北九州市は、行政サービスの効率化と市民への利便性向上を図るため、家庭調査票をデジタル化する画期的なプロジェクトに取り組みました。毎年新しい学年になるたびに手書きに苦労していた保護者から、「とても便利になった!」と喜びの声が届いています。

北九州市は、行政サービスの効率化と市民への利便性向上を図るため、全ての市立小学校・中学校・特別支援学校の家庭調査票をデジタル化する画期的なプロジェクトに取り組みました。毎年新しい学年になるたびに手書きに苦労していた保護者から、「とても便利になった!」と喜びの声が届いています。

 

 

 

家庭調査票のデジタル化の必要性

4月になると、小・中学校から持ち帰られる「家庭調査票」。お子さんや家庭の情報を毎年手書きするのは忙しい保護者にとってもなかなかの苦労です。

この課題に対し、わずか一年でデジタル化に成功し、DXを進めたのが北九州市。

従来の調査手法では、紙の家庭調査票をご家庭に配布し、回収・処理するプロセスが時間と手間を要しました。デジタル化は、これらの課題を解決し、迅速な情報収集と活用を実現しました。

 

 

 

プロジェクトの開始と目標設定

北九州市は、平成17年から独自の電子申請システムを整備するなど早くから行政DXに取り組んできました。ここに新型コロナウイルス感染症という転機により、社会的に非接触やデジタル化のニーズが底上げされました。この流れをうけ、昨年(令和4年)家庭調査票のデジタル化の検討がスタート。今年2月にはオペレーションが整い、この春からデジタル申請がスタートしました。

 

異例のスピードでのデジタル化には、早くから行政DXに取り組んできたリソースがあったことが大きな要因です。

 

 

 

システムの特徴と利点

今回の小学校・中学校・特別支援学校のデジタル化は、大きく2点実施されました。

 

①家庭調査票のオンライン化(電子申請サービス「Graffer」)

令和211月に刷新した北九州市の電子申請サービスで、保護者はもちろん教職員も使いやすいUI(ユーザーインターフェース)が自慢です。

このサービスを利用して、今まで紙媒体だった家庭調査票をデジタル化し、利便性の一層の向上を図りました。市内の市立小学校126校(休校の藍島小学校は除く)、中学校62校、特別支援学校8校の計196校に導入され、4月だけで46千件のオンライン提出を受け付けました。これは80%ほどの利用率を誇ります。

 

 

もちろん、デジタル環境にないご家庭は従来の紙申請でも対応可能。教員も必要なら従来の紙様式の形でも印刷できるというハイブリッド型です。

 

申請は5分ほどで済むうえ、次年度以降にデータを引き継げ、スマホから申請ができるということで、保護者からはかなり喜ばれた初年度となりました。

 

②保護者連絡アプリ「tetoru(テトル)」の導入

今まで電子メールや電話、紙媒体などで行っていた学校と保護者間のやり取りに機能的な無料アプリを導入して高度化。市立幼稚園(4園)、小学校126校(休校の藍島小学校は除く)、中学校62校、特別支援学校8校の計200校に導入されました。

 

 

いずれのサービスも対象の児童・生徒数は約68,000人にのぼります。

申請はもちろんですが、学校サイドの管理もペーパーレス対応にシフトチェンジしていけるので、情報紛失のリスクなどがなくなり、いいことづくしです。

 

 

 

プロジェクトの成果と効果

とはいえ、教育委員会と北九州市のデジタル市役所推進室との間では、複数回の会議が行われ、懸念点なども出たのではないかと想像されます。

この点に関し、当時デジタル政策監としてDXを担当していた上田さん(現・北九州市財政局長)は

「コロナが時代を後押ししたと思います。子どもたちには1人1台端末が貸与され、宿題もTeamsで提出したりする時代が一気に来たことで、先生たちへの参入障壁も下がってきました」

と語ってくれました。

 

当時デジタル市役所推進室を率いてDXに尽力した上田紘嗣さん(現・北九州市財政局長)

 

現場を担当したデジタル市役所推進室の須山課長、三浦係長、そして教育サイドの担当である北九州市教育委員会の松山課長、新郷主事はそれぞれの立場で状況を把握しながら、連携して実施に取り組んでいった半年間を懐かしく振り返ってくれました。

 

「北九州市は、トータルでDXに視点を置いているので、スピード感が違うんです」とデジタル市役所推進室・DX推進担当課長の須山孝行さん

 

「保護者からももちろん喜ばれていますが、学校の先生たちも結果的に業務量の圧縮につながったとの実感を感じつつあります」と北九州市教育委員会・学校教育部 学校教育課 学校教育課長の松山修司さん

 

「教育現場だけでなく、様々な分野のDXが進むよう伴走型で現場を支援しています。これからも色々やって行きますよ!」とデジタル市役所推進室デジタル市役所推進担当係長の三浦雄一さん

 

学校の先生であると同時にママでもある北九州市教育委員会学校教育部 学校教育課 指導主事の新郷久恵さんは、「もはや子どもたちのほうがデジタルになじむのが早いので、DXは自然な流れだと感じます」と答えてくれました

 

行政サービスのシステム開発となると、供給サイドの視点からシステムに寄ってしまうことが多いようですが、北九州市では、ユーザー視点から徹底的に現場のオペレーションをヒアリングし、市民からも教職員からも「使いやすい」ことを第一に考えた結果、問題点をクリアするまでの工程を最短距離に縮めることができたといいます。

 

 

 

今後の展望

北九州市は子どもたちと学校のやり取りにとどまらず、様々な分野でデジタル化プロジェクトを更に拡大する予定です。他の自治体からの視察も増えており、福岡から本質的な行政DXサービスが続々と誕生する機運が高まっています。

 

 

 

参考

GIGAたんについて|GIGAたんホームページ|北九州市教育委員会 (kita9.ed.jp)

 

 

 

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著者:フクリパ編集部