明治安田Jリーグは2月23日に開幕を迎える。これまでより2チーム多い20チームで争われる今季は、例年よりも熾烈な戦いが繰り広げられるだろう。そんなシーズンを前に、J1全20クラブの補強を精査し、昨季との比較からパワーアップしたクラブをランキング形式で紹介する。※情報は1月29日時点
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11位:京都サンガ

 順位を前年の16位から13位に上げ、2季連続でJ1残留を勝ち取った京都サンガF.C.は、就任4年目の曺貴裁監督の下で2023シーズンに臨む。各ポジションで選手の入れ替わりがあるが、指揮官が目指すソリッドなスタイルを実現できそうな面々が加わっている。

 J1で戦ったこの2シーズンで最終ラインを支えた井上黎生人が浦和レッズに移籍し、経験豊富な鈴木義宜と水戸ホーリーホックで活躍した松田佳大を獲得している。宮本優太は右サイド、鈴木冬一は左サイドでプレー可能で、前者は流通経済大学時代に、後者は湘南ベルマーレ時代に曺監督の指導を受けた経歴があり、鈴木にとっては松田天馬ら元チームメイトが多くいることがフィットの助けになるだろう。中盤で推進力を見せながらゴールに絡むことのできる塚川孝輝も、京都のスタイルにすぐにフィットしそうだ。

 昨夏に期限付き移籍で加入したGKク・ソンユンは完全移籍で今季からプレーすることになった。昨季チームトップの10得点を挙げたパトリックは名古屋グランパスに移籍したが、マルコ・トゥーリオを獲得している。オーストラリアから来たブラジル人FWはチャンスメイクも得意な万能型FWだが、Jリーグ初挑戦ということもありその実力は未知数だ。過去2年はピーター・ウタカやパトリックといった得点力のあるFWに助けられた部分もあり、トゥーリオの活躍はチームのせいせきを左右することになりそうだ。

 スタイルにフィットしそうな新戦力を加えたが、ふたを開けてみないと分からない部分も多い。新加入選手がこの評価以上のパフォーマンスを見せることができれば、チームは昨季以上の位置に浮上できるかもしれない。

J1全20クラブ補強評価ランキング11〜20位 全チーム紹介
J1全20クラブ補強評価ランキング1〜10位 全チーム紹介

12位:ジュビロ磐田

 昨季は大混戦の2位争いを制してJ1自動昇格を決めたジュビロ磐田だが、今季は大きくメンバーが入れ替わることになる。J2最多アシストの鈴木雄斗が湘南ベルマーレに、チーム最多タイの9得点をマークしたドゥドゥがジェフユナイテッド千葉に、後藤啓介はベルギーのアンデルレヒトに活躍の場を移している。遠藤保仁の現役引退が与える影響もあるだろう。

 昨季の正GK三浦龍輝は残留したが、GK陣は刷新されることとなった。最終ラインは主力が残留した一方で、高畑奎汰と西久保駿介という若いサイドバックが加わった。中盤にはJ1での経験も十分な中村駿とJ2トップクラスの司令塔に成長した平川怜が加入。サイドバックと中盤をポリバレントにこなす川﨑一輝も、与えられる役割次第では大化けする可能性を秘めている。

 チームの浮沈を決めるのは、新加入のブラジル人カルテットになるかもしれない。190cm94kgという巨体を活かしたプレーを得意とするマテウス・ペイショットは得点源として、サイドからのチャンスメイクに長けるブルーノ・ジョゼはアシスト王が抜けた右サイドからの攻撃力アップを期待される。ウェベルトンは21歳と若いが、ブラジルの名門フラメンゴの下部組織に在籍した経験を持つアタッカーで、一気にブレイクするかもしれない。彼らを後方から支えることになるレオ・ゴメスは守備力にも長けるファイターだ。

 日本で初めてプレーするブラジル人が4人、そしてJ1でのプレー経験がほとんどない若手も多く加入しており、予想は難しい。J1残留というミッションは決して簡単ではないが、それを達成するに足るスカッドは整ったのではないだろうか。

