厚生労働省が発表した令和3年度の医療施設調査によると、全国の医療施設は 180,396 施設で、前年に比べ 1,672 施設増加しているとのこと。20床以上の病床を有する「病院」は33 施設減少している一方で、19床以下の病床を有する「一般診療所」は 1,680 施設の増加となりました。「一般診療所」が増える中、小児科医として開業した松永正訓先生が、開業医の実態を赤裸々に明かします。今回は、開業医の仕事内容についてご紹介します。大学病院や一般病院で働いているときには分からない、開業医は開業医になって初めて自分の仕事を学んでいくそうで――。

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開業の準備として2年勉強

たとえば、大学病院とか一般病院で勤務医をやっていた大人の内科の先生が開業するとする。そのときに、「内科」「小児科」を標榜することがけっこうある。

日本の法律では、医者は何科を標榜してもいいことになっている(麻酔科だけは別)。だが、この先生は、勤務医時代に子どもを診た経験はあるだろうか。答えは「まったくなし」である。だから開業直後は試行錯誤で子どもを診ていくことになる。

同じように勤務医の耳鼻科の先生が、子どもを診た経験はあるだろうか。答えは「あるけど、それほど多くない」である。確かに、地方の公立病院の医師であれば、子どもの中耳炎をけっこう診るだろう。

しかし、大学病院や都会の中核病院である公立病院の医師が診るということはあまりない。特に大学病院ではほぼない。開業している耳鼻科のクリニックには子どもが溢れているが、子どもの診療に関して耳鼻科医は、開業してから腕を上げたという部分はあるだろう。

内科の先生が内科で開業しても、得意なのは自分の専門領域で、他の分野は診療を走らせながら学ぶということになる。