平均寿命の伸びとともに、親と子がかかわる期間も伸びることが予想される昨今。加えて、2019年7月に行なわれた国立社会保障・人口問題研究所の調査によれば、親が生存している20歳以上の成人18672人のうち、親と同居している人は「35.2%」にまで達しているそうです。しかし同居することになっても、財布は分けるのが鉄則! 親と子、それぞれのお金の悩みにファイナンシャルプランナーの畠中雅子さんが答えます(構成=村瀬素子 イラスト=mappy)

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【相談1】子の悩み
遠方の母が父を介護。離職して帰郷すべき?(58歳・会社員)

3年前から、遠方に暮らす母が父を介護しています。両親の収入は国民年金のみで、貯金を少しずつ取り崩している状態です。

近くに住む姉家族は両親と不仲のため、援助は一切なし。そんな両親が心配で、シングルで身軽な私が月2回ほど帰省しています。飛行機代に加え生活費の一部を負担することもあり、正直、自分の老後どころではありません。

いっそ早期退職し、実家に帰ったほうが出費は抑えられるのでしょうか。

親の「貯金簿」を作ろう

結論から言うと、介護のために離職するのはおすすめできません。というのも、ファイナンシャルプランナーとして相談を受けるなかで、退職して親に尽くした結果、自分の生活設計が立たなくなり、困窮状態に陥る人をたくさん見てきたからです。

ここは発想を変え、仕事を続ける前提で対策を講じましょう。

生活費や介護費用は、親のお金を使うのが基本です。しかし、年金では足りずに相談者が援助しているので、このままでは親子で共倒れになるおそれがあります。

そうならないために、まずは親の財産を確認すること。親は嫌がるかもしれませんが、貯蓄額がわからないと今後のプランも立てられません。「二人の大事なお金だから有効に使いたい」と正直に伝えてください。

しかし、口頭で聞いても「財産はない」「わからない」の一言で終わってしまうことも。そこで私がおすすめしているのが、「貯金簿」の作成です。これは、預貯金、株などの運用商品、加入している保険といった資産状況が一目でわかる一覧表のこと。あらかじめ金融機関、金融商品名、金額が書き込める空欄の表をあなたが用意し、親に埋めてもらいましょう。

資産状況がわかったら、月々使える範囲内で介護サービスや施設を利用します。介護にいくらかかるか、とよく質問されるのですが、ない袖は振れませんよね。むしろ介護は、「いくらかけられるか」を考えたほうが現実的です。

公的な介護サービスであれば、所得に応じて1〜3割負担で利用できます。加えて「高額医療・高額介護合算療養費制度」を利用すれば、医療費との合算で年間に支払う上限額が決まっているので、それほど高額にはなりません。