●遠藤航が考えるリバプールの6番像

 UEFAヨーロッパリーグ(EL)グループステージ第5節、リバプール対LASKが現地時間11月30日に行われ、4-0でリバプールが勝利した。この試合にフル出場した遠藤航は、ファビーニョという偉大な前任者がプレーしていたアンカーというポジションのタスクをどう捉えているのかを現地で訊いた。(取材・文:内藤秀明【リバプール/イングランド】)
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 リバプールで、6番(アンカー)としてプレーすることは簡単ではない。

 それはブンデスリーガでデュエル王として名を馳せた日本代表MF遠藤航にとっても例外ではない。シュトゥットガルトで得た経験を微調整しながら、リバプールカラーに合わせていかなければならない。

 それでなくとも6番は現代サッカーにおいて攻守の心臓とも言えるポジションだ。では今のクロップ政権のリバプールの6番はどのように振る舞うべきなのか。

 今回は、UEFAヨーロッパリーググループステージ第5節LASK戦後の日本代表MF遠藤航に、リバプールでの6番像について語ってもらった。

 日本代表の主将は「リバプールは幅がほとんどないくらいコンパクトな守備で、6番はリスクマネジメントが全て。それでもリバプールでは、攻撃の際にはより高いポジションをとりながらボールを奪いに行かないといけない」と明かす。

 この試合では高い位置でボールを奪い、2得点目の起点となった。「後ろにいて『(攻撃陣に)行ってこい』と見てしまう場面も、他のチームでは多いと思う。ただうちの(ユルゲン・クロップ)監督は、(攻撃陣と)同じスピードで高い位置をとることを求めている。もしかしたらシュトゥットガルトにいた頃ならあそこまで高い位置をとっていなかったかもしれない」と遠藤はその場面を振り返る。リバプールでは今までとの役割の違いを感じながらも、それに適応しようとしている。

「普段より5メートル前に立つだけでも、守備がかなり難しくなる。それでもいかにチャレンジするかが重要になる」

 ただ普段より高い位置でプレーすれば、味方がボールを失った時に、帰陣に時間がかかる。あるいはドリブルで仕掛ける相手に優位な状態で寄せることが出来ないこともある。

 そうなると守備時にボール奪取を仕掛けるべきか否か、非常に難しい判断が求められるように思える。しかし遠藤は意外にも、シンプルに考えているようだ。

●「リスクマネジメントができている証拠」

「(奪いに行く行かないの判断は)迷ったらいけばいい。それくらいの勢いでやらないとボールも取れないし、このチームにフィットしないと思う。そこで入れ替わられることにビビらず、一回自分が(ボールを持つ相手に)寄せることが大事だと思っているので。もし剥がされても(寄せたことで時間を作れれば)他の選手がプレスバックできたりとか、後ろのDFがボールを奪い返せたりできる。なのであまり抜かれることを恐れずに、とにかく下がらずに前向きに守備できるかが重要」

 こうした守備の判断についての考え方はあくまで原理原則。これを意識した上でさらなる発展を遠藤は意識している。「(時には)後方に下がるというより止まる選択をするべきで、それが出来るようになってきている」と明かす。

 このようにリバプールでプレーする難しさを語る日本屈指の守備的MFだが、加入から3ヶ月の時を経て、確かな手応えも感じ始めている。

「今日の試合を見ても、奪われた後に奪い返すシーンも多くなってきたと思う。自分のところで奪い返せれば、相手はキツくなるし、前線の味方は楽になって、より攻撃に出ていける。今日の試合みたいに、チャンスが多くなるのは後ろがリスクマネジメントできている証拠でもある」

「そもそも6番やセンターバックは安定感が求められると思うので、自分がいることで周りの選手が思い切って攻撃に出ていけるとか、伸び伸びプレーできるのであれば、それは自分の役割は達成できていると思う」

 遠藤が上手く調整しているのはもちろん守備面だけではない。攻撃面でも徐々に手応えを感じてきている。具体的にプレーのフィーリングが合うのは誰なのか。

●リバプールの6番という最高難易度のミッション

「今日で言うと、ハーヴィー(・エリオット)、ライアン(・フラーフェンベル)は、一緒にプレーする試合が多いので、フィーリングが良くなってきている。あとはトレント(・アレクサンダー=アーノルド)ですね。普段そんなに話すわけではないんですけど、ピッチ上になると感覚が似ている感じがする。ボールをつけるタイミング、ポジションの取り方、常にお互い目を合わせながらポジションを変えていくところがやりやすい。今日も途中から入ってきて、彼と僕とのパス交換あったけど、お互いを見ながらやれていると思う」

 また、全試合に先発しているヨーロッパリーグでは、若手選手とともにプレーすることが多い。「若い選手は勢いのあるプレーをするけど、上手くいかなくなると、ちょっとずつ悪くなっていくことはある。なので、自分は浮き沈みがないプレーを見せたい。そのあたりのメンタリティの部分は見て学んでもらえれば」と、30歳の遠藤は言う。

 現在、リーグ戦では8試合出場している遠藤だが、先発出場は2回のみ。従来のユルゲン・クロップ監督は新加入選手を大切に使う傾向にあるため仕方がない部分もある。それでもリーグ戦でも欠かせない戦力になるために、リバプールの6番を務めるという世界でも最高難易度のミッションへの挑戦は続く。

(取材・文:内藤秀明【リバプール/イングランド】)

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