AFC U-20アジアカップウズベキスタン2023が1日に開幕し、サッカーU-20日本代表は3日に初戦を控える。今年5月に開幕するU-20ワールドカップを目指すこの世代で、最も高く評価されている選手は誰なのか。アジアカップに臨むU-20日本代表メンバーの市場価値ランキングを紹介する。(市場価値は『transfermarkt』を参照。データは3月1日時点)
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●10位:田中隼人

市場価値:10万ユーロ(約1200万円)
生年月日:2003年11月1日(19歳)
所属クラブ:柏レイソル
経歴:ミナトSC→柏レイソルU-15→柏レイソルU-18
2022リーグ戦成績:4試合0得点0アシスト

 田中隼人はU-20日本代表の守備陣を引っ張る存在で、今大会では山根陸とともに副キャプテンを務める。中山雄太、中谷進之介、古賀太陽ら優秀なDFを輩出してきた柏レイソルアカデミー出身で、昨季正式にトップチームに昇格している。

 昨季は夏場にチャンスを与えられ、J1リーグで4試合に先発出場した。左足から放たれる精度の高いフィードが武器で、188cmという長身も魅力。ディフェンス能力も向上しており、最終ラインが大幅に入れ替わった今季の柏ではチャンスが増える可能性も十分にある。

 現在の市場価値は10万ユーロ(約1200万円)で、同時期の中山雄太と同じ額だ。プロ2年目でレギュラーの座を掴んだ中山はわずか2年で市場価値を10倍にしている。田中にとってAFC U-20アジアカップは飛躍のきっかけとなるかもしれない。

J2から世界へ!? 超ダイナミックな大型ボランチ

●8位タイ:保田堅心

市場価値:12.5万ユーロ(約1500万円)
生年月日:2005年3月5日(17歳)
所属クラブ:大分トリニータ
経歴:FC J-WIN→サガン鳥栖U-15→大分トリニータU-18
2022リーグ戦成績:8試合0得点0アシスト

 今季の大分トリニータでブレイクが期待されている保田堅心は1つ下の年代ながらU-20日本代表にコンスタントに招集されている。昨季は2種登録され、大分でJ2リーグ8試合に出場。J1参入プレーオフで先発起用されるなど、飛躍の1年となった。

 ダイナミックでスケールの大きなボックス・トゥ・ボックス型のボランチだ。181cmという魅力的な体格で、ゴールに絡んでいく積極性と走力を併せ持つ。高い強度の試合でそのダイナミックなプレーを出せるようになれば、将来的に日本代表や海外でも活躍できるだけのポテンシャルを感じさせる。

 17歳の保田につけられた市場価値は12.5万ユーロ(約1500万円)。無限の可能性を秘めたMFであり、今回のAFC U-20アジアカップやFIFA U-20ワールドカップを機に一気にブレイクする可能性もある。

変幻自在の“両利き”ドリブラー

●8位タイ:甲田英將

市場価値:12.5万ユーロ(約1500万円)
生年月日:2003年10月2日(19歳)
所属クラブ:名古屋グランパス
経歴:川島サッカー少年団→名古屋グランパスU-12→名古屋グランパスU-15→名古屋グランパスU-18
2022リーグ戦成績:7試合0得点0アシスト

 U-12時代から名古屋グランパス一筋でプレーしてきた甲田英將は、変幻自在のボールタッチを武器とするドリブラーへと成長した。トップチームに昇格した昨季のリーグ戦は途中出場の7試合に留まったが、YBCルヴァンカップで5試合に出場しており、長谷川健太監督からの期待もうかがえた。

 独特なステップから繰り出される果敢なドリブルが持ち味で、相手に足を出させない絶妙なボールタッチを見せる。両足ともに遜色なく使える器用さがあり、どちらのサイドからでも突破を図る強引さも魅力だ。

 昨季は怪我の影響もあって代表活動から離れることも多かった。その悔しさをAFC U-20アジアカップで晴らすことができれば、現在の12.5万ユーロ(約1500万円)という市場価値も上がっていくだろう。

ゴリゴリ!? フィジカル自慢の小柄な左SB

●6位タイ:松田隼風

市場価値:15万ユーロ(約1800万円)
生年月日:2003年10月2日(19歳)
所属クラブ:水戸ホーリーホック
経歴:プレイフル函館→JFAアカデミー福島U-15→JFAアカデミー福島U-18
2022リーグ戦成績:12試合0得点0アシスト

