リーダーシップと組織風土のコーチである私はよく、「CEOにとって一番大変なことは?」という質問を受ける。CEOは、自分の思うままに会社を形作り、自分と一緒に働く従業員を雇い、達成した実績を認められる立場にあるが、一方で信じられないほどの孤独を抱えている。

CEOたちいわく、自分の役職での最大の問題は、完全に信頼できる人間がいないことだという。非常に大きな責任とプレッシャーを抱えながら従業員の前では平静を装い、常に結果を出し続け、全ての責任を引き受ける立場にあるCEOが、自らを孤立させる傾向にあるのも不思議ではない。そしてこれは、対処すべき問題だ。

孤独であることのジレンマ

ハーバード・ビジネス・レビュー誌によると、CEOの半数が孤独を感じており、そのうち61%が孤独は仕事のパフォーマンスを妨げていると思っている。ただでさえ激しい職場環境である上、CEOにはメディアの視線が注がれる。

CEOは以前にも増して公的人物とみなされるようになっている。ファスト・カンパニー誌は2015年、世界のリーダーのトップ10とワースト10を比較する記事を掲載したが、CEOはその両方のリストに入っていた。さらにニュースサイト「ビジネスインサイダー」も、米国史上最悪のCEOたちを詳細に紹介する記事を出している。

残念ながら、テクノロジーの発達により、プライベートと公的生活との境界線はあいまいになった。著しいプライバシー欠如の感覚は、孤独感のさらなる増加に寄与している。そしてこれ、脳にも悪影響を与えている。

孤独は病気につながることもある。社会的な孤立は、行動や脳の活動に影響を及ぼすからだ。孤立や孤独感は「闘争か逃走」反応を引き起こし、健康を害して死に至る場合すらある。孤独感は、睡眠パターンやストレスホルモン、さらには白血球の生成にまで影響する。健康と仕事能率の改善には、こうした仕事上の孤独感を克服する方法を学ぶことが極めて重要だ。

以下は、CEOとして孤独を克服するための3つのアドバイスだ。

1. サポートグループに参加

今、CEO向けのサポートグループが増えている。私のクライアントの多くは、サポート体制や人脈作りの場としてヤング・プレジデンツ・オーガニゼーション(YPO)やアントレプレナーズ・オーガニゼーション(EO)を高評価している。

サポートグループへ参加することで、自分と似た境遇を持ち、愛の鞭や正直なフィードバックを与えてくれる人々のコミュニティーの仲間入りをし、自分が切に求めている安心感や帰属意識を得ることができる。また、他人とのつながりを持つことで、ストレスが大幅に軽減される。社会的なつながりの強い人は、孤独を抱える人よりも長生きで、精神的にも健康だ。

2. ワーク・ライフ・バランスの実現

CEOになると、仕事が「終わった」と感じることが不可能なこともある。仕事が生活のあらゆる面を乗っ取り始めると、重要な社会的つながりを形成する時間を作ることが難しくなる。仕事とプライベートのバランスを取るための方法を、以下に紹介する。

・暗くなる前に退社する

フェイスブックのシェリル・サンドバーグ最高執行責任者(COO)、ジロー(Zillow)のスペンサー・ラスコフCEO、グーグルのヒロシ・ロックハイマー上級副社長といったリーダーは皆、夕食までに帰宅するよう心がけている。家族との時間を増やし、仕事とプライベートとの間に境界線を引くことができようになることが理由だ。

・今に集中する

その場のことに完全に頭を使えていない経験は誰にもあるだろう。ビジネス会議から家族で囲む食卓まで、思考はどこへでもさまようことができる。必要なバランスを得る方法は、今その時に集中するだけでよいこともある。

3. 無防備さが実は強みに

自分を無防備な状態にするとは、どういうことなのだろうか? スイス・ライフのパトリック・フロストCEOにとって、無防備になれる能力とは、自分の弱みをさらけ出すことを恐れないことだ。フロストいわく、弱点は重要な問題に関する議論を生むため、ビジネスの場では重要だ。

CEOは、模範を示して周囲を率いる。重要な問題をチームと共有してオープンに議論する姿勢を示せば、メンバーの方もより安心して意見を共有してくれるようになる。常に自分の気持ちを把握することから始めよう。

他人を自分の個人的な世界へ受け入れ、互いへの信頼と尊重の念を育てることは、孤独感を克服する最善の策だ。自分が相手を完全に信頼し、相手に自分の本当の姿を見せれば、仕事上の肩書によって生まれる孤独の壁を突き破れる。

終わりに

トップに立つことは孤独なものだが、必ずしもそうである必要はない。人々を受け入れ、サポートグループで自分をさらけ出し、最も大切な人々との絆を再構築する時間を取ろう。

Christine Comaford