今注目の書籍を評者が紹介。今回取り上げるのは『ごみ収集とまちづくり 清掃の現場から考える地方自治』(著◎藤井誠一郎/朝日新聞出版)。評者は詩人でエッセイストの白石公子さんです。

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ごみ問題は行政と住民の協力なしでは解決できない

なぜか表紙のカバー写真をじっくり見てしまった。住宅街のごみ集積所。今まさに清掃員がブルーの清掃トラックにごみを積み込もうとしているところ。そこに大きな袋を手にした人がやってくる──私にも思い当たる日常的な光景だ。

こんなふうに集積所を前にした時、拮抗するさまざまな思いに苛まれ、ブルーになっていた、ということに気づいた。やはりこのコロナ禍におけるごみ急増問題、断捨離やらごみ屋敷やら「SDGs」やらにふりまわされ、疲れていたのかもしれない。

本書は、今後さらに重要になるだろう「ごみ収集」の流れと実態、清掃行政と住民との深い関係、コロナ下での清掃事業の問題と可能性をまとめたもの。興味深いのは「清掃行政」研究をライフワークとしている著者の、コロナ下での清掃労働体験だ。

早朝の打ち合わせのあと8時ジャストに行われる「腰痛予防体操」から退庁直前の「洗身(入浴)」まで、清掃業務の一日の流れを著者の体験を通して知ることができる。そして清掃差別、職場の高齢化問題、感染リスクの現実に迫り、課題を取り上げる。

また、ごみ問題の解決法として新宿二丁目の取り組みが紹介されている。かつてごみの無法地帯と化していた新宿二丁目で、住民、ゲイバーのママたち、行政、清掃業者が一丸となって地域の美化を推進する過程は感動的、希望だ。ごみ問題は行政と住民の協力なしでは解決できないと教えてくれる。

「今後到来するであろうポストコロナ社会において、多くの住民に清掃事業への参加を促していきたい」「そのためには、まずは現状を知ることから始めなければならない」と著者は語る。もう、ブルーになってばかりはいられないのだ。

ごみ問題、ごみ減量のための気づきと「決意」を与えてくれる現代人必読の書である。