60年走ってこれたのは母のおかげ
4月まで行っていた坂本冬美さんとの「ベストカップルコンサート」でも、「母の顔」を歌っているのですが、舞台袖で冬美ちゃんが目をうるうるさせているんだよね。彼女も苦労してるから、自分のお母さんを思い出してグッとくるらしく…。お客様の中にも目頭を押さえている方がいらっしゃいます。僕の気持ちが少しでも伝わっているのかな。うれしいですね。
歌手という仕事は浮き沈みがある事を嫌というほどわかっていましたから、歌手としての地位を築いてからも、常にトップギアで走り続けました。底辺を経験しているからこそ、安穏と甘えることはできなかったんです。出遅れた反動もあったし、長い間売れなかったくやしさも含めて、よくがんばりましたよ。最初のころは、この幸せが幻なのではないかといつも落ち着かない気持ちでした。歌手は舞台では1人で主役。「五木ひろし」という看板を背負ったからには代役はききませんからね。
60年、一度も休まずに走ってくることができたのは、やはり母のおかげだと思っています。僕は小さい頃は体が弱かったらしいんです。生まれた直後、何かに感染して生死をさまよったとき、母は医者に連れていき、当時高価だったペニシリンを打ってもらったそうです。貧しいのに子どもの命を優先してくれたんですね。そのときに先生から「この子は長生きしますよ」と言われたと母から聞きました。僕は40歳で結婚し、子どもにも恵まれた。母はそれを見届けてくれました。きっと安心したと思います。
僕の仕事は歌うこと。そして、いい歌をこの世にたくさん残すこと。そのためには、いいと思った歌は歌い継いでいかないとね。まだまだ歌い続けますから、楽しみにしてください。


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