毎日シャンプーしているのに、なぜか「頭」が臭う。いくら洗っても、臭いが取れない−。もし、そんな状態が続いているとしたら、二つの原因が考えられる。

 一つ目は、排ガスや食べ物など、外からの臭いが、髪の毛に付着して臭うケース。

 臭いを取り除こうとして、ゴシゴシこすって洗う人がいるが、それは全くの逆効果だ。

 毛髪の表面や頭皮を傷つけ、そこに臭いの元となる細菌が入り込み、かえって臭いを強めることになる。

 二つ目は、頭皮の皮脂に、雑菌が繁殖して臭うケース。

 皮脂は、頭皮や毛髪を守る働きを持つと共に、雑菌の大好物でもある。“洗いすぎ”などによって、過剰に皮脂が取れてしまうと、さらに皮脂が分泌されて、そこに雑菌が繁殖し、さらなる臭いの発生を招くことになる。

 いずれの場合も、「1日1回、優しく洗う」、「洗浄力の強い化学物質を含むシャンプーは避ける」など、少しのことに気をつければ、臭いは改善できる。

 だがもし、「頭皮の炎症」が原因で臭っているとしたら、注意が必要だ。

 「炎症のひとつに、『脂漏性皮膚炎』があります。皮脂中に含まれる中性脂肪が、癜風菌(でんぷうきん)と呼ばれるカビの一種によって脂肪酸に分解され、それが皮膚を刺激して炎症を起こします」

 こう話すのは山本英博クリニック(東京都渋谷区)院長の山本英博医師。

 脂漏性皮膚炎は、“脂漏性湿疹”とも呼ばれており、脂っぽいフケを伴う湿疹や、薄いかさぶた状紅斑などの症状が見られる。

 頭皮以外にも、顔やワキなど、皮脂の分泌が盛んな部位にできやすく、かゆみも伴う。かいた皮膚の表面は傷つき、その皮膚を修復しようとして、また皮脂が分泌されるという悪循環に陥ってしまう。脂漏性皮膚炎が悪化すると、皮脂が毛穴に詰まって抜け毛が増え、薄毛の原因になることもある。

 「放っておくと、頭皮には、タンパク質も溜まりやすくなり、そこに雑菌が繁殖すれば、腐敗臭に似た悪臭が生じます。生命体と外界を境界づけている皮膚は、かなり強い臓器。そこに炎症が起こるということは、体が疲れているサインとも言い換えられます」

 では、どうすればいいのか。山本医師が続ける。

 「一度出た症状は、二度、三度と繰り返すことがある。慢性化してしまう前に、初期の段階での受診をお薦めします」

 治療は、症状によっても異なるが、抗真菌薬やステロイド剤などが使われることが多い。

 「もう一つ大切なのは、十分な睡眠を取ること。皮脂や汗の分泌は、体調と連動しているところが大きい。疲れを溜めると免疫力が落ちて、感染症にもなりやすくなるので、よく眠ることを心がけてください」

 睡眠不足は、頭皮の臭いや皮膚の健康にも影響するのだ。(岸由利子)