夏の強い紫外線や暑さにさらされた髪と頭皮は、いわば《夏バテ気味》。放っておくと、老化を早めてしまうことになりかねません。そこで、ダメージを受けた髪や頭皮をリカバーし、健やかに整える方法を教えてもらいました(イラスト/小林マキ 取材・文・構成/葛西由恵《インパクト》)

* * * * * * *

頭皮が硬くなると毛根の血流を妨げる

「髪の主成分はケラチンという物質で、多数のアミノ酸により構成されています。夏の強い陽射しを浴びつづけると、アミノ酸が酸化し、髪のパサつきや縮れ毛、枝毛が増える要因になるのです」と話すのは、クリニカタナカ形成外科・アンティエイジングセンター院長の田中洋平先生。髪は傷んでもトリートメントや美容液などで外からケアできますが、より深刻なのは頭皮だと、注意を促します。

「紫外線によるダメージが頭皮に蓄積していくと、皮膚が硬くなり毛根への血流が妨げられるため、髪の生え変わるメカニズム、いわゆるターンオーバーが滞ってしまう。そのため髪が新しく生えてきても細く、ハリやコシがなくなります。さらに成長途中で抜けてしまうなど、さまざまなトラブルが発生するのです」(田中先生。以下同)

こうした不調を最小限におさえ、健康な頭皮を維持するにはどうしたらよいのでしょうか。

「しっかり血液を行き渡らせ、毛根に栄養を届けることが大切。そのためには、自律神経のスムーズな切り替えが必要です。人間の体は、本来、夜になると交感神経から副交感神経に自然に切り替わります。するとリラックスモードになり、血管が拡張して、全身の血のめぐりがよくなる。ところが、心身のストレスや、不規則な食事などで生活習慣が乱れたりすると、自律神経の切り替えがうまくいかず、副交感神経が優位になりにくくなるのです」

さらに田中先生は、頭皮への血流を妨げるNG習慣として、現代人の目を酷使する生活を指摘します。

「パソコンやスマホを長時間見ている人が多く、常に眼精疲労の状態です。目と頭皮とどんな関係があるの? と思われるかもしれませんが、目のまわりやおでこの筋肉が常にこわばった状態になっているため、交感神経が過緊張となり、慢性的な血流不全を起こしてしまうのです」

目を閉じて、音楽に耳を傾ける時間をとるなど、意識して目を休ませて、と田中先生はアドバイス。

「睡眠不足は肌によくないといわれるように、髪にもよくありません。夜10時〜深夜2時は、とくに細胞の再生が活発に行われる時間帯。髪の毛を生み出す細胞も同様で、この時間帯にしっかり睡眠がとれていないと、細胞の新陳代謝が十分に行われず、髪の成長にも悪影響を及ぼします」