米国を象徴するコンセプトとして世界中に輸出されてきたショッピングモールが今、困難な時代を迎えている。

アナリストの中には、全米のモールの4分の1が今後5年で閉鎖の危機に直面すると予想する者もいる。主な理由は、ネット通販人気の高まりだ。米国では今年、ラジオシャック、JCペニー、Kマート、シアーズ、メイシーズ、ペイレス・シューソースなどの有名チェーンが3200店以上閉鎖した。その多くが大型施設内の店舗であり、閉鎖により近隣地域に問題を生んでいる。

だが、こうした暗い見通しにもかかわらず、テクノロジー大手各社は状況を楽観視しており、私たちは大きな変化の時を迎えつつある。

アマゾンによる134億ドル(約1兆5000億円)でのホールフーズ買収は、事業の多くの側面で実店舗に依存している。同社は、店舗の巨大スペースを、オンラインで購入される商品の集積場所として使用し、全米の大半の家庭に商品を届けられる配送拠点とすることをもくろんでいる。

アマゾンは現在、ホールフーズが持つ排他的で高価なイメージの払拭に努めている。また将来的には、現在自社内で試験運営中のレジ支払い不要店舗「アマゾンGO」といったコンセプトを導入することで、レジ係の人員を削減する可能性もある。

一方、アップルも同じ路線を積極的に進んでいる。バズフィードは最近、アップルの幹部で最も高い報酬を受け取っているアンジェラ・アーレンツ上級副社長(小売担当)の詳細なプロフィール記事を掲載した。

アーレンツが統括するアップルストアは今後、タウンスクエア(街の広場)モデルに基づき、野心的に拡大される予定だ。同モデルを採用した店舗では、公共の場に見立てた空間に商品を展示し、人々に商品に親しんでもらうと同時に、その街の生活に溶け込んだ空間での全く異なる経験という比類なきカスタマーサービスを提供する。

アップルストアの前を通った際に目に入ってくるのは、何十人もの若者が無料WiFiを利用したり、iMacを試用したりしながら思い思いの時間を過ごす中、セールススタッフが控えめに顧客対応に当たっている様子だ。

世界の都市部の中には、ショッピングモールが生活に不可欠な存在となっている地域がある。特に中東では、厳しい気候と車での移動の必要性から、大半の人が余暇にモールを訪れる。

映画館やスーパー、有名チェーン店などが入るモールは、多数の人を引き寄せる作りになっており、訪れた人は店から店へとぶらぶらと歩き、フードコートで食事し、子供はその間、監督者のいるスペースで遊ぶことができる。こうしたショッピングモールは長年にわたり成功を収めてきた。

だが、ショッピングモールというコンセプト自体が米国から世界へと広がったように、モールが直面している危機もまた、他の国へと波及するのだろうか? あるいは、今起きていることは、単なるテクノロジー大手による実店舗の機能の再定義なのだろうか?

店舗は商品の陳列を超えた新たな役割を担い、客を引きつけ保持する他の特徴を持つようになったり、インターネット配送網に統合されてネット通販商品の受け取りや返品ができる拠点となったりするのだろうか? あるいは、自社商品の宣伝に関連したイベントの場となるのだろうか?

配送は、経済と都市部の生活にとって非常に重要だ。こうしたテクノロジー企業による新たな実店舗関連プロジェクトは、新たなトレンドを示しているのか、それとも自分たちのニーズを満たすためだけのものなのだろうか? 未来のモールは、新生ホールフーズのような姿をしているのだろうか? それとも、アマゾンGOやアップルストアのような姿になるのだろうか?

Enrique Dans