2021年の末、JAXA(宇宙航空研究開発機構)が13年ぶりに宇宙飛行士候補を募集して話題になりました。一方、実業家の前澤友作さんが自費で宇宙旅行をし、宇宙が身近になる兆しも──。日本人初の女性宇宙飛行士・向井千秋さんに、宇宙開発の歴史や未来について聞きました(構成=山田真理 写真提供=JAXA/NASA)

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<前編よりつづく>

マイノリティは悪いことばかりじゃない

酒井 21年には、JAXAが13年ぶりに宇宙飛行士候補を募集しました。その際、「女性の宇宙飛行士が望まれている」という報道が話題になりましたが。

向井 それは私や山崎直子さんの引退後、現役の女性宇宙飛行士がJAXAにいないからという意味で、「女性を求める」という限定的なことではないと思いますよ。宇宙飛行士に重要なのは、能力やバックグラウンドですから。性別は関係ありません。

酒井 なるほど。向井さんは日本人女性初の宇宙飛行士として、94年にスペースシャトル「コロンビア」号に搭乗しておられます。クルー7人の中で紅一点という、いわばマイノリティの立場で苦労なさったことはありますか。

向井 うーん。女性やアジア人であることは、確かに当時のNASAではマイノリティでしたけど、それで苦労したことはないですね。それよりも、当時の日本の宇宙開発は世界と比べてかなり遅れていたので、「君らに何ができるの?」という視線に常にさらされるつらさはありましたよ。

酒井 男女云々より、能力が問われたわけですね。現在でも日本の宇宙開発費は3000億円で、アメリカは4兆円だと聞きます。