●徳島ヴォルティス

明治安田J2リーグが開幕し、各チームは8試合を消化した。J1昇格に向けロケットスタートを見せるチームがある一方で、勝ち点を積み上げることができず、今後に向け不安を残すチームも多い。今回は、開幕でつまずき黄信号が灯っているチームを6つ紹介する。
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順位:20位(勝ち点5)
成績:1勝2分5敗(7得点14失点)
監督:増田功作(暫定監督)

 徳島ヴォルティスは、クラブ創設以来の危機に瀕している。

 徳島はポゼッションサッカーをチームスタイルに掲げ、2022年にはレアル・ソシエダと育成業務提携を結んだ。近年は監督にスペイン人を招聘し、スペインのパスサッカーをクラブの軸として確立させてきた。

 その流れが変わったのは昨季だった。ベニャート・ラバインが監督に就任するとスタートダッシュに大失敗。夏に解任され、吉田達磨監督が後任を務めることになった。

 吉田監督は従来のパスサッカーではなく縦に早いサッカーを目指し、何とかJ3降格を免れることができた。しかし、吉田体制2年目の今季は巻き返しを図りたいところだったが、2年連続でスタートダッシュに失敗。チームの象徴である西谷和希が開幕2試合のみの出場と冷遇されており、サポーターのフラストレーションは募るばかりだった。

 第7節で同じく今季絶不調のザスパクサツ群馬に敗戦すると、サポーターの怒りが爆発。この非常事態を受け、クラブは群馬戦の翌日に吉田監督の解任、また岡田明彦強化本部長の辞任を発表した。クラブに25年以上携わり、ラ・レアルとの結びつきにも尽力した人間がクラブを離れることは、徳島が積み上げて来たものが崩れ去ってしまう危険性を孕んでいる。

 4月1日には島川俊郎が突然の現役引退を発表。今季全試合に出場している島川の電撃引退は、徳島の抱える問題が我々の想像よりはるかに大きいことを暗に示している。そして、西谷和希の契約解除も発表された。明けない夜はないが、徳島の夜はずいぶんと長いものになるかもしれない。

このままだと非常にヤバい…。J2リーグで大苦戦するチーム 全チーム紹介
このままだと非常にヤバい…。J2リーグで大苦戦するチーム(1)
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●ジェフユナイテッド千葉

順位:13位(勝ち点10)
成績:3勝1分4敗(20得点12失点)
監督:小林慶行

 ジェフユナイテッド千葉は昨季、監督に小林慶行を据え6位でシーズンを終えた。2017年以来の昇格プレーオフにも進出し、確かな成長を感じたシーズンだったといえる。今季はジュビロ磐田からエドゥアルド、藤枝MYFCから横山暁之を獲得し中盤の層を厚くした。しかし、悲願のJ1昇格に向け息巻いた今シーズンだったが、何とももどかしい時間を過ごしている。

 第7節終了時点で2勝1分4敗。得点はとれているのだが、その分失点も多い。2トップの技術、特に2年目の小森飛絢の個に頼る攻撃をしているため、小森の調子次第で攻撃が機能不全に陥ることもしばしばだった。また、昨季6位の原動力となった田口泰士、今季の目玉補強の1人と言っていいエドゥアルドが離脱したことも大きな痛手に。。中盤の要である2人を欠いた第4節以降、4戦連続で未勝利の状態が続いていた。2人の影響力は痛感しているだろうが、彼らが復帰するまでに順位を回復しておきたい。

 第8節の栃木SC戦では8-0と歴史的大勝を収めたジェフ千葉。ド派手な勝利だっただけに、この勝利を上昇気流に変えたいところだ。ここから勝ち点を積み重ね、2009年に止まったままの時計の針をまた動かすことはできるだろうか。

●藤枝MYFC
順位:17位(勝ち点7)
成績:2勝1分5敗(3得点13失点)
監督:須藤大輔

 悲願のJ2昇格から2年、藤枝MYFCは早くもJ3降格の危機を迎えている。

 藤枝はJ2初年度の昨季、リーグワーストの72失点と粗さが目立ったものの、その分61得点と多くの得点を積み重ね、最終的に12位でフィニッシュ。初のJ2挑戦にしては上出来の結果で1年目を終えた。今季は課題の守備改善に向けブラジル人のカルリーニョスを獲得。背番号10を背負っていた横山暁之(ジェフユナイテッド千葉)が退団し痛手を負うも、中島大嘉(北海道コンサドーレ札幌)をローンで獲得するなど、J1クラブからも選手を引き抜き、スカッドに厚みを加えた。

 しかし、昨年を超える躍進を期待された藤枝だが、問題のディフェンス面は改善されるどころか悪くなる一方だ。3失点以上で敗戦した試合がすでに3試合あり、苦しいディフェンス事情の改善はまだまだ先になりそうだ。一方的に攻められる展開が多いというわけではなく、ボール支配率も相手より高いのだが、無理に最終ラインからボールを繋ごうとして奪われ、ピンチを招くことが多く、ポゼッションの意識が悪い方向に働いている印象だ。

