福岡市民のメインストリート、「てんちか」のトイレが、どうやら観光客や海外の方々に話題との情報を聞きつけ、元放送作家のきむ兄が取材してくれました!東京のトイレ事情との比較も含め、「てんちか」の新たな魅力を一緒に味わってください!

女性とご飯を食べに行くとき、選ぶお店はなるべくトイレがキレイでウォシュレットで、さらに女性専用の個室があると言うことなし派のきむ兄です。
 
さて、今回は九州最大の繁華街・天神にあるコンセプチュアル的なトイレが福岡の女性にも観光客の方々にも大人気ですよーという話題です。東京の商業施設、特にヒカリエなど渋谷の施設には驚くほど豪華で綺麗なトイレ(化粧室)がありますが、福岡にもあるんです。地元の女子高校生が映えスポットとして訪れるほどの豪華でキレイなトイレが。

「トイレは綺麗で当たり前」な天神の商業施設


天神の地下、渡辺通りを南北に貫く全長約590mの「天神地下街」。

天神の中心をほぼ南北に走る「渡辺通」の地下に位置します。およそ青で囲っているあたりです

1番街から12番街までブロック分けされていて、グルメやファッション、書籍や雑貨など150余りの店舗があります。天神地下街は、19世紀のヨーロッパをイメージして造られました。石畳の床に唐草模様の天井など、1976年の開業当初から存在感のある施設として福岡市民に親しまれてきました。

唐草模様の天井 

1番街から6番街は、ヨーロッパ中北部の香り漂うステンドグラスやからくり時計が設置され、黄昏のような優しい光が利用者を包みます。7番街から12番街は、南ヨーロッパ風の街並みをイメージして、地上からのやわらかな自然の光が広場を照らしています。

なが〜いてんちかのMAP。詳細は「てんちかマップ」で検索ください。すぐに見つかります

地下鉄空港線・天神駅と七隈線・天神南駅と直結しているほか、西鉄福岡(天神)駅や福岡天神バスセンターにもつながっていて、福岡市民の交通の中心地の役割を果たしています。

天神の中心で都市と商業の交通、人が豊かに交流する大きな「劇場」としてデザインされました。通路は客席、店舗は舞台として、商品とショップのスタッフが脇役の俳優、利用者はそれぞれの素敵なパフォーマンスを楽しむ主役となります。

天神地下街の通路

天神地下街のトイレが注目され始めたのは2016年。天神地下街開業40周年記念事業の一つとして、お客様のサービス向上のためにリニューアルされたことがきっかけです。当時は天神地下街の周辺施設「ソラリアプラザ」「福岡パルコ」「福岡三越」がサービス向上の取り組みとして、機能性やデザインを追求したトイレにリニューアル。「天神の商業施設のトイレはキレイで当たり前だよね」という時代の流れになっていました。
 
こうした流れを意識して、天神地下街を運営する福岡地下街開発株式会社もトイレのリニューアルに踏み切りました。リニューアル直後から反響が大きく、国内外からの取材が多数入り、トイレの建築デザインの本にも掲載されたほど。結果的に、今まで利用しなかった女性層が地下街のトイレを利用しています。

天神地下街の豪華すぎる4つのトイレ


では現在の天神地下街にはどのようなトイレがあるのでしょうか。天神地下街には4つのトイレがあります。
 
まずは東2番街にあるトイレ。テーマは「イギリスの女流小説家の書斎」。

「イギリスの女流小説家の書斎」(東2番街)

こちらはイギリスの女流作家「ジェーン・オースティン」のお部屋をモチーフにした空間とのこと。彼女は英国留学した夏目漱石も「文学論」のなかで絶賛しているほど、写実性に富んだ描写力の持ち主。たくさんの書籍に囲まれて、大作が生み出されたお部屋なんですね。

続いて西6番街のトイレ。テーマは「フランスの高級ブティック」です。

「フランスの高級ブティック」(西6番街)

フランスのパリにはサントノーレ通りなど高級ブティックが集中する通りがあります。「天神地下街通り」に来れば、あなたもサントノーレ通りの香りを満喫できることは間違いない!?

