昨年夏、台風10号による大水害に見舞われた岩手県岩泉町が再び悪い意味で全国に名をとどろかせている。同町の伊達勝身(かつみ)町長(74)が地元紙の岩手日報の女性記者にわいせつ行為を働いたとして厳重抗議を受けたのだ。地元の水資源開発に尽力してきた名士のはずが、なぜ晩節を汚したのだろうか。

 同紙によると、伊達氏は10月中旬の早朝、取材目的で同町内に泊まっていた記者の宿泊先を訪ね、何度も部屋のドアをノックした。記者が開けると部屋に入り、抱きついて複数回キスをしたという。記者は休職しており、刑事告訴を含めて検討している。

 政治家にしてわいせつ騒動、しかもこの風貌と、どことなく大阪府知事を務めた横山ノック氏をほうふつさせるが、どんな人物なのか。

 同町の元町議の男性は伊達氏について「龍泉洞という町内の鍾乳洞に湧く水でミネラルウオーターなどを作る会社の会長を務めている。前町長の応援を得て1999年に町議経験がないまま町長に当選し、現在は5期目」と説明する。同社の製品はモンドセレクションの最高金賞に輝いたこともあるといい、地元産業に貢献してきたことがうかがえる。

 岩泉町では昨年8月、台風10号による豪雨で、高齢者グループホームの9人が死亡するなど、関連死を含めると23人が犠牲となった。この際、迅速な避難指示や勧告をしなかったことに批判が集まった。

 伊達氏は災害対応で心的外傷後ストレス障害(PTSD)を負ったとし、今年10月30日から今月4日まで休職していた。同町に住む男性は「水害があったときは気が張っていたために倒れなかったが、今年に入ってムリがたたったのではというウワサが立っていた」と話す。

 伊達氏は岩手日報に対し、「(台風被害の)後から幻覚・幻聴があった。(当日朝は)助けてくれという声が聞こえたので、『大丈夫か』と部屋に行ってハグした(抱きしめた)。今思えば、社会通念上許されない」と釈明し、わいせつ目的は否定した。幻覚については「いない人が見える」とも話したという。