日本の草花を四季に応じて紹介する『日本の花を愛おしむ 令和の四季の楽しみ方』(著:田中修 絵:朝生ゆりこ 中央公論新社刊)から、いまの季節を彩る身近な植物を取り上げ、楽しく解説します。今回のテーマは「【カーネーション】」です。

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「神聖な花」という意味をもつ花

この植物の名前は、「冠(かんむり)の飾り」を意味する「コロネーション」、あるいは、原種の花の「肉の色」にちなむ「インカーネーション」に由来するといわれます。

属名は、「ダイアンサス」で、この語は、「ダイオス(神聖な)」と「アンソス(花)」からなり、「神聖な花」、あるいは、「神の花」を意味します。ナデシコも同じ仲間であるため、ダイアンサスはナデシコが市販されるときの商品名に使われることがあります。

この植物は、日本には、江戸時代にオランダからもたらされました。享保年間に刊行された園芸書『地錦抄録(ちきんしょうろく)』(1733年)に、「アンジャベル」という名前で渡来したことが記されています。

別名として、オランダセキチク、オランダナデシコ、ジャコウナデシコの別名をもちます。セキチクは、当時すでに日本にあった中国原産のナデシコの仲間です。

近年は、四季咲きの品種がありますが、本来、春から初夏に花咲く、夏の暑さに弱い植物です。八重咲きの品種が主流ですが、原種の花びらは5枚で、ジャコウナデシコといわれたように、強い香りをもっていたようです。