3つ目は東10番街のトイレ。こちらは女性専用でテーマは「フランス王妃の別荘」です。

「フランス王妃の別荘」(東10番街)

私たち日本人が知っているフランス王妃といえば、マリー・アントワネット。17世紀当時のベルサイユ宮殿には王妃専用のトイレはありましたが、宮殿にはトイレが不足していて、あちこちに召使いたちの排泄物があったという話もあります。このトイレが当時からあれば、宮殿にいる人たちも幸せだったことでしょう。

最後4つ目は西12番街のトイレ。テーマは「エーゲ海に浮かぶ小さな家」です。

「エーゲ海に浮かぶ小さな家」(西12番街)

エーゲ海の白い家といえばギリシャにあるサントリーニ島。人生で1度は行ってみたい絶景スポットの一つとして知られていますが、天神地下街に来れば絶景は味わえなくとも、絶景を彩る小さな家を間近に見ることができるはず!
 
しかし、天神地下街のトイレがすごいのはデザインだけじゃないんです。トイレによってアロマの香りが違う上に、昼と夜によって照明の量が変化するのです。照明や香りでもトイレの違いを楽しめるなんて、女性にとってはうれしいのではないでしょうか。
 
この記事を書くにあたり、福岡に住む女性に話を聞きました。きむ兄が前回書いた記事「薬院ベスト7」で紹介した「博多okatteふじコ」で一緒になった24歳の女性看護師から興味深い話を聞くことができました。なんと、高校時代に友人と映えスポットとしてわざわざトイレに行って、トイレ内にあるベンチで友だちとおしゃべりをしていたというんです。昭和生まれのおっさんには分からない感覚、素敵だと思います!

ヴィーナスフォートよりも歴史があった天神地下街


きむ兄が天神地下街のトイレを初めて使ったのは、福岡に移住する3ヶ月前の2020年夏でした。友人に案内され、渡辺通りの屋台で飲んでいたときに、「トイレはどこ?」と友人に聞いたら、「地下街にあるトイレを使うんよ」と場所を教えてもらって西12番街のトイレを使いました。単純に「めちゃくちゃキレイなトイレだな。すごいな」と。
 
東京にも八重洲地下街や新宿サブナードといった地下街がありますが、ここまでキレイだった記憶はなかったので、記憶に残っています。
 
「中世ヨーロッパ」というコンセプトの施設で思い出すのが、2022年3月に閉館した「ヴィーナスフォート」。
 

 
最初に天神地下街を訪れたとき、きむ兄は「お、ヴィーナスフォートみたいだな」という感想でした。ヴィーナスフォートは1999年に開業、当時のお台場の最先端デートスポットの一つでした。20代前半だったきむ兄も、当時お付き合いしていた人とよく行っていました。懐かしいなぁ。
 
東京に住んでいると、当然ですが、福岡のいち施設の情報はなかなか入ってきません。ましてや、90年代後半はインターネットの黎明期なので自分から福岡の情報を取りに行くのは至難のワザ。「うぇーい。中世ヨーロッパをイメージした施設ができるなんて、やっぱ東京は最先端だぜ」と思っていたのかもしれません。でも、90年代どころか、きむ兄が生まれた1978年より2年も前に天神地下街は存在したんです。
 
福岡には感性が鋭くて豊かだなぁと感じる商業施設がたくさんありますが、天神地下街はその先駆けと言っても過言ではないのです。
 
残念ながらヴィーナスフォートはなくなってしまいましたが、天神地下街はこれからも多くの人にとってなくてはならない施設であってほしいです。東京から友人を渡辺通りの屋台に連れて行くときには、「てんちか」のトイレの話も付け加えたいと思います。

8番街・石積みの広場

著者:きむ兄(木村公洋) (移住系ライター)