日本と台湾の文化交流に取り組む福井県福井市出身のプロデューサー田中佑典さん(33)=東京=が、ローカルな生活を一定期間滞在して体験する旅のスタイル「微住」を福井県内に広めようと、専用ウェブサイト「福井微住.com」を2020年春に開設する。訪日する外国人向けに県内各地の微住プランを発信し、受け入れの窓口機能を果たす。クラウドファンディングのレディーフォーで運営資金を募集している。

 「微住」は、観光旅行でも移住でもなく、暮らすようにして1〜2週間程度の滞在を楽しむことを指す造語。田中さんが、18年4月に日台で発売したカルチャー雑誌「青花魚(さば)」で提唱した。雑誌で紹介した福井市東郷地区では、住民が台湾の若者の滞在を受け入れる動きも起きている。

 サイトは台湾を中心とする国外向け。東郷地区のほか大野市や鯖江市河和田地区、嶺南地域などで微住プランを組み、中国語繁体字と日本語で紹介する。微住の希望を受け付けて地域に橋渡しし、滞在中の様子も発信する。県内の地域活性化策を競う福井県のコンテストでは高い評価を受け支援対象に採択された。

 微住者が住民と継続的な関係を築けるように▽地域の祭りに参加▽郷土料理を振る舞い合う▽農業を体験▽観光の仕事を手伝う―などの過ごし方を想定。受け入れ地域が、微住者が緩やかに帰属する「ゆるさと」(田中さん)となっていく将来像を描く。住民と一緒にリノベーションによる場づくりをしたり、土産品開発にアイデアを出したりと、微住者にもできることを提供してもらうことで、地域課題の解決につながる展開にも期待している。

 北陸新幹線県内延伸を23年春に控え、インバウンドを含む観光戦略は福井県の大きな課題。県外からの交通の便は良くなるが「ほかの地域と同じ条件になる分、より福井にしかない魅力の発信が必要」と田中さん。「福井の人にとって当たり前の暮らしが外から見て価値があり、同じような体験ができることこそ福井に求められる魅力」と、「微住」によるまちづくりに意気込む。サイト開設後は地元企業や旅行会社と連携した事業の構築を見据えている。

 サイトの制作は、鯖江市のデザイン事務所「TSUGI」メンバーや台湾のウェブデザイナーらがチームを組み、2月に県内に実際に微住しながら進める予定。

 クラウドファンディングでは支援を1月24日まで募集。すでに第1目標額の30万円をクリアし、100万円を目指して応援を呼び掛けている。支援者には、台湾からの微住者と交流体験を楽しめる権利などの返礼(リターン)を用意した。