 松田隼風はJFAアカデミーで6年間を過ごし、昨季J2水戸ホーリーホックに加入した。年代別の日本代表にコンスタントに参加しており、水戸に加入が内定した際に西村卓朗GMは「ビルドアップ能力に優れ、正確な判断を技術で表現できる、現代サッカーに必要な能力を兼ね備えたサイドバック」と松田を評価している。

 小柄な見た目とは裏腹に力強いドリブルで仕掛けるのを好み、フィジカル勝負を苦手としない。精度の高い左足のクロスも武器としており、中野伸哉が怪我のため不在となったU-20日本代表においては、攻守両面でキーマンになるだろう。

 15万ユーロ(約1800万円)という市場価値はこれまでの実績によるもの。今後、さらに高い舞台で結果を残せば、市場価値は青天井に伸びていくだろう。

世界へ羽ばたけるか!? ガンバ大阪が育てた逸材

●6位タイ:坂本一彩

市場価値:15万ユーロ(約1800万円)
生年月日:2003年8月26日(19歳)
所属クラブ:ファジアーノ岡山
経歴:ソレッソ熊本→JFAアカデミー福島U-15→ソレッソ熊本→ガンバ大阪ユース→ガンバ大阪
2022リーグ戦成績:9試合1得点0アシスト

 宇佐美貴史や堂安律と同じようにガンバ大阪ユースからトップチームに昇格した坂本一彩。ユース時代の2020シーズンはJ3リーグで11試合に出場し、トップチームに昇格した昨季はJ1で9試合に出場して初ゴールもマークしている。さらなる成長を期して、今季は期限付きでファジアーノ岡山に加入している。

 ジュビロ磐田との開幕節では角度のない位置からゴールを決め、今季は幸先の良いスタートを切った。岡山では櫻川ソロモンと2トップで並ぶ形でプレーしているが、攻撃的なポジションをマルチにこなすことができる高いテクニックとあらゆるエリアに顔を出してプレーに絡む機動力が持ち味だ。

 15万ユーロ(約1800万円)が坂本一彩の市場価値。先輩の堂安がFIFA U-20ワールドカップで3得点を挙げ、大会後に海を渡ったように、坂元にとってはこの数か月が大きなチャンスになるかもしれない。

横浜F・マリノスの希望! アジア経験済みのブレイク候補

●5位:山根陸

市場価値:20万ユーロ(約2400万円)
生年月日:2003年8月17日(19歳)
所属クラブ:横浜F・マリノス
経歴:津田山FC→横浜F・マリノスプライマリー→横浜F・マリノスジュニアユース→横浜F・マリノスユース
2022リーグ戦成績:11試合0得点0アシスト

 山根陸はAFC U-20アジアカップを戦うU-20日本代表の副将に田中隼人とともに選ばれ、主将の松木玖生とともにチームをFIFA U-20ワールドカップ出場へ導く活躍が期待されている。横浜F・マリノスプライマリーからマリノス一筋でプレーする期待の生え抜きは、今季のJリーグにおいてブレイク候補の1人に挙げられる逸材だ。

 総合力が高く、攻守に機転の利いたプレーができる万能型のボランチだ。ルーキーイヤーだった昨季は3月のヴィッセル神戸戦で初出場初先発を飾り、その才能の片鱗を見せつけた。AFCチャンピオンズリーグも経験し、U-19日本代表ではキャプテンマークを巻いた試合もあった。そういった経験はU-20日本代表にとって貴重なものとなる。

 現在の市場価値は20万ユーロ(約2400万円)。今後、マリノスで経験を積み、U-20日本代表で世界の舞台で爪痕を残せば、その価値は右肩上がりに上昇していくだろう。

エース候補! 最年少記録を塗り替えるストライカー

●4位:北野颯太

市場価値:30万ユーロ(約3600万円)
生年月日:2004年8月13日(18歳)
所属クラブ:セレッソ大阪
経歴:アルテリーヴォ湯浅→セレッソ大阪U-15→セレッソ大阪U-18
2022リーグ戦成績:19試合0得点0アシスト

 近い将来、世界へ羽ばたく可能性を持った18歳のタレントがセレッソ大阪にいる。16歳のときにJ3デビューを果たし、クラブ史上最年少公式戦デビュー記録を塗り替えた。高校3年生に上がる直前の昨年2月にプロ契約を結び、昨季はリーグ戦19試合に出場。リーグ戦初ゴールはお預けとなったが、YBCルヴァンカップでは3得点を挙げてニューヒーロー賞を受賞している。

 瞬発力や俊敏性を活かしたプレーが持ち味で、高い技術力にも定評がある。U-18年代ではサイドハーフなどでもプレーしていたが、トップチームでは最前線で起用されている。昨季はリーグ戦の先発出場が2試合のみだったが、今季の開幕節では先発起用されており、小菊昭雄監督からの期待も大きい。

