数年前、群馬でひとり暮らしをしていた高齢の母を東京に呼び寄せるタイミングで、家の片づけを始めたという中山庸子さん。以降、モノを増やさないための独自のルールをつくり、心地よい空間を維持しているそうです(構成=上田恵子 撮影=大河内禎)

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60代半ばで縮小して正解だった

私が大がかりな断捨離を始めたのは2017年。当時ひとり暮らしをしていた86歳の母を、群馬から東京に呼び寄せたことがきっかけでした。母を迎えるための最初の作業は、私と夫が事務所として使っていたマンションの部屋を片づけ、徒歩5分の自宅に仕事場を移すこと。

大量の本や資料、クローゼットからあふれる服、集めた食器などを処分するのは本当に大変でした。そして片づけた80平米の元の事務所に、事務所の隣室に住んでいた娘夫婦が入居。母は、空いた娘夫婦の部屋に暮らすことになったのです。こちらは40平米とコンパクトだったので、ひとり暮らしにはちょうどいい。まさに3世代が同時に引っ越す〈民族大移動〉になりました。

私と夫の新たな仕事場は、3階建て一軒家の1階。長年「捨てない暮らし」を提唱してきた私でも、さすがに80平米の部屋にあった荷物を1室に運び込むのは不可能です。ダンボール40箱分の本など、最終的にトラック2台分の持ち物を処分しました。

以前取材していただいた際(2017年12月12日号掲載)にもお話ししましたが、片づけをする際はチェックリストが大活躍。「今週すること」「今月中にすること」を書き出し、済んだら印をつけていく。進捗状況が可視化されて励みにもなります。

今考えてみると、あの時の断捨離は年齢的にいいタイミングだったのかもしれません。片づけには気力と体力が必要ですからね。60代半ばに生活を縮小しておいて正解だったと思います。きっかけはさておき、終活の一つになりました。

何よりよかったのは、モノとの向き合い方が変わったこと。もともと私はストレス解消のためにモノを買うという習慣がなく、1回1回が真剣勝負。気力体力を使うから、頻繁には行きたくない。最近はその気持ちがさらに強くなり、買う時はモノの行く末まで考えて買うようになりました。

それこそ「遺言状に書く」くらいのレベルで気に入ったモノならば買うけれど、そうでなければやめておきます。