エールディヴィジを最多36回制覇、 KNVBカップ(国内カップ)も最多20回制覇するなど、アヤックスはオランダ最強の地位を確立している。こうした長い歴史においてアカデミー出身の選手がクラブに与えた影響は大きく、これまでにも多くの生え抜き選手がチームの主軸を担う存在へと成長している。今回は、21世紀以降に在籍していた選手の中から厳選した5人のアカデミー出身の最高傑作を紹介する。(在籍期間、通算成績は『transfermarkt』を参考。出場成績は2023年2月21日時点)。
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DF:マタイス・デ・リフト(オランダ代表)
生年月日:1999年8月12日
在籍期間:2017年1月〜2019年7月
通算成績:117試合13得点7アシスト
アヤックスの最高傑作を語る上では、マタイス・デ・リフトは外せない。下部組織で類まれな才能を見せた同選手は、17歳にしてトップチームとオランダ代表のダブルデビューを飾った逸材だ。今ではこの男の名前を知らない人はほとんどいないだろう。
18/19シーズンには、クラブ最年少となる19歳でキャプテンに就任。10代とは思えないリーダーシップでチームをまとめ上げ、リーグ優勝と国内カップ優勝の2冠を達成した。さらに、チャンピオンズリーグ(CL)ではレアル・マドリードやユベントスを撃破し、ベスト4に進出するなど旋風を巻き起こした。こうしてアヤックスの象徴となったデ・リフトは、2018年のオランダ年間最優秀選手賞とゴールデンボーイ賞を受賞している。
この活躍により、2019年7月にユベントスへ加入。その移籍金はなんと8550万ユーロ(約103億円)を記録した。瞬く間にスーパースターとなったデ・リフトだが、恐ろしいのはまだ23歳ということだ。今夏にはドイツ王者バイエルン・ミュンヘンへ移籍したが、すでに世界トップクラスの実力を誇る同選手はこれからどんなキャリアを歩んでいくのか。
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MF:ヴェスレイ・スナイデル(元オランダ代表)
生年月日:1984月6月9日
在籍期間:2003年1月〜2007年8月
通算成績:180試合58得点47アシスト
21世紀以降に在籍したアヤックスの最高傑作と聞けば、ヴェスレイ・スナイデルを思い浮かべる人も多いだろう。7歳の時にアヤックスの下部組織に加入すると、すぐに才能が開花。2002年にトップチームデビューを飾り、02/03シーズン後半にはスタメンに定着している。
スナイデルは、卓越したボールコントロールと極上のパスセンスで試合を支配。両足とも遜色なく扱い、どんなタイミングや場所からでもチャンスを演出した。さらにシュートも強烈だ。FKではあらゆる球種を操り、精度は異常なほど高い。世界でも指折りのキックの名手だ。
2010年にはオランダ代表として南アフリカワールドカップ準優勝を経験し、インテルではイタリア史上初の3冠を達成した。凄まじいほどの功績を上げたが、同年のバロンドールではジャーナリスト投票でアンドレス・イニエスタやシャビ・エルナンデスを抑えて1位の得票率を獲得したが、全体では4位に終わり、リオネル・メッシに譲る結果に。これについては各所から疑問が呈される事態となった。
DF:ダレイ・ブリント(オランダ代表)
生年月日:1990年3月9日
在籍期間:2009年1月〜2014年9月、2018年7月〜2023年1月
通算成績:333試合13得点21アシスト
地元のクラブでサッカーを始めたダレイ・ブリントは、8歳でアヤックスの下部組織に加入。18歳でトップチームデビューを果たした。プロ2年目の09/10シーズンにはフローニンゲンにレンタル移籍。主力として活躍したことで、シーズン終了後には完全移籍に移るという話もあったようだ。しかし、これが実現せず、アヤックスでのキャリアが続くことになった。
ブリントは2010年夏に復帰すると、同シーズン後半からスタメンに定着した。サイドバックやセンターバック、さらにボランチを務めるなど高いユーティリティー性を見せ、リーグ4連覇に貢献。チームの中核を担った同選手は、2014年にオランダ年間最優秀選手に選出された。その活躍が認められ、2014年にマンチェスター・ユナイテッドへ移籍している。
その後、2018年にアヤックスへ帰還。復帰初年度にリーグ優勝と国内カップ優勝の2冠を達成し、タイトルから遠ざかっていたクラブを復活させた。今冬にバイエルン・ミュンヘンに移籍しているが、低迷していたチームを立て直し、計11個ものタイトルをクラブにもたらしたブリントはレジェンドと呼ぶに相応しい存在だろう。
DF:トーマス・フェルマーレン(元ベルギー代表)
生年月日:1985年11月14日
在籍期間:2003年7月〜2009年7月
通算成績:143試合10得点2アシスト
ベルギーを代表するDF、トーマス・フェルマーレンもアヤックス出身の選手だ。母国のクラブでキャリアをスタートし、15歳の頃にオランダへやってきた。03/04シーズン第21節でトップチームデビューを飾ると、レンタル移籍から復帰した05/06シーズンにスタメンに定着。2006年にベルギー代表に初選出されて以降は、不動の存在となった。
CBとしては少し華奢だが、身体能力が高く、大柄な相手にも負けない空中戦の強さを誇っていた。さらに鋭い危機察知能力で、危ない場面には常にこの男が立ちはだかる。2009年に加入したアーセナルでは1年目から絶対的な存在となり、PFA年間ベストイレブンに選出された。
しかし、2010年にアキレス腱を負傷すると、そこから怪我に悩まされることになってしまう。その後2014年にバルセロナへ移籍。2019年にはヴィッセル神戸にやってきたが、負傷と復帰を繰り返した。それでも、フェルマーレンの能力に疑いはない。どれだけ負傷してもベルギー代表に選出され続けるなど、引退まで最前線で活躍し続けていた。
MF:ラファエル・ファン・デル・ファールト(元オランダ代表)
生年月日:1983年2月11日
在籍期間:2000年7月〜2005年7月
通算成績:156試合61得点28アシスト
この男を忘れてはいけない。ラファエル・ファン・デル・ファールトは10歳でアヤックスの下部組織に加入すると、17歳の時にトップチームデビュー。トップ下に入り、華麗なプレーでチームを牽引した同選手は「新たなヨハン・クライフ」と称された。
2年目の00/01シーズンにはオランダ・フットボール・タレント・オブ・ザ・イヤーを受賞。さらに、2003年にはゴールデンボーイ賞を受賞と、その活躍ぶりは圧巻だった。こうしてアヤックスで確固たる地位を築いたことで、世界中から注目を集めるようになった。
その後、ファン・デル・ファールトはレアル・マドリードやトッテナムで活躍した。長いプロキャリアの中でアヤックスに在籍したのは5年間だけだったが、オランダ代表ではユーロ3大会、ワールドカップ2大会に出場。約12年に渡りオランダを最前線で牽引した同選手は、最高傑作の1人と言えるだろう。