボ・チャロバーはビルドアップの際の状況判断に難点があり、ポッターサッカーで重要な縦パスが入らないことも多かった。これがバディアシルの加入によって改善される可能性が高く、一先ずはどん底から抜け出せそうだ。
シャルケ(ドイツ)
リーグ順位:18位
今季リーグ成績:2勝4分14敗
今季ブンデスリーガに復帰した“名門“シャルケだが、昇格後もどん底であることは変わりない。第18節終了時点でダントツの最下位と、早くも残留に向けて暗雲が立ち込めている。
シャルケの低迷のキッカケとなったのは大勢の主力選手のフリー放出だ。これまでレオン・ゴレツカやセアド・コラシナツ、マックス・マイアー、アレクサンダー・ニューベルらが移籍金を残さず退団している。プレミアリーグのような潤沢な資金を誇るクラブの場合は、このような手法でも成立するかもしれないが、ブンデスリーガでは移籍金を得られない限り、クラブを強化するのは難しい。
その結果が2020/21シーズンの屈辱の2部降格だ。資金がないことは現在も変わりなく、今季は開幕直後にドイツU-21代表でも主力を張るマリック・チャウを700万ユーロ(約8.4億円)でACミランへと放出。その一方で板倉滉の買い取りが叶わないなど、補強面は満足のいくものを行えておらず、ブンデスリーガや5大リーグで実績のある選手はほとんど獲得することができていない。今季再び2部へと降格することになれば、これまで以上に悲惨な結果を招きそうだ。
セビージャ(スペイン)
リーグ順位:13位
今季リーグ成績:5勝6分8敗
昨季ラ・リーガを4位でフィニッシュし、今季もUEFAチャンピオンズリーグ(CL)に出場していたセビージャも苦しいシーズンを歩んでいる。現在は脱出しているが、長い期間ラ・リーガの降格圏に沈んでいた。
これだけ苦しんだ要因は主力選手の放出だ。財政的な問題もあって一部の主力選手を売却せざるを得ない状況にあり、ラ・リーガ最強とも謳われたジエゴ・カルロスとジュール・クンデの両CBをアストン・ビラとバルセロナにそれぞれ売却した。
彼らに代わる実力者を獲得することができればよかったのだが、タンギ・クアシとマルカンでは前任者と同レベルの守備強度を保つことができなかった。またエースのユセフ・エン=ネシリも絶不調に陥るなど得点力も低下し、競り負ける試合や勝ちきれない試合が多くなった。その結果、勝ち点をなかなか積み上げることはできず、下位に留まっている。それでもホルヘ・サンパオリ監督の下でチームは再建しつつあり、新加入のCBロイク・バデも即フィット。一時のどん底は脱した印象だ。