 ただ、その意識がいい方向に働くこともある。第6節・ロアッソ熊本戦の1点目はGKからの正確なパスから速攻を始め、ゴールまで繋げた。8試合を終えまだ3得点という結果は気になるが、昨季同様に攻撃力を高めれば順位は上がっていくかもしれない。

●ザスパクサツ群馬

順位:19位(勝ち点5)
成績:1勝2分5敗(5得点11失点)
監督:大槻毅

 J1昇格に向け着実に順位を上げてきたザスパクサツ群馬だが、今季は不調にあえいでいる。

 2022シーズンから群馬で指揮を執る大槻毅監督は繋ぐサッカーを第一に、自由自在なビルドアップで攻撃を展開し、昨季は22チーム制となったJ2リーグで最高順位となる11位でシーズンを終えた。今季はルーキー時代に群馬で17ゴールを記録した高澤優也を連れ戻すなど、初のJ1昇格に向け準備は万端だったといえるだろう。

 しかし、シーズンが始まると開幕6戦未勝利と絶不調。ビルドアップに固執しすぎて攻撃が遅くなり、クロスで中に合わせる選択肢しか残っていないことが多い。今季8戦を終え、2得点以上を記録した試合は一度もない。攻撃的なサッカーを嗜好する中で、その得点力不足を是とすることは出来ないだろう。要所での詰めの甘さも散見され、第6節ファジアーノ岡山戦でロスタイムに勝ち越し弾を献上した場面では、ペナルティエリア内に群馬の選手が9人いるのにもかかわらず、悠々とゴールを決められてしまった。

 第7節の徳島ヴォルティス戦で待望の初勝利を飾った群馬だが、第8節大分トリニータ戦は0-2で完封負けを喫した。群馬が昨季のような姿を取り戻すことはあるか。

●モンテディオ山形

順位:14位(勝ち点10)
成績:3勝1分4敗(8得点9失点)
監督:渡邉晋

 オーストラリア人監督のピーター・クラモフスキーが指揮を執った昨季のモンテディオ山形は、開幕2連勝の後に5連敗を記録。早々に監督を渡邊晋に交代した。その後、連敗記録は8まで伸びたものの、5月以降に調子を戻すと最終的に5位まで順位を回復させ、2年連続で昇格プレーオフに駒を進めた。今季は得点源のチアゴ・アウベス(東京ヴェルディ)が退団したが、代わりにベガルタ仙台から氣田亮真を獲得し、J1昇格に向け気合いは十分だった。

 しかし、いざ開幕すると攻撃力不足が露呈した。昨季2桁得点をマークした藤本佳希は開幕戦のみの出場にとどまり、ほかの攻撃陣も軒並みパッとしない。高橋潤哉だけが8試合で4ゴールと気を吐いている現状だ。現在の山形は日本人のみで構成されている。純国産チームと言えば聞こえはいいかもしれないが、高橋頼みのサッカーから脱却するためには決定力のある外国人ストライカーの獲得が急務だろう。

 昨季のように一時、21位まで低下していた順位を5位まで回復することは可能かもしれないが、昨季それができたのは、6試合連続ゴールを記録したアウベスのような爆発力を持った選手がいたからだ。そのような選手をできるだけ早く補強しなければ、2015年以来のJ1の舞台は夢へと消えるだろう。

●水戸ホーリーホック

順位:18位(勝ち点6)
成績:1勝3分4敗(4得点7失点)
監督:濱崎芳己

 2000年のJ2昇格以来、一度も昇降格をしたことがない「J2番長」の水戸ホーリーホックは、昨年と同じくシーズン序盤、下位に沈んでいる。

 昨季はリーグワースト4位となる66失点と守備面に不安が募るシーズンを送った水戸。守備の改善を図るために大卒のフレッシュな選手を多数獲得した。攻撃的なポジションにも柏レイソルから有望株の落合陸をローンで獲得し、17位に終わった昨シーズンから巻き返しの1年になるかと思われた。

 しかしながら、今季の水戸の戦い方は昨季のそれと全く様相が異なる。昨季課題だった守備は8節終了時点で7失点と大幅に改善され、若い選手を獲得する戦略はハマったといえるだろう。ただ、それ以上に得点力不足が深刻だ。8試合中5試合が無得点試合であり、第5節・ファジアーノ岡山戦から第7節・鹿児島ユナイテッド戦にかけて3試合連続無得点も記録してしまった。その結果、今季の勝利は開幕節での1勝のみとかなり苦しい状況が続いている。

 昨季の水戸はこのあたりから調子が上向いてきたが、今シーズンもその再現となるだろうか。そのためには、まず久しぶりの勝利をあげ、サポーターを安堵させてほしいところだ。

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