●浦和レッズはブラッシュアップされたのか

明治安田J1リーグ第5節、浦和レッズ対アビスパ福岡が30日に行われ、浦和が2-1で勝利した。新加入のDF渡邊凌磨とFWチアゴ・サンタナに初得点が生まれたこの試合で、浦和の攻撃はブラッシュアップされたと同時に、さらに上を目指すために必要なことも垣間見えた。(取材・文:石田達也)

【動画】渡邊凌磨がゴール! 浦和レッズ対アビスパ福岡
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「攻撃では、たくさんの良いプレーが見られたと思うし、この素晴らしいファン・サポーターの前で勝利を収めることができて嬉しく思う」とペア・マティアス・ヘグモ監督は振り返った。

 圧倒的な戦力を補強し優勝への期待が大きい浦和だが、リーグ戦4試合を終えて1勝2分1敗の12位。アビスパ福岡戦は浦和にとって今シーズンホーム初勝利をかけた一戦でもあり、俗に言う“ヘグモ式4-3-3”の新機軸を作り上げているなか、約2週間の中断期間を経て攻守両面でのブラッシュアップが図られているかがキーポイントとなる試合でもあった。

 両ウイングが仕掛けていくシチュエーションをどれだけ作れるか、それによりトップが生きる。立ち上がりからアグレッシブな姿勢でゲームに入ったホームチームに決定機が訪れた。5分、右ウイングのFW前田直輝が逆サイドに振り、FW大久保智明がオーバーラップするDF渡邊凌磨にパス。絶妙なクロスをFWチアゴ・サンタナがヘディングで狙うが惜しくもクロスバーを越えた。続く7分にはチアゴ・サンタナがミドルシュートを放つも相手キーパーに好セーブされる。

 その中、先にスコアを動かしたのは福岡だった。28分、浦和が敵陣内でボールを動かして崩すタイミングを窺っていたが渡邊がトラップミスで後逸。これがFWシャハブ・ザヘディに渡ると強烈なミドルシュートを叩きこまれた。

●「前日の練習終わりに言われた」新たなオプション

 前半を0-1で終えたが決して内容は悪くはない。ヘグモ監督は「前半で4つの大きなチャンスを作ることができた。相手が作ったチャンスは1回だった。ハーフタイムには選手たちに落ち着いてボールを動かそう、無理してボールを難しいところに通そうとするのは避けようと話した。前半はダイレクトに狙い過ぎたプレーが多かった。後半はよりサイドからサイドにボールを動かしながらギャップを作ろうという話をした」と言う。

 ここで指揮官は59分にオプションの1つであるDF大畑歩夢を投入し左ウイングに配置。「前日の練習終わりに言われた」(大畑)とのこと。しかしプレーが切れた時点で渡邊と大畑は立ち位置が変わると、65分、DF酒井宏樹のクロスにファーサイドでフリーになった渡邊が左足で合わせ同点ゴールを奪った。一度、相手ディフェンダーの前に顔を出すと、ボールの軌道を確認し背後へと抜ける。それはまさにゴールを射止めるハンターの動きそのものだった。

 渡邊は「(失点につながった)前半のミスを取り返したい一心で、なるべくゴール前に入りたいと思って入っていたし、それが結果につながった。あれでプラマイゼロというか、勝てたので良かったが引き分けだったら自分のことを責めていたと思う」と胸をなでおろした。

●「満足していない」指揮官が問題視した浦和レッズの試合運び

 安定したボール保持から攻撃に出ると前田のクロスが福岡DF井上聖也の腕に当たりオンフィールドレビューを経て浦和にPKが与えられると、このチャンスをチアゴ・サンタナが決め切り2−1で逆転。ここまで結果が出ていなかった助っ人に待望の移籍後初得点が生まれた。

 渡邊は言う。「ストライカーが決めることで士気が高まると言うか、そこからチアゴのプレーが良くなった。チアゴとしても嬉しいと言うか、ほっとした一面もあるだろうし、相乗効果でチームがどんどん良い方向に向かっていけばいい」。

 その後もセカンドボールを拾い、サイドからサイドにボールを動かしチャンスを作ったが追加点は奪えずに試合は終了し、浦和が今シーズンのホームゲーム初勝利を飾った。

 この日、福岡よりも10本多い、14本のシュートを記録したが、指揮官は攻撃面でのさらなるブラッシュアップを求める。「後半では6つか7つの大きなチャンスを作り、2点を取ることができた。2-1になった時に、あまりいかなくなったことには満足していない。攻め続けて3点目、4点目を取りにいかないといけない。アビスパも攻撃に出てきていたので、それを終わらせるためにも点を取らないといけない」。

 相手の息の根を止め、戦意を喪失させるためには3点目、4点目となる追加点が必要だ。1つの考え方ではあるが、相手が点を取らなければいけない状況であれば、人数をかけリスクを負って攻撃を仕掛けてくるだろう。そこで受け身になり相手の圧力に屈すればピンチにさらされる。また事故のようなケースからの失点も考えられるからこその発言でなはないだろうか。

●『We are Diamonds』を歌った渡邉凌磨の心境と覚悟

 チーム最多タイとなる3本のシュートを放った渡邊は、チームメイト、そして歓喜に酔いしれるファン・サポーターと共に『We are Diamonds』を歌った。「率直に嬉しいし、最後にみんなで歌ったり、今までやってきたことを思い出す数分間だったが、今は全然満足していないし、このチームでもっと上にいきたい思いの方が強いので次節も絶対に負けられない戦いがあるし1試合1試合やっていければと思う」と喜びも半分の様子だ。

 昨シーズン、左サイドバックで主力を担ったDF荻原拓也とMF明本考浩が海外へと移籍した中で、渡邊がサイドバックに挑戦中だが、「サイドバックを極めようと思っている」と覚悟を滲ませた。まだ道半ばでもあるが、苦悩の数だけ増やした膨大な引き出しは時を経て自分自身の財産となるはずだ。

 次節は中3日でFC東京と対戦する。渡邊にとっては古巣戦となるが「がんがん行って、勝って喜びたいと思う」と意気込む男は、誰よりも自分の可能性を信じている。

(取材・文:石田達也)

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