DeNA上茶谷は「投げ合うより、おまえの球を打ちたい」

 24歳で念願のプロ入りにこぎつけた楽天ドラフト3位の藤井聖投手(ENEOS)。今月10日からは、仙台市内で新人合同自主トレに臨む。1年目の目標は「新人王一択です」と言い切る150キロ左腕。これまでの道のりを支えてきたのは、2年前にプロ入りした東洋大同期4人の寄せ書きだった。

「とうとう来た、やってやるぞという思いです」と目を輝かせる藤井。身長176センチ、体重78キロとプロでは小柄な方だが、自慢の速球以上に自他ともに認める「負けず嫌い」な性格こそ最大の武器だ。

 東洋大時代の4年間は通算10試合0勝1敗、防御率2.45に終わったが、2018年のドラフト会議で同期の上茶谷大河投手がDeNA1位、甲斐野央投手がソフトバンク1位、梅津晃大投手が中日2位、中川圭太内野手がオリックス7位で指名され、それぞれプロへ進んだ。藤井は「2年後には必ず自分が」との思いを胸に、社会人野球の名門ENEOSに入社。大学を卒業する際、プロ入りする4人からは、球団名入りのサインを寄せ書きした色紙をもらった。

 4つのサインの真ん中に書き込まれている「チリ」の2文字は、チリチリの天然パーマがトレードマークの藤井の愛称。「『藤井へ』でも『聖へ』でもなく、2文字だけ。雑な感じですが、彼ららしさが詰まっていて大好きです」と藤井は笑う。

「社会人での2年間、この色紙を見て頑張った。この4人の存在があるから頑張れた。彼らはみんな1年目から活躍して、本当に刺激になった。負けていられないと、より一層プロへの気持ちが強くなりました」と感慨深げに振り返る。もちろん、楽天の泉犬鷲寮にもこの色紙を持ち込んでいる。

 この2年間、特にENEOSと同じ横浜市に本拠地を置くDeNAの上茶谷とは、数多く食事をともにしてきた。そして今、セ・パ交流戦で投げ合うことを誓い合っているかと思いきや、上茶谷は年明けにLINEで「投げ合うより、おまえの球を早く打ちたいわ」と謎のメッセージを送ってきたという。確かに上茶谷は、本職の投手として2年間で通算9勝9敗、防御率4.01をマークする一方、打っても通算63打数11安打0本塁打4打点、打率.175。DH制だった大学4年間打席に立っていなかったとは思えない成績ではある。藤井も「あいつが打席に立ったら、必ず三振を取ります」と応じた。

 6日に入寮した際には、「仙台の寒さをなめていました。これぞという防寒具は用意していません」と肩をすくめた藤井だが、「寒さ対策はとにかく運動しまくること。ひたすら練習すれば体も温かくなると思う。もともと暑がりなので乗り越えます」と臆するところはない。4人の友へ、直接対決で痛烈な恩返しをぶちかます。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)