13位:鹿島アントラーズ

 鹿島アントラーズは5年連続無冠という結果に終わり、岩政大樹監督に代えてランコ・ポポヴィッチ監督を招へいしている。今季新たに加わったのは、期限付き移籍から復帰した山田大樹も含めた5人。柴崎岳を新キャプテンに据えて新シーズンに臨む。

 5人という比較的少ない新戦力に対し、11人が退団した。ただ、ディエゴ・ピトゥカ、後半戦に出場時間を伸ばした広瀬陸斗を除けば、出場機会をあまり得られなかった選手たちが多い。それを考えれば大きな戦力ダウンというよりは、スカッドをスリム化した印象が色濃く映る。

 誤算だったのはヨシプ・チャルシッチの加入が白紙になってしまったこと。完全移籍での加入で合意していたが、メディカルチェックにおける内科検査で問題が確認されたため、加入することができなくなった。統率力のある左利きのセンターバックは、退団した昌子源とキム・ミンテのようなバックアッパーのみならず、関川郁万と植田直通を脅かす存在になると期待されていた。このままだと最終ラインは選手層が一気に薄くなる恐れもある。

 評価としては相対的にマイナスとなるが、ポポヴィッチのお眼鏡にかなう人材が一気に飛躍するかもしれない。そういった意味では大卒ルーキーの濃野公人、成長著しい松村優太、大卒2年目の師岡柊生らがブレイクする可能性はある。反対に考えると、そういった台頭がなければタイトル争いに絡むのは難しいだろう。

14位:東京ヴェルディ

 16年ぶりのJ1復帰となった東京ヴェルディは、14人を加えてJ1の舞台に挑戦する。期限付き移籍で加入していた中原輝はチームを去ったが、シーズンを通して活躍した主力は軒並み残留。J2で活躍した若手を数多く引き連れてJ1の舞台に挑む。

 ともに京都サンガF.C.から期限付き移籍で加入した木村勇大と山田楓喜は、ゴールへの推進力と前線に高さをもたらす存在で、プレータイムを確保できれば一気に飛躍するだけの潜在能力を秘める。ガンバ大阪から期限付き移籍した山見大登も同様。ジェフユナイテッド千葉から完全移籍した見木知哉もJ1での実績こそ少ないが、中盤のどこでもプレーできる能力を持ち、城福浩監督の起用法次第で大きく化けるかもしれない。

 昨年のFIFA U-17ワールドカップに出場した山本丈偉は17歳ながらトップチーム昇格を果たし、AFCアジアカップカタール2023に日本代表のサポートメンバーとして参加したGK中村圭佑らを含めて将来性のある選手が数多く控える。J1に昇格してもぶれずに育成路線を突き進む。

 J1全20クラブと比較してみると、ヴェルディの補強は小粒感が否めない。ただ、近年で言えば渡辺皓太のように、将来的にJ1で輝くポテンシャルを持つ選手は多い。補強ではなく彼らの成長こそが、J1に残留できるかどうかを決めることになるかもしれない。

15位:湘南ベルマーレ

 昨季の湘南ベルマーレは4か月白星から遠ざかるという苦しい時期も経験したが、終盤戦にかけて調子を上げて残留を決めた。2021年9月から指揮を執る山口智監督の下で目指すコンセプトは不変だが、上積みがなければ今季も苦戦する時期があるかもしれない。

 昨夏に続いてエースがチームを離れた。昨夏にドイツへ移籍した町野修斗に代わる得点源として、昨季のリーグ戦で13得点をマークした大橋祐紀がサンフレッチェ広島に移籍。栃木SCへ期限付き移籍していた根本凌が復帰するとともに、ジュビロ磐田、アビスパ福岡で活躍したルキアンが加入している。ルキアンはJ2で22得点を挙げた2021シーズンの印象が強いが、J1最多得点は昨季の5得点。根本は昨年8月に負った左膝前十字靭帯断裂の怪我からの復帰を目指している段階で、両選手の加入により穴が埋まったと言い切ることはできない。

