アマゾンはその事業分野の多くにおいて、営業利益率の面ではどの企業とどのように比べても、精彩を欠いているように見える。直近の決算で大幅な増益を発表した米百貨店大手メイシーズの営業利益率は、わずかながら6%を上回る。一方、アマゾンはクラウドサービスのアマゾン・ウェブ・サービス(AWS)を除けば、やっと2%に近づいているという程度だ。

アマゾンについて特に気掛かりな点といえるのは、配送コストとフルフィルメントコストの増大だ。同社の規模の大きさを考えれば、配送量が増えることは利益拡大につながっていると思う人もいるかもしれない。だが、それは間違いだ。物流コストは同社の利益を上回るスピードで増え続けている。

ただし、これはそれほど驚くべきことでもない。アマゾンの会員制プログラム、アマゾンプライムは基本的に、頻繁に注文する少額の商品の購入に「無料」の配送サービスを何度も使ってもらおうというものだ。そして、こうしたサービスは一般的に、利益が少ない(または出ない)。また、アマゾンが行っている同日中の配送から得られる利益は、現在の規模では極めて限定的なものとなる。そのほか、アマゾンの衣料品販売は売上高を伸ばしているものの、返品や交換が増えることで、サプライチェーンコストを増大させている。

アマゾンは長期的な視点に基づき、多額の投資を行っている。同社が利益を増やす方法はいくつもあるだろう。だが、ウォール街は明らかに、利益以上に成長を評価する。同社は短期的な利益を増やすことよりも、市場シェアの拡大を優先している。

ただ、こうした背景がある中でも、アマゾンが重視するものはわずかに変化してきているようだ。物流コストの増大という強い逆風を受けながらも大幅な増益が実現されたことは、製品利益率と物流業務以外の営業費用の双方に、大幅なてこ入れがされ始めたということだ。

アマゾンは先ごろ、米国内のプライム会員の年会費を20ドル(約2200円)引き上げるという一部の目から見れば危険な行動に出た。それでも、値上げは基本的に、アマゾンの顧客忠誠度や価格決定力、悪循環を引き起こしている配送コストを相殺する必要性の高まりが承認された結果と考えることができる。

アマゾンが収益性の向上をより重視し始めていると見ることができるもう一つの兆候は、プライベートブランドへの投資の拡大だ。すでに70以上の独自ブランドを立ち上げているが、その数は今後もさらに増加するだろう。適切な形で実行すれば、自社ブランドの数を増やすことは顧客により多くの付加価値を提供することになり、それが市場シェアの拡大と、売上総利益率の上昇につながるはずだ。

自らコントロールが可能

アマゾンのビジネスの複雑さと、次なる成長の波に向けた大規模な投資が常に行われていることから見れば、同社のどのような行動がどの時期の小売事業の業績に影響を及ぼしたのか、明確にすることは難しい。

だが、明らかなことだと思える点もある。まず、サプライチェーンコストの問題に対処することなく、アマゾンの営業利益率が妥当と言える水準にまで上昇することはない。第二に、プライベートブランドは今後、さらに重要性を増すことになるだろう。第三に、並外れた成長を維持するためには、同社はそれほど遠くない将来に、実店舗に関するより積極的な戦略を実行する必要があると考えられる。

そして最後に、アマゾンは収集したデータと高まる顧客忠誠度を、さまざまな形で活用することができる点が挙げられる。恐らくアマゾンの収益性は、同社が自ら選んだタイミングで、向上させることが可能だと見られる。

Steve Dennis