別れが予期できたものであれ、突然であれ、連れ添った相手を喪えば、さまざまな思いが去来するもの。でも、現実は待った無し。一周忌を迎えるまではやらなければならないことが山積みです。  夫の財産は、亡くなった日から法定相続人の「共有財産」になります。妻がこれまで通りのつもりで使ってしまうと、後でトラブルに発展することも。配偶者の優遇措置を駆使した幸福な相続を実現しましょう。税理士の福田真弓さんに聞きました。(構成=島田ゆかり イラスト=古村耀子)

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財産の洗い出しと遺言書の確認

夫が亡くなると、必ず発生するのが「相続」です。現金資産はもちろん、夫名義の土地や家、車、有価証券、夫の収入で購入した家財道具などもすべて相続の対象になります。

「相続税はいくらになるのだろうか……」と不安になる方がいるかもしれませんが、相続税を支払う人は、実はたったの8%程度。ほとんどの人は基礎控除や配偶者税額軽減の条件に収まりますので、過度な心配は無用です。とはいえ、都市部に戸建ての持ち家がある場合は、非課税枠を超えることもあるので注意しましょう。

相続について、まず行うことは【夫名義の財産の洗い出し】です。銀行口座の残高証明、不動産登記書類、証券の有無などを確認しましょう。妻が専業主婦で、夫の給料からへそくりを貯めていた場合、実はそれも夫の財産と判断されることがあります。

また、夫の預金は亡くなった日の残高を相続財産として計算するため、口座が凍結されていないからといって勝手に使ってしまうと、相続手続きの際に、ほかの相続人から返金を求められることになりかねません。

そして、借金や連帯保証人などの【マイナスの財産】がないかも速やかに確認しましょう。もし受け取る財産よりマイナスの財産のほうが多い場合は、すべての財産を相続放棄することで支払い義務がなくなります。ただし、相続放棄は自分が相続を知った日から3ヵ月以内が期限に。心当たりがある場合は急ぎましょう。

なお、妻や子どもが放棄しても、夫の両親、夫のきょうだい、その子ども(夫から見て甥、姪)までは法定相続人となるため、知らぬ間に権利が移行し、彼らがマイナス財産を背負うことにならないよう、自分が放棄したことについて伝えることが必要です。