天神地区や博多駅エリアをはじめとする福岡市の市街地では、おしゃれでデザイン性に優れたマンションを数多く見かけます。暮らしやすくて便利な福岡市は、東京23区に次いでマンションの割合が高い都市でもあります。超成長都市としても注目を集める福岡市のマンション動向について今回、レポートします。

東京23区に次いでマンションの割合が高い福岡市の住居事情

出典)東京カンテイ『特別区&政令指定都市 2021年のマンションストック戸数およびマンション化率』

福岡市の世帯に占めるマンションの割合は高く、いわゆるマンション化率で福岡市は東京23区に次ぐ第2位だった。
不動産鑑定・情報サービスの株式会社東京カンテイが2022年1月に発表した『特別区&政令指定都市 2021年のマンションストック戸数およびマンション化率』によると、福岡市内のマンションは23万6,802戸だった。
そして、福岡市内79 万526 世帯に占めるマンションの割合、つまりマンション化率で29.95 %となり、東京23区の32.10%に次ぐ数値だった。

20政令指定都市のうち、2020年10月実施の国勢調査で人口減となったのは8都市だった。
これら8都市のうち、神戸市を除いた7都市は、マンション化率でのワースト8に名を連ねていた。
つまり、マンション化率の低い都市は、総じて人口面で減少しがちな傾向がみられる。
今後の都市経営において、人口の維持・拡大を図る上でマンションの存在は大きいといえる。

一方、新築分譲マンションの市場動向調査を手掛ける株式会社不動産経済研究所が2022年2月に発表した『全国 新築分譲マンション市場動向2021年』によると、2021年に福岡市で販売された分譲マンションは対前年比53.9%増の3,023戸だった。
福岡市の分譲マンション販売の伸び率は神戸市に次ぐ第2位だ。
また、人口10万人あたりの分譲マンション販売数で187.5戸の福岡市は、大阪市、名古屋市に次ぐ第3位となっている。

出所)株式会社不動産経済研究所 ※各都市の人口は2020年国勢調査(確定値)

福岡市のマンション市場における特徴の一つとして、専有面積35平方メートル以下のワンルーム形式住戸のマンションの多さが挙げられる。
民間企業調査機関である東京経済株式会社福岡支社の調べによると、建設予定マンションのうち、半分前後がワンルーム形式住戸のマンションだ。
そして、これらワンルーム形式住戸の多くが、主に賃貸用マンションとして建設されている。

東京経済株式会社福岡支社調べ

福岡のマンション業界に詳しい東京経済株式会社福岡支社の田中正徳事業推進部長は、次のように語る。


田中部長
目の前に海が広がり、背後に山が控える福岡市は典型的なコンパクトシティであり、昔からワンルーム形式住戸をはじめとする賃貸マンションを手掛ける地場の住宅会社が多い土地柄です。 
これらのマンションが多い背景としては、福岡市における驚異的な人口増が挙げられ、中でも単身世帯の人口増が賃貸マンションの需要を下支えしています。

最近、単身者や共稼ぎ夫婦、シニア世代向けに比較狭い専有面積に1LDK〜2LDKの間取りとファミリータイプの設備や仕様を備えた『コンパクトマンション』と呼ばれる新たなタイプの住戸も登場しており、マンション自体も複雑に進化しています。

なぜ、福岡市は人口の増加数・率ともに政令市トップなのか

『第21回国勢調査』(2020年10月1日実施)の確定値で福岡市の人口は前回から7万3,711人増え、4.79%増の161万2,393人となり、人口増加数・人口増加率で共に首位だった。

1920年実施の『第1回国勢調査』以降、100年余りも人口を増やし続ける福岡市は、〝元気〟な成長都市だ。そして、国立社会保障・人口問題研究所の人口推計によると、 福岡市の人口は2035年まで増え続ける。その人口増加率に おいても福岡市は、東京23区を大きく上回る。

福岡市における驚異的な人口増加の要因を〝素因数分解〟すると、下記のような方程式になると考える。
福岡市の人口増 =【暮らしやすさ】(便利×おいしい×安い)+【経済成長】

上記の方程式を構成する【暮らしやすさ】についてみてみよう。

(1)究極のコンパクトシティがもたらす『便利さ』で暮らしやすい

福岡空港まで博多駅から地下鉄で5分という好アクセスは森記念財団 都市戦略研究所『世界の都市総合力ランキング2021』において世界48都市で第1位に輝く。
典型的なコンパクトシティである福岡市は、職住近接の都市構造であり、通勤・通学の片道平均時間34.5分は7大都市圏で最短だ。
都心部の天神から半径3km圏内に福岡空港、博多港、博多駅という陸・海・空の交通アクセス拠点が立地する福岡市は、生活する市民に限らず来訪者らにも便利な都市だ。

