一心同体じゃなく二心同体

大楠 かおりちゃんは結婚してもう5年経つんだよね。

桃井 結婚という形をとって5年だけど、10年以上一緒にいる。父親同士が友人だったから彼のことは9歳から知っているのに、まだまだ落ち着いてないっていうか、甘噛みしてほしい、みたいな感じがあるのよ。

大楠 私、かおりちゃんは結婚して本当によかったと思う。昔は女優の時も普段もずっと「桃井かおり」の鎧を脱がなかったから、疲れるだろうなと思っていたの。

桃井 「桃井かおり」というぬいぐるみを着てたものね。今はほとんど着てない。

大楠 傍から見ても楽になったって感じるもの。今は、Kさんの女房という部分が強く出てきているよね。

桃井 ある日さ、二人でベッドに寝てて、私はずっと愚痴と人の悪口しか言わないからすごく飽きられて、彼がフッと横向いてスースー寝始めちゃったわけ。イヤだなあと思って、「起きて!」って後ろから羽交い絞めにしたら、のけぞったエビみたいだなって思ったんだよね。で、「エビ!」って言ったら彼が丸まった格好になって、「トロ!」って言ってくれたの。寿司ダネだって、どうしてわかってくれたの!? って。

大楠 アッハハハ。面白い。

桃井 「あ、この人、楽しいな」から「暮らしてみたい」になっちゃったわけ。

大楠 その関係が変わってないよね。

桃井 大楠さんは結婚してもうどれくらい?

大楠 40年以上になるのよ。すごく料理がうまくなったとか、我慢強くなったとかの変化はあるかな。やっぱり相手がいることだから、折り合いをつけていくというかね。

桃井 私は、どんどんわがままになってるって気がする。でも、大楠さんは結婚する時に「2年持ちゃいいほうだよ」ってみんなから言われてたのよね。

大楠 そうよ。みんなで賭けてるって聞いたから、意地でも2年は持たそうと思ったの。そしたら、あっという間に40年が過ぎて。

桃井 その秘訣は?

大楠 とにかく互いに干渉しないのが夫婦円満の秘訣だと思うよ。

桃井 うわあ、私なんか干渉しちゃう。「ちょっとごめんなさい」なんて言って、彼の腋の下までのぞき込んじゃうって感じ。

大楠 それはすごい。うちは一心同体じゃなく二心同体だもの。見ているものは一緒だけど並んで歩いている感じね。夫は私の仕事にも一切口出ししないし、私も同じ。

桃井 私は全部に干渉する。

大楠 それでうまくいっているんだもの、いいのよ。結婚生活にしても人生にしても、ワンパターンじゃないから。私たちは、それぞれが一番気持ちのいい、居心地のいい相手を見つけられたってことよ。