旬の2人が本格的な殺陣に挑む

小説や映画、漫画などで知られる伝説の剣豪・宮本武蔵の物語が、ライバル佐々木小次郎との関係に焦点をあてたアクション時代劇として蘇る。クライマックスは関門海峡に浮かぶ巌流島(船島)でくり広げられる決闘だ。新解釈、新設定によるオリジナル脚本になるが、武蔵の二刀流、小次郎の燕(つばめ)返し剣法がどう活写されるのか、興味がつのる。脚本は『魔界転生』など時代物に定評があるマキノノゾミの担当で、大劇場作品を得意とする山田和也が演出する。

武蔵役で主演するのは、ドラマ『初めて恋をした日に読む話』などでブレイクした横浜流星。小次郎役は、舞台『春のめざめ』に主演し、NHK連続テレビ小説『スカーレット』でヒロインの息子役として注目を集めた伊藤健太郎。ともに20代半ば、次代を担う旬のイケメンのそろい踏みだ。今回2人は本格的な殺陣に挑み、壮絶な大立ち回りを披露する。何のために生きるのか、何のために戦うのか……。マキノが丁寧に描くであろう、巌流島に至るまでの人間ドラマも見どころだ。

巌流島

8月6〜11日/東京・明治座 
脚本/マキノノゾミ 演出/山田和也
出演/横浜流星、伊藤健太郎、前田公輝、荒井敦史、岐洲匠、押田岳、 宇野結也、菅原健、俊藤光利、横山一敏、白羽ゆり、葛山信吾ほか
☎03・3660・3932(明治座)
※名古屋、高松、大阪、福岡公演あり

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「ゲルニカ」

一枚の絵に込められた今を生きる人々へのメッセージ

内戦下のスペイン。ファシズム側のフランコ軍を支援するナチス・ドイツ軍は、1937年、バスク地方の街ゲルニカを無差別爆撃し、街は壊滅状態に陥る。それに抗議してパブロ・ピカソが描いたのが、大作「ゲルニカ」だ。家族を失い泣く人、這うように逃げる人の姿などの描写が生々しい。二十数年前、この絵に出会った栗山民也は「その大きな一枚の絵のなかには、人間の無数の感情や、地球での惨たらしい死の記憶が刻まれていて、魂に触れるということを知りました」と衝撃を受け、作品化を心に決めたという。

栗山はその構想を、史実に基づいた作品で知られる劇作家・長田育恵に託す。長田は、ゲルニカに生きた普通の人々にスポットをあて、彼らの平穏な生活が突然奪われた悲劇、そしてそれを乗り越えようとする希望のドラマを紡いだ。

キャストには個性豊かな俳優たちが集まった。ヒロインの少女サラ役には、ドラマ『義母と娘のブルース』などで注目を浴びる上白石萌歌が起用された。中山優馬がサラから想いを寄せられる兵士、勝地涼が戦場カメラマン、早霧せいなが女性記者を演じ、キムラ緑子がサラの母親役で座を締める。

ゲルニカの元領主の娘として何不自由なく育ってきたサラ(上白石)だったが、スペインでは台頭してきたファシズムと人民戦線軍が激突し、内戦が激化。婚約者は戦争に参加するために街を去った。サラはカメラマンのクリフ(勝地)や記者レイチェル(早霧)と知り合い、戦争の実態を知るようになる。イグナシオ(中山)という兵士と恋仲になるが、彼はドイツ軍のスパイだった。サラの妊娠が発覚し、母のマリア(キムラ)は激怒。そんななか、ついにゲルニカ空爆が始まる……。

キムラは作品についてこう語る。「世界のあちこちに広がり続ける苦しみの波を、もう直ぐ自分たちも浴びることになるんだと思わずして、どうして生きていけるだろう。本当は他人事ではないのだ。いつだって。どこでだって」。遠い国の昔の話ではない、現代を生きる私たちの物語になるはずだ。背筋を伸ばして、劇場に足を運ぼう。

ゲルニカ

9月4〜27日/東京・PARCO劇場
作/長田育恵 演出/栗山民也
出演/上白石萌歌、中山優馬、勝地涼、早霧せいな、玉置玲央、松島庄汰、 林田一高、後藤剛範、谷川昭一朗、石村みか、谷田歩、キムラ緑子
☎03・3477・5858(パルコステージ)
※京都、新潟、豊橋、北九州公演あり

※上演期間は変更の可能性があります。最新の情報は、各問い合わせ先にご確認ください