昆布加工販売の奥井海生堂(本社福井県敦賀市金ケ崎町、奥井隆社長)は、昆布蔵の見学やおぼろ昆布の手すき、昆布だしの試飲が楽しめるショールームを本社の蔵の隣に整備した。4月14日にオープンし、昆布の奥深さを五感で体感できるコンテンツとして観光客向けに提供していく。観光施設が集積する金ケ崎エリアの新拠点としてPRし、将来的には年間1千人以上の受け入れを目指す。  だしに使う国内最高級の利尻昆布が保管されている同社の蔵では、3〜4年熟成させることで磯くささや雑味がなくなり、最上級の「蔵囲(くらがこい)昆布」ができあがる。京都の一流料亭や世界のトップシェフに愛用され、国内外の料理人ら年間300人以上を対象に蔵の見学会を行ってきたが、北陸新幹線延伸を機に一般客の受け入れを拡大しようと新たな施設を整備した。  報道陣や県観光連盟の関係者を招いた現場見学会が9日開かれた。ショールームは面積約20平方メートル。室内では、手すき昆布職人が実演を披露し、観光客もおぼろ昆布の試食や職人の手ほどきで手すき体験ができる。資材を保管する倉庫と併せ、整備費は約2千万円。  蔵囲昆布やおぼろ昆布に関する約5分間の解説動画も作成。今後は10〜20人ほどの団体客を中心に▽動画の視聴▽職人によるおぼろ昆布の手すき実演見学・体験▽昆布蔵の見学▽だし試飲―を組み合わせたメニューを提供していく。料金は、お土産として同社の「ゆず昆布」「わさび昆布」のつくだ煮が付いて、1人当たり税込み3960円。  コンテンツ整備にあたっては、県観光連盟による観光地域づくり推進事業に採択され、補助を受けた。  3月には「敦賀のおぼろ昆布製造技術」が国の登録無形民俗文化財に登録され、一層の知名度向上や誘客に期待がかかる。今月6日に敦賀港にクルーズ船が寄港した際には米国人ら13人が蔵の見学に訪れたという。奥井社長は「世界中の料理人や美食家が日本の昆布のうま味に注目している。新施設を拠点にインバウンド拡大に貢献していきたい」と強調した。  金ケ崎エリアには敦賀赤レンガ倉庫や人道の港敦賀ムゼウム、鉄道資料館などがあり、県観光連盟の畑中容子専務理事は「敦賀の昆布への関心を広げ、ここから周辺の観光地や飲食店も楽しんでもらえるよう嶺南全体の観光をけん引する施設として期待したい」と語った。