 タリクと大橋を除けば、中盤から前の陣容は昨季とほとんど変わらず。最終ラインも昨夏に期限付き移籍で加入していたキム・ミンテが完全移籍で加わることになり、昨季デビューした関西大学出身の高橋直也も正式に加入する。石原広教が抜けたサイドには昨季のJ2アシスト王でもある鈴木雄斗が加わった。山本修斗、永木亮太といったベテランや齊藤未月や石原といったユース出身者の退団がもたらす影響は計り知れないが、戦力の単純計算として大きなマイナスはエースの退団のみに抑えられたと言えるだろう。

16位:アルビレックス新潟

 J2優勝メンバーを中心に据えて臨んだ昨季は、夏に大黒柱の伊藤涼太郎を失ったが、10位という成績でJ1残留というミッションをクリアした。攻撃的なスタイルを貫きながらも、4戦連続無失点を記録した昨季終盤の戦いは今季につながるだろう。ただ、今オフは複数の主力が他クラブへ移籍しており、一筋縄ではいかないシーズンになりそうだ。

 センターバックと左サイドバックをこなせる渡邊泰基が抜け、空中戦に強い遠藤凌がいわきFCへの期限付き移籍から復帰した。高宇洋が抜けた中盤にはいわきFCの宮本英治を、三戸瞬介が抜けた2列目にはヴァンフォーレ甲府の長谷川元希と、それぞれJ2で結果を残した選手を獲得している。さらに、松橋力蔵監督が横浜F・マリノスのアカデミー時代で指導した小野裕二の加入は必ずプラスになる。

 高、三戸、渡邊のように活躍した選手が他クラブへ移籍する中で、J2で活躍した20代前半から中盤の選手やアカデミーからの昇格も含めた新卒組を抜擢するというサイクルは今後も変わらないだろう。ただ、遠藤や宮本がすぐにチームにフィットできるかは未知数で、相対的な評価としては控えめなものになった。

17位:柏レイソル

 昨季途中に監督交代があった柏レイソルは、最終節でなんとか残留を決めた。今季は33人という大所帯で1桁順位を目指すことになる。昨季に比べると、今オフはそこまで大きな変化はないが、中盤は少し顔ぶれが変わることになりそうだ。

 椎橋慧也、仙頭啓矢、山田康太の3人がそれぞれJ1クラブへ移籍した。彼らの穴を埋める活躍が期待されるのが、J2からやってきた3人。レイソルアカデミー出身の白井永地は中盤を主戦場とし、昨季J2で40試合に出場した。右サイドでのプレーを得意とする鵜木郁哉もアカデミー出身で、J2水戸ホーリーホックへの期限付き移籍により一回り成長して帰ってきた。島村拓弥も右サイドでプレーできるアタッカーで、昨季はロアッソ熊本で7アシストを記録した期待の若手だ。

 昨夏に期限付き移籍で加入して残留のキーマンとなった犬飼智也が完全移籍に切り替わる形でチームに残留したことは大きい。モンテディオ山形から加入した野田裕喜も、白井らと同様にシーズン通してレギュラーとして活躍した実績を引っ提げてJ1に挑戦する。

 新加入選手の多くがJ1での実績に乏しいが、J2での活躍を経ての個人昇格という点では、昨季活躍した山田康太と共通点を見出せる。ただ、全体的に見れば戦力アップと評価することは難しい。

18位:アビスパ福岡

 J1昇格から3年目の昨季はクラブ最高順位となる7位でシーズンを終えるとともに、JリーグYBCルヴァンカップのタイトルを手にした。今季は他クラブからのマークも激しくなるとともに、高い評価を受けた選手たちが軒並み移籍しており、場合によっては厳しい戦いを強いられる可能性も否定できない。

 やはりエースが抜けた穴は大きい。2シーズン続けてリーグ戦全試合に出場し、ともに10得点を挙げた山岸祐也が名古屋グランパスに移籍。ルキアンも湘南ベルマーレへ移籍している。代役として獲得したナッシム・ベン・カリファは前線で起点となるFWだが、2シーズンで7得点に留まり、決定力という点では前任者に劣る。サガン鳥栖から加入した岩崎悠人、東京ヴェルディへの期限付き移籍から復帰した北島祐二は2列目を主戦場としている。紺野和也や金森健志といった既存戦力とどう融合し、ゴールに結びつけていくかが課題となりそうだ。