 現在の市場価値は30万ユーロ(約3600万円)。同じ2004年生まれのFWで最高額はドイツ代表ユスファ・ムココの3000万ユーロ(約36億円)で、当然ながら大きな開きがある。まずはFIFA U-20ワールドカップ出場権を手にし、世界の舞台でそのポテンシャルを見せつければ、トップランナーに近づく日も来るはずだ。


J2でブレイクの予感!? 兄に負けじと活躍を期すMF

●3位:佐野航大

市場価値:35万ユーロ(約4200万円)
生年月日:2003年9月25日(19歳)
所属クラブ:ファジアーノ岡山
経歴:FCヴィパルテU-12→FCヴィパルテU-15→米子北高
2022リーグ戦成績:28試合3得点2アシスト

 兄・海舟はJ2で圧倒的なパフォーマンスを見せてJ1鹿島アントラーズに移籍した逸材だが、弟の佐野海舟も兄に匹敵するポテンシャルを持っている。米子北高校では10番を背負い、3年次にはインターハイ準優勝に導き、全国高校サッカー選手権にも出場した。そして、プロキャリアを地元のファジアーノ岡山でスタートさせている。

 昨季は左ウイングバックをはじめ、様々なポジションに挑戦した1年となった。後半戦は先発起用が増え、リーグ戦28試合に出場。今季の開幕節は前半にチームの2点目をアシストし、後半にはこぼれ球を押し込んで今季初ゴールを決める大活躍だった。20歳となる今季はさらなる飛躍を予感させる。

 プロキャリアはJ2での1年のみということもあり、現在の市場価値は35万ユーロ(約4200万円)に留まる。複数のポジションをこなせる万能性も含め、佐野の存在はU-20日本代表にとっては大きな戦力となるはずだ。

驚きの“飛び級”昇格! 監督も期待のスピードスター

●2位:横山歩夢

市場価値:40万ユーロ(約4800万円)
生年月日:2003年3月4日(19歳)
所属クラブ:サガン鳥栖
経歴:FCトッカーノU-12→FCトッカーノU-15→東海大高輪台高→松本山雅
2022リーグ戦成績:29試合11得点1アシスト

 2021シーズンのJ2開幕節でいきなり起用された高卒ルーキーは、J3での大活躍を経てJ1の舞台で戦う権利を得た。横山歩夢はプロ2年目の昨季にJ3で11得点をマークし、J3松本山雅からJ1サガン鳥栖へ個人“2段階”昇格を果たしたプロスペクトである。

 圧倒的なスピードが最大の武器で、裏への抜け出しとドリブルの脅威はこの世代ではトップクラスだ。鳥栖では開幕節でいきなり途中出場し、初のJ1でも能力の片鱗を見せつけた。30分弱の出場時間でタックルを2度成功させるなど、攻守の切り替えでも存在感を示していた。

 U-20日本代表の冨樫剛一監督も「攻撃のところでしっかりかかわってほしい」と期待を寄せる。プロ1年目の2021年6月は7.5万ユーロ(約900万円)だった市場価値は1年半で5倍を超える40万ユーロ(約4800万円)まで上昇。数か月前までJ3でプレーしていた19歳が、数か月で世界の舞台でプレーしているかもしれない。


まさに怪物! ダントツの能力は世界に知れ渡るか

●1位:松木玖生

市場価値:70万ユーロ(約8400万円)
生年月日:2003年4月30日
所属クラブ:FC東京
経歴:室蘭大沢FC→青森山田中→青森山田高
2022リーグ戦成績:31試合2得点3アシスト

 松木玖生はFIFA U-20ワールドカップを目指すこの世代のトップランナーであり、J1リーグでの確かな実績を持つ貴重な選手の1人。在籍2年目となるFC東京では開幕節に90分出場し、AFC U-20アジアカップ出場に向けてチームを離れている。

 180cmという恵まれた体格を活かしたアグレッシブなプレースタイルでチームにエナジーを注入し、左足から放たれる精度の高いキックでチャンスを演出する。ボール奪取能力、走力、得点力など、あらゆる能力に秀でたオールラウンダーで、FC東京では年少者でありながらリーダーシップを発揮するメンタリティを兼ね備えている。

 国内屈指のタレントであることは間違いないが、現時点での市場価値は70万ユーロ(約8400万円)と低め。この世代のアジアカップやワールドカップなど、国際経験を積んでいけば、その実力は世界へと知れ渡り、価値も瞬く間に上がっていくだろう。