大阪府に住む千福幸子さんは、73歳でホームヘルパー2級、76歳で介護福祉士、80歳で介護支援専門員の資格を取得。体力勝負の仕事かと思いきや、年を重ねたからこそ生かせることがあると話します(構成=山田真理)

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近い年代同士、話題は尽きません

ホームヘルパーの仕事を始めて15年。今は週3回ほど、訪問介護の仕事をさせてもらってます。担当するのは、ひとり暮らしの男性2名。ひとりは年上ですが、もうひとりは年下です。87歳にもなると、こういうことが増えてきますね。(笑)

料理、掃除、洗濯などの家事支援と、おむつの交換やなどの身体介護が主な仕事で、ひとりにかかる時間はだいたい1時間から2時間ほどでしょうか。

大阪という土地柄もあってか、利用者さんが楽しみにしてくれているのが「おしゃべり」です。若い人が知らんようなことでも、近い年代同士なら話せますでしょ。特に男の人は、なんや私を自分のお母さんと重ね合わせるみたいでね。炊事場で仕事してる時も、「テレビでも見とってください」と言うんですが、「わしゃ、テレビよりあんたが炊事しとる様子を見てたい」と、後ろに座ってあれこれ話しかけてきはります。

最近だと、ウクライナのニュースをきっかけに「戦争は怖いなあ」なんて話になって。「このあたりも空襲がひどかった。あんたはどこへ疎開した」「私は滋賀の田舎ですわ」「なら食べるのに苦労はなかったやろ」などと、話題は尽きません。だからいつも、「では、続きはまた来週のお楽しみに」っておするんです。

人と話すのが好きなのは、ずっと働いてきたからかもしれませんね。夫は板金業を営んでいて、忙しい時には3〜4人の職人を雇い、私も経理などの事務仕事で支えてきました。その後、薬剤師になった長女が長男と始めた薬局も、途中から手伝うようになって。私が60歳の頃です。高齢のお客さんが多く、店先に座ってお茶飲んで世間話にお付き合いしてました。

ところが、02年に夫が脳内出血で倒れてしまい介護生活がスタート。板金業に薬局に介護にと、この頃が後にも先にも一番大変な時期だったなと思います。約1年半の介護の末に、夫は72歳で亡くなりました。