 井手口陽介が抜けた中盤には松岡大起が加わった。ブラジルではなかなか試合に絡むことができなかったが、インテリジェンスの高さと豊富な運動量は前任者に勝るとも劣らないポテンシャルを持つため、大きなマイナスにはならないかもしれない。ただ、全体的に見ると、主力の抜けた穴を補強でカバーできたとは言い難い。昨季のような結果を残すには、既存戦力の底上げが必須となることは言うまでもない。

19位:北海道コンサドーレ札幌

 上位を目指しながらも中位に留まり続ける北海道コンサドーレ札幌は、今季もミハイロ・ペトロヴィッチ監督の下でJ1に挑む。ミシャ政権はクラブとしても、来日18年目の指揮官自身にとっても最長の7季目に突入。一方で、2024シーズンを戦う陣容は大きく様変わりすることになる。

 主力を複数年に渡って担ってきた選手が抜けた。在籍5年のルーカス・フェルナンデスと、在籍4年の田中駿汰はともにセレッソ大阪に、J2時代も知る福森晃斗も9年間に及ぶ札幌でのキャリアを終えた。3年間でJリーグ15得点を記録した小柏剛もFC東京へ移籍。ルーカス、田中、小柏は心強い味方から同じカテゴリーで戦うライバルになった。

 もちろん、出ていく選手もいれば新たに加わる選手もいる。鈴木武蔵は札幌に在籍した2019シーズンに13得点を挙げた経歴を持ち、ミシャサッカーをすでに知っているというアドバンテージがある。長谷川竜也も経験豊富で、ミシャスタイルとの親和性が高そうだ。近藤友喜も金子拓郎やルーカスといった打開力のあるサイドプレーヤーが抜けた今の札幌には必要な人材だろう。いわきFCから加入した家泉怜依はJ1での実績こそないが、伸び盛りの24歳。J3から這い上がった岡村大八と似たキャリアで、ミシャの下で進化すれば面白い存在になるだろう。

 主力が多く抜けたことで、相対的な補強評価としてはあまり高くない。ただ、このクラブではこれまで多くの若手が飛躍のきっかけを掴んできただけに、昨季の成績を上回るチャンスもある。

20位:サガン鳥栖

 昨季はシーズン後半に調子を落とし、前年を下回る14位という成績に終わった。シーズンオフの入れ替わりの激しさは例年通りと言ったところで、14人の新加入選手を迎えて2024シーズンに臨む。

 攻撃陣は顔ぶれが大きく変わることになりそうだ。昨季9得点の小野裕二がアルビレックス新潟に、31試合に出場した岩崎悠人がアビスパ福岡にそれぞれ移籍した。横浜FCから加入したマルセロ・ヒアンは21歳と若く、来日3年目の今季は大きく成績を伸ばす可能性があるだろう。ヴィニシウス・アラウージョはモンテディオ山形時代に2シーズン続けて14得点を記録したが、ここ2シーズンは不本意なシーズンとなった。Jリーグ5年目となる今季は勝負のシーズンとなるだろう。

 東京ヴェルディをJ1昇格に導いた中原輝は右サイドからチャンスを作るアタッカーで、岩崎とは異なる特徴で鳥栖の攻撃力をアップしてくれるだろう。また、最終ラインと中盤に大きな変化はないが、木村誠二やキム・テヒョンといった将来性のあるセンターバックは鳥栖に何かをもたらしてくれそうだ。

 鍵を握りそうなのがベテランの丸橋祐介の加入だ。昨季は菊地泰智が本職ではない左サイドバックを務めることが多かったが、スペシャリストの加入により菊地の起用の幅も広がる。補強だけの評価としては低くなってしまうが、川井健太監督の起用次第では現有戦力の底上げも期待できそうだ。

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