いじめは、加害者は忘れても、受けた側には長く深い傷を残します。メディアで自身の受けたいじめ体験を公表し、いじめに苦しむ人の相談に答えているジャングルポケットの斉藤慎二さん。いじめを受けて引きこもりになった青年と、その家族の再生の物語を『小説8050』という作品として発表、また、自身もいじめられた経験があるという林真理子さん。当事者だったお二人が、当時の苦悩と、今できることを語り合います(構成=篠藤ゆり 撮影=藤澤靖)

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「チビ」と言われて

林 斉藤さんは、小学校3年から中学までずっといじめを受けていたそうですね。体験を公表するのは、勇気がいりました?

斉藤 僕はお笑いをやっているので、深刻な話をすると笑ってもらえなくなるかも、という不安はありました。でもそれよりも、今、つらい思いをしている人や加害者にメッセージを届けたいという思いのほうが勝ったんです。

林 そんなおつらい過去があったとは、テレビで拝見するお姿からは想像できませんでした。小学校の頃は「チビ」と言われていたとか。今、背がお高いですよね。

斉藤 はい、176cmです。中学2年からぐんと伸びたけど、それまではクラスで一番、背が低かったですね。喘息でよく体調を崩していたし──。

林 勉強はできたんですか?

斉藤 母が教師という環境もあって、ある程度はやっていました。

林 私は、いじめをきっかけに不登校になった引きこもりの青年と、その父親を題材にした『小説8050』という作品を書くために、いろいろな人から話を聞いたんです。

男の子が対象のいじめは、本当にたわいもないことで始まるらしいですね。たとえばピンク色の服を着ていたら「わ〜っ、女色着てる」とか、トイレの個室に入ったら「〈大〉に行った」とか。その子が嫌いとか、何か欠点があるとか、そういうことではないと専門家が言っていました。