(2)国内外から『おいしさ』で注目を集める〝食の都〟暮らしやすい

豚骨ラーメン、明太子、やきとり、もつ鍋、おきゅうと、ごまさば……。
個性的な〝食〟らをラインナップする福岡市は〝美食のまち〟としても注目を集める。
福岡市のシティセールスWebサイト『Fukuoka Facts』によると、ミシュランガイドの星付き店は福岡市内に42店舗あり、東京都区部、京都市、大阪市に次ぐ第4位だ。

(3)大都市なのに意外に『安い』物価で暮らしやすい

日本の消費者物価地域差指数 (2020年)において、食料物価96.4円の福岡市は21大都市の中で第1位だった。
また、家賃を除く総合物価でも97.8円の福岡市は、岡山市に次ぐ第2位だ。
人口160万人超の大都市にも関わらず、福岡市の物価は安い。

超成長都市・福岡市は10年間で域内生産額を1兆円上積み

暮らしやすさと共に【経済成長】が人口増の両輪になっている福岡市は、超成長都市と称されることも多い。
福岡市経済観光文化局がまとめた『福岡市経済の概況』(2022年3月版)によると、2009年度に名目6兆7,500億円(実質6兆6,600億円)だった市内総生産は、2018年度には同7兆8,500億円(同7兆6,300億円)へと1兆円も伸ばした。

福岡市が市内総生産を伸ばした要因として、福岡市の戦略的な取り組みが挙げられる。
2010年に新たな成長戦略を打ち出した福岡市は、2013年に四半世紀ぶりに基本構想を改訂した新たな総合計画をスタートさせ、2014年5月に国家戦略特区『グローバル創業・雇用創出特区』に選ばれた点も大きい。
その後、国家戦略特区を活用してスタートアップ支援を加速させる一方、『天神ビッグバン』『博多コネクティッド』を立ち上げて都心開発を進めている。

事実、都道府県が2021年7月1日時点で調べた『基準地価』における商業地の上昇率で全国上位10地点のうち7地点が福岡市だった。
また、国土交通省による2022年1月1日現在での公示地価においても商業地で同じく全国上位10地点のうち、7地点を福岡市が占めた。
都心開発の影響が周縁部へ波及し、さらに堅調なマンション用地需要が下支えし、福岡市の商業地の地価を押し上げたと考えられる。
 

『住みたい街』で3連覇の福岡市は都市特性評価でも第3位

【暮らしやすさ】と【経済成長】を両輪にして、驚異的な人口増をみせる福岡市は、各種都市ランキングでも高評価を得ている。

大東建託株式会社が2022年8月24日に発表した『いい部屋ネット 街の住みここち&住みたい街ランキング2022<全国版>』において、福岡市は『住みたい街(自治体)』での3連覇をなし遂げた。
18万6,426人が回答した同ランキングでは、「天神が栄えていて、バスや電車、飛行機などの交通機関も充実している」「海や山があり、食べ物が美味しく、交通の便も便利」「大学生の時に福岡市に住んでいて、暮らしやすかった」「色んなイベントが多く、食もおいしい」「観光で訪れたとき、素敵な街だと思った」などの声が寄せられている。

一方、不動産開発大手・森ビル関連の森記念財団都市戦略研究所(竹中平蔵所長)が2022年7月25日に発表した、国内の138都市と東京23区を対象にした『日本の都市特性評価2021』において福岡市は、大阪市、京都市に次ぐ第3位だった。

経済・ビジネスをはじめや文化・交流、生活・居住、交通・アクセスなどの6分野・86指標で評価する同ランキングでは、福岡市について「『発信実績』における魅力度・認知度・観光意欲度や、『ハード資源』の観光地の数・評価、『ソフト資源』の文化・歴史・伝統への接触機会など、複数の指標でスコアを伸ばした」とする。

出所)『いい部屋ネット 街の住みここち&住みたい街ランキング2022<全国版>』

今後に向けた福岡市の可能性や将来構想を考える

「今日より明日の方が良くなっていく、そんな未来を描ければ、誰もが≪頑張ろう!≫という前向きな気持ちになれる」――。
福岡市の舵取りをする高島宗一郎市長は、以前のインタビューで都市経営の要諦について語った。
生活面での【暮らしやすさ】に加え、国家戦略特区や都心開発に象徴される【経済成長】を両輪とする福岡市は今後、首都圏をはじめ域外からのヒト、カネ、ビジネスの新たな〝投資〟を呼び込むことで〝未来〟への新たな好循環を生むものと考える。

 

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著者:近藤 益弘 (編集者兼ライター)