米ネット通販最大手アマゾンによる買収以来、高級スーパーマーケットチェーン、ホールフーズの売上高は目覚ましく増加している。主要商品の値下げを大々的に宣伝したことが一因ではあるが、アマゾン独自のサービスが利用可能になったことも影響しているだろう。

買収の完了直後から、ホールフーズは一部商品について最大43%の値引きを実施。また、宅配専用ロッカー、「アマゾン・ロッカー」をはじめとするアマゾン利用者向けのサービスの提供も開始している。

ホールフーズの来店客数は、今年8月末に前年同期比25%の増加を記録した。商品価格は依然として他の食料・雑貨チェーンと比べかなり高額ではあるものの、値下げの実施は確実に消費者の関心を引き、客足を伸ばすことに役立っている。アマゾンは近い将来、価格重視の消費者層をターゲットに競争を仕掛けていく考えだと見られる。

一方、ホールフーズが急速に売上高を伸ばす中で、小売業世界最大手のウォルマートはどのような状況にあるのだろうか。米国の食料・雑貨市場におけるウォルマートのシェアは14.4%(2016年時点)。これに対し、アマゾンとホールフーズのシェアは、両社を合わせても1.4%にすぎない。つまり、アマゾン側には今後の競争力強化と成長の余地が大きく残されているということだ。

投資会社コーエン・アンド・カンパニーによれば、アマゾンは2021年までに9030億ドル(約100兆円)規模に成長すると予想される同市場において、シェアを3%程度にまで拡大すると見込まれている。また、アマゾンのシェアはウォルマートとクローガー(Kroger)に次ぐ第3位になると推測されている。

こうしたアマゾンの脅威を認識しているウォルマート、さらに別の小売業者ターゲット(Target)は、テクノロジー関連の能力強化に向けた取り組みを加速させることや、国内に持つ大規模な店舗ネットワークを活用することによって、アマゾンに対抗していく計画だ。

ウォルマートとの競争

ウォルマートの売上高は今年第3四半期(8〜10月)、既存店売上高が前年同期比2.7%増となり、堅調を維持している。来店客数の増加が食料品の既存店売上高を押し上げたことから、食料・雑貨部門が引き続き業績を伸ばした。さらに、ウォルマートは生鮮食料品の取り扱い品目の拡充に加え、オンライン注文した商品のピックアップ・サービスといったプログラムにも注力してきた。ただ、注文を受けた商品の無料配送や広告宣伝費などは引き続き、利益を圧迫している状況だ。

ウォルマートの事業全体に占める食料・雑貨の割合は大きく、56%に上る。同社の規模と物流における能力の高さは食料品価格に対する多大な影響を持っており、それが同社に競争上の優位性を与えている。

ウォルマートの店舗や商品よりもホールフーズのそれらを選んでもらうためには、アマゾンはホールフーズと一体となり、消費者を納得させるためのより多くの手段を講じていかなければならない。規模から見れば、ホールフーズがさらなる値下げを実施できる余地は、比較的限られているだろう。

食料・雑貨部門では、現時点ではウォルマートの方がより優位な位置づけにある。アマゾン側の業績が今後どのように変化していくのか、興味深いところだ。

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