米自動車最大手ゼネラル・モーターズ(GM)は今年第2四半期(4〜6月)の純利益が24億ドル(約2660億円)に上り、アナリストらの予想を上回った。米自動車業界が置かれている理想的とはいえない状況下でも、メアリー・バーラ最高経営責任者(CEO)が優れた経営手腕を発揮していることを示すものだ。

だが、それでもGMの投資家らは、同社が減速する米国の自動車市場に対応していくことができるのかどうか、気をもみ続けている。米電気自動車(EV)メーカー、テスラのイーロン・マスクCEOが7月下旬、首都ワシントンとニューヨークを29分で結ぶ超高速交通システムの建設計画に政府から「口頭で」承認を得たとツイッターに投稿した際の投資家の反応とは、まるで対照的だ。

マスクのこの発言の意味や、この計画が実現可能であるのかどうかについて、恐らく理解している人はいない。だが、それでも同社の株価は同日、前日から4.66ドル上昇した。

さらに、価格3万5000ドルのテスラの「モデル3」をめぐる投資家らの興奮は、今も続いている。マスクはカリフォルニア州のフリーモント工場で生産する同モデルの生産台数を、今年末までに1日当たり1000台に引き上げると約束しているが、大量生産を始めるにはまだかなりの時間がかかりそうだ。同モデルは、最初の30台が7月28日に購入者のもとに届けられたばかり。一方、GMは30分で30台の車を生産している。

異なる評価基準

ウォール街はGMとテスラを異なる基準で見ているようだ。バーラCEOのリーダーシップの下、GMは業績目標を達成し、あるいはそれを上回る結果を残してきた。バーラが就任して以降の3年間にGMが上げた利益は、およそ220億ドルに達する。

対するテスラは今のところ、通期の最終損益で黒字を達成したことがない。それでもマスクは、事業拡大計画を推進するにあたり、投資家を引き付けることに何の問題も抱えていない。投資家らがそれほど簡単にマスクを信用する一方、バーラが同様の見方をされないのはなぜだろうか?

理由の1つは、GMには投資家らを失望させた過去があるということだ。その最たるものが、2009年に行った米連邦破産法11条の適用の申請だ。投資家らが保有していた株は、紙くず同然になった。バーラが就任するおよそ4年半前のことだが、それでもこの事実は、CEOが背負っていかなければならない重荷だ。

また、タイミングの問題もある。CEO就任後、バーラは実績を積んできた。だが、米自動車業界は循環的な下降局面に向かっており、投資家らはGMの業績も悪化すると予想している。同社は需要の減少に合わせて生産台数を減らす方針を示し、失われる分の利益はコスト削減その他の努力で相殺することが可能だと説明している。

投資家は一般的に、企業が過去に何をしたかではなく、将来に何を目指しているかに注目する。この点についていえば、ウォール街はバーラの戦略ではなく、マスクの夢により心を踊らせているということだろう。

ただ、GMの事業計画を見れば、その戦略が予想される市場の動向にどれだけ配慮したものになっているかが分かるはずだ。「車の購入者」が「交通手段の利用者」に変わる将来へと向かう中でも、GMは主導的な立場にある。車の自動化や電化に関する技術開発も推進しており、サンフランシスコでは現在、自動運転車のシボレーボルトEV約180台の試験を実施中だ。

バーラとGMの最高財務責任者はこれまで投資家らに繰り返し、将来の技術に多額の投資を行うことが、同社が米国事業で10%の利益率を維持することにつながると説明してきた。ただ、2人はマスクと異なり、ウォール街に対してその言葉を証明していかなければならない。

Joann Muller