いつの時代でも「カフェ」という存在は人々をトリコにします。近年のSNS人気も相まって、おしゃれなカフェ巡りを楽しむ女性も多い中、にわかに脚光を浴びているのが「昭和レトロな喫茶店」。中年以上の方はノスタルジックを感じ、若者にとってはおしゃれなカフェにないレトロ感が斬新だと感じるんだそうです。そこで福岡に今なお現存する「昭和レトロ喫茶店」をピックアップしてご紹介していきたいと思います!

「喫茶伽羅(きゃら)」があるのは、難読で有名な「対馬小路(つましょうじ)」

今回ご紹介する「喫茶伽羅(きゃら)」があるのは福岡市博多区の対馬小路。対馬小路と書いて(つましょうじ)と呼びます。

同じ博多区の「雑餉隈(ざっしょのくま)」同様、福岡の難読地名としてたびたびメディアでも取り上げられるエリアです。

 

 

最寄駅は福岡市地下鉄「中洲川端駅」。駅より「土居通り」を徒歩で10分ほど北上すると、左手にこちらの茶色いビルがあり、その一階になります。

 

 

外観はいたってシンプル。こちらのキーコーヒーのスタンド看板がお店の目印です。

 

 

毎朝9:00から営業されており、10:30まではモーニングサービスを実施しています。

手書きの独特のフォントが時代を感じますねー!!

 

 

さあ、年季の入りまくったドアを開けて、入店しましょう!

 

30年前から変わらない店内とメニュー、そして料金!

 

オープンしたのは約30年前。開業当初からほとんど手を加えていないという店内空間は、まさに30年前にタイムスリップしたかのよう。

 

 

使い古された背の高いベロア張りのソファーも円熟味を帯びています。

 

 

同じくベロア張りのスツールが並ぶカウンター席。このカウンターもランチタイムになるとお客さんがひしめき合うんです。

 

 

カップボードにはウェッジウッドをはじめとしたカップ&ソーサーがズラリと並びます。

ただしどのカップで提供されるかはママの気分次第なのです。

 

 

本棚には男らしいジャンルのコミック雑誌がぎっしり。

 

 

メニューは壁面でチェックするスタイル。月曜日から金曜日のウイークデーは日替わりランチのみの提供、左側の黒いメニューは土曜日しかオーダーすることができませんのでご注意を。

 

喫茶伽羅(きゃら)の歴史

店主を務めるのは山内博子さん。通称「ママ」。そのお名前の通り、産まれも育ちも生粋の「博多っ子」なのです。

 

お生まれになったのは博多区の旧名・馬場新町(現在の祇園駅の近く)。市内の学校を卒業し、就職。ご結婚を経て生活が落ち着いてきたタイミングで、当時博多区上牟田にあった純喫茶でアルバイトを始められ、料理や接客を学ばれました。

 

ママが生まれ育った町・旧馬場新町界隈の1963年ごろの写真。※以前、祇園町「カフェ・ジョージ」のマスターから見せてもらった写真を拝借しました。

 

その後、博多駅前にあった漫画喫茶に転職。ちょうどインベーダーゲームが大流行し、喫茶店のテーブルは軒並みインベーダーゲームができるゲーム台になったことでかなりの売り上げを誇っていたんだそう。やがてお店のオーナーから店長を任せられることになり、日々順調に売り上げを伸ばしていました。

 

そんな中、自分の店を持ちたいという気持ちが産まれ、対馬小路にあった現在の物件を気に入り、1995年6月に「喫茶伽羅(きゃら)」をオープンされました。

 

「伽羅」とは香木の中でも最上級の種類を差すそうで、その名の響きが好きで名付けたんだそうです。(とは言え、お香がお好きなわけではないそう)

 

旦那さんの応援もあり、順調にお店を経営していましたが、オープンから4年後、旦那さんが他界。以来ずっとお一人で営業を続けられています。

 

ボリューム満点の手作りメニューは驚きの安さ!

伽羅の自慢はメニューのボリュームとその安さ。

モーニングからランチまで、とにかくたくさん食べれて、しかも料金は創業当時のまま。驚くような金額でお腹いっぱいになれるのです。

 

 

こちらは平日の9:00〜10:30限定でオーダーできるモーニングセット

大き目のお皿の上には厚切りのソフトフランスパン2枚に目玉焼き2個、そしてポテサラとサラダ、さらにコーヒーまで付いて、なんと税込500円!

 

 

パンは「博多ベーカリー」のソフトフランスを使用。写真では分かりづらいですが、厚さは2cm以上あります。このパンの表面に濃厚なバターをたっぷり塗りこんでトーストしているので、バターの味がしみ込んでいます。

それに目玉焼きにサラダにコーヒーが付くので、ボリューム的にはもはやランチレベルです。

 

 

平日限定の日替わりランチは、ビュッフェスタイルの副菜が付いています。種類も豊富なので、ついつい沢山取ってしまいそうですが、あんまり欲張って取り過ぎるとママから「あんた取り過ぎやろ!」と怒られるのでご注意ください(笑)

 

 

この日の日替わりランチのメインは生姜焼き。大きなお皿を埋めつくすかのような量の生姜焼きがドーン!と提供されます。しかも食後のコーヒーまで付いて税込750円。

このコスパの良さは、ランチタイムはすぐ満席になるのも頷けますね。

 

しかもこのメニューは全て手作りというから驚き。毎日の仕込みから買い出しまで全てママ一人でやられているんです

 

店内喫煙もOKなのです

 

ママが愛煙家ゆえに、店内は終日喫煙OK。

ただし、お客さんの多いランチタイムは他のお客さんに配慮して自重するのが良さそうです。

 

ママの「口の悪さ」も魅力のひとつ!

ご自身で「私は口が悪いけんね」と笑うママ。お客さんにズバズバと注意するのはもちろん、お昼に日替わりランチ以外の注文をすると「ランチしかできん!」という言葉が返ってきちゃいます。

 

ちょうど取材時、モーニング営業が終わった直後にお客さんがモーニングを求めて来店されたのですが、最初は断りながらも、やがて「仕方ないね〜!せっかく来たけん特別に作るけど、作ってカウンターに置くけん、自分でテーブル席まで持って行ってね!セルフサービスやけんね!」と言って、お客さんを動かしておられました(笑)

 

こんなお客さんとのやり取りが日常茶飯事なので、中には気分を害する方もいるそうですが、ママはおかまいなし。

 

「私の店やし、ひとりでしよるけん、私のルールに合わせてくれんとね!」と笑います。

 

そんなちょっぴり口が悪いママながらも、長年通ってくれる常連さんをはじめお客さんから愛されていて、中にはひとりで来店される女性も。みなさんママとの掛け合いを楽しんで来られているようです。

 

 

最後にお店を続ける理由を尋ねたところ、「旦那が若くして亡くなったので、旦那の分まで一生懸命働いて、頑張って生き抜いてやろうと思っているから」という答えが返ってきました。

 

食材が高騰している中でも、値上げをしないのも長年わざわざ通ってくれるお客さんを思ってのこと。

 

そんな人情味あふれる「喫茶伽羅」には、明日のお昼にもお腹を空かせたたくさんのお客さん達がやってくることでしょう。

 

 

喫茶伽羅(きゃら)

住所:福岡市博多区対馬小路5-1

営業時間:月〜金曜日 9:00〜15:00、土曜日 9:00〜14:00

電話番号:092-271-6109

定休日:日曜日・祝日

喫煙:終日OK

 

 

著者:久原茂保