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 中国人民解放軍は7月30日、内モンゴル自治区の基地で、大規模な閲兵式と軍事パレードを挙行した。中国の習近平国家主席に対し、「主席」という呼称が使われたことが注目を集めた。

 トウ小平氏以降の歴代指導者が閲兵に臨んだ際は、一般的なリーダーを意味する「首長」が使われてきた。習氏は昨年秋、党内でも最高指導者を意味する「核心」の称号を得て権力集中を進めている。

 今年秋、5年に一度の共産党大会を前に、軍の掌握を誇示するために閲兵式は開催された。北京の天安門広場で閲兵式が行われなかったところに、習氏の権力把握の不十分さがうかがわれる。

 「貧富の格差」「環境汚染」「個人の自由・人権」という3点で、世界最悪の国家が中国である。共産党による独裁国家であり、プーチン大統領のロシアに存在するほどの「言論の自由」も許されない。チベットやウイグル、南モンゴルはいわば国内植民地であり、19世紀型の植民地支配が公然と行われている。

 中国の民主活動家で、ノーベル平和賞受賞者の劉暁波氏が7月13日、肝臓がんで死去した。これが事実上の「獄死」であり、謀殺の可能性が高いことは誰もが知っている。少数民族だけではない。漢民族の大多数も、共産党独裁下で隷属状態にあるのだ。

 バブル経済が崩壊した中国は、エセ資本主義を廃止し、統制経済へ移行しつつある。不動産価格が下がれば取引を大幅に規制し、株価が下がれば株売却を禁止し、外貨不足になれば外国送金を極端に制限する、といった具合である。

 習氏は、王岐山・中央規律検査委員会書記をトップとした汚職摘発を錦の御旗に、政敵を葬り去り、秋の党大会で独裁権力を確立しようとしている。「第2の毛沢東」になりたいのである。

 「チャイナセブン」と呼ばれる中央政治局常務委員7人のうち、張徳江氏と劉雲山氏、張高麗氏の3人は、江沢民派といわれ、習氏への抵抗が続いているとされる。胡錦濤派の李克強首相は権力を失っている。党大会では、常務委員7人が5人、あるいは3人に削減されるとか、常務委員会を廃止してしまう−という情報もある。習氏個人への権力集中である。

 経済危機に、独裁政権がとる手はただ1つ、海外侵略拡張政策である。広域経済圏構想「一帯一路」は、まさに中華帝国の世界侵略宣言であり、AIIB(アジアインフラ投資銀行)は、その金融的な下部機構である。

 米中対決がいよいよ本格化する。南シナ海における米中軍事紛争(エア・シー・バトル)は不可避である。日本は強化された日米同盟をもって、この戦いを勝ち抜かなければならない。(国際政治学者・藤井厳喜)