福井県勝山市が3月に発刊した「白山平泉寺 よみがえる宗教都市」の売れ行きが好調だ。初版2千冊分は出版社の在庫がなくなり、地方の歴史本としては異例の速さで800冊の重版に踏み切った。市教委では「まさかこんなに売れるとは」と驚いている。

 本は白山開山1300年を記念し、市がこれまで開催してきた歴史講演会などの内容を基に、県内外の学芸員や研究者19人の寄稿などをまとめたもの。専門書ではなく、難解な漢字にはルビを振り、図や写真を多用するなど一般向けに読みやすく工夫されている。

 開山記念の年で平泉寺に脚光が当たり、初版は関西などの書店を中心に早々と在庫がなくなり予約も相次いだという。ネットでは定価の3倍ほどの値が付けられ取引されるほどの人気に。発行した吉川弘文館(東京)でも在庫が先月にはなくなり重版を決めた。

 編集や執筆にあたった市史蹟整備課では「都市部では白山の知名度がなく心配する声もあったが、予想外の売れ行きでうれしい」と手応えを感じていた。

 吉川弘文館の堤崇志編集部長は「この種の本で短期間に重版されるのはまれ」とした上で、ヒットの要因として「平泉寺の歴史を一般向けに価格を抑え出版した本は少ない。開山1300年の年に一般向けに出したことがよかった」と分析している。

 重版を記念し、市教委では20日から本を販売している市の白山平泉寺歴史探遊館まほろばでキャンペーンをスタート。同館で本を購入すると平泉寺南谷の石畳道が印刷されたクリアファイルを先着300冊限定で贈呈する。なくなり次第終了する。

 A5判、272ページ。税込みで1620円。問い合わせは市史蹟整備課=電話0779(88)8113。