台風5号の影響で、福井県敦賀市街を流れる笙の川は7日深夜から水位がみるみる上昇し、河口付近の観測所で氾濫危険水位の2・5メートルを超え、8日午前5時半には最大3・69メートルにまで達した。市災害対策本部は周辺の市民約3100世帯7千人を対象に、同市初の避難指示を発令。越水まで1メートルを切る「首の皮一枚」(渕上隆信市長)の状況にまで増水し、避難した住民は不安な一夜を過ごした。

 笙の川が氾濫危険水位を超え洪水の危険が迫ったのは2013年9月の台風18号以来。

 笙の川は上流に支流を多く抱えるため、市南部の山側で時間雨量が40ミリを超えた1時間後の8日午前0時には水位が急激に1メートル超上昇し、氾濫危険水位を突破。その後も高止まりを続け、明け方にさらに上昇していった。

 河口から約700メートル上流の来迎寺橋は堤防高よりも橋の高さが低く、激しい雨の中で濁流はうねりながら橋げたにぶつかっていた。同橋は、県が治水対策として本年度から橋のかさ上げの設計に着手する予定だった。

 市災害対策本部は洪水の恐れがあるとして、8日午前0時15分に同市松島町、呉竹町1丁目など13区に避難勧告、同4時40分には避難指示を出して9カ所の避難所を開設。県敦賀土木事務所は来迎寺橋付近の越水を防ぐため大型土のうを積んだ。県警敦賀署は両岸の堤防道路を通行止めにした。

 避難所には最大で703人が避難。市プラザ萬象では市民が不安そうな表情を浮かべ、テレビやスマートフォンで気象情報を確認していた。

 川沿いに自宅がある同市三島町1丁目の男性(52)は、家族5人で未明に避難し「両親が高齢なので早めに来た。自宅で寝ている人も多いのでは」と心配そうな表情。避難指示後に家族5人で訪れた同市三島町2丁目の会社員男性(44)は「家は堤防から50メートルほどしか離れておらず、心配で寝れなかった。貴重品は2階に上げ、バッグに詰められるものだけ持って来た」と話していた。