毎日歯磨きをしているし、痛いところもないから「私の歯は健康」。そう思っている人でも、実は歯周病にかかっていることが多いといいます。放っておけば、歯を失ったり、全身の健康に悪影響を及ぼしたりする可能性が。健康維持に欠かせない歯のケア方法を見直しましょう。イラスト/小林マキ 取材・文・構成/岩田正恵(インパクト)

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40〜60代の約8割が歯周病

マスクをする機会が増えたら自分の口臭が気になり始めた。そこで念入りに歯磨きをするようになったが、やっぱり臭う……。

そんな悩みに答えてくれたのは、口腔環境と認知症との関連に詳しい、認知症専門医の長谷川嘉哉先生です。

「口臭の原因は歯周病菌です。口の中には腸と同様、多様な常在菌がバランスを保ちながら共存しています。しかし、年齢を重ねて免疫力が低下するにつれ、悪玉菌である歯周病菌が増殖。すると、口臭が発生したり、口の中がねばねばしたり、歯ぐきが赤く腫れたりするようになります。これが歯周病です。進行すると、歯を支えている骨を溶かし、歯を失うことにつながりかねません」(長谷川先生。以下同)

歯周病は年齢に関係なく発症しますが、若い頃は症状が軽く、すぐに回復するため気づきません。ところが、免疫力のピークである20代を過ぎると、徐々に修復のスピードが低下。そのまま同じようなケアをし続けるだけでは、歯周病が進行する可能性が高くなります。実際、35歳前後からは発症率が上昇し、40〜60代では約8割の人が歯周病に。

「歯周病は痛みも自覚症状もほとんどないため、静かに進行します。口の中に違和感を抱いて歯医者さんに行くと、すでに歯ぐきも歯根もボロボロで、抜歯せざるをえないという人も少なくありません」

長谷川先生は、何より正しい歯磨きができていないことが問題と指摘します。

「歯を失うことは、磨き残しが多く、しかもそれを放置し続けてきたということ。磨き残しからはプラーク(歯垢)が発生し、歯周病菌や虫歯菌が増殖します。歯磨きの仕方を変えなければ、さらに歯を失う危険性もあるのです」