「盗塁の形として正解はない」まずは自らの形や意識を伝える

 中日の荒木雅博内野守備走塁コーチが14日、沖縄・北谷町での春季キャンプで俊足の若手たちに盗塁のポイントを説いた。プロ野球歴代11位の378盗塁を重ねた“名ランナー”を中心に取り組むのは、昨季12球団中11位だった盗塁数の向上。単なる企画数増ではなく、成功率アップも目指す。

 DeNAとの練習試合が雨天中止となった後の屋内練習場。ドラフト6位ルーキの三好や高松、岡林の若手の“俊足トリオ”に、盗塁を試みるスタートの形を示して見せた。各選手の動画を撮影し、その場で体の使い方を確認。頭や足の位置、手の使い方などを荒木コーチはつぶさに伝えた。

「盗塁の形として正解はないわけで、まずは僕の形、意識するポイントを選手に伝えた。誰の感覚が合うのかはわからないので、色々な人のアドバイスを聞けばいいと思う。まずは僕の理論を選手に話した。今まであまりスタートの事は時間をかけてやっていなかったので」

 昨季のチーム盗塁数は33。リーグ連覇の巨人と2位の阪神は80で、4年連続日本一のソフトバンクは実に3倍の99を数えた。50盗塁でタイトルを獲得した周東佑京ひとりに及ばない状況で、与田剛監督も課題の一丁目一番地に掲げる。

経験を積み重ねて成功率を上げてきた現役時代、失敗なしのシーズンも

 英智外野守備走塁コーチとともに、走塁改革の旗振り役となる荒木コーチ。「盗塁企画数を増やすだけでなく、成功率も大事になってくる。最低でも7割5分。4つ走って3つは成功というぐらいにしないといけない。走ればいいという訳ではないし、そこをしっかり詰めていかないといけない」と力説する。

 成功率は、自らの経験で培ってきた勲章でもある。「若い時は一か八かスタートを切るということが多かったけれども、年数を重ねるごとに走ればセーフというように確率をしっかり高めて走れるようになっていった。最後の方は企画数は減っているけど、成功率はかなり高くなっていたと思う」と現役23年間を振り返る。

 実際、自身初めてシーズン30盗塁以上に乗せた2004年は、成功39に対して失敗9(成功率76.9%)。2009年に至っては成功37で失敗14(62.2%)だった。ただ、30代後半になると、企画数こそ減ったものの、成功率は上昇。2014年は成功17で失敗1(同94.1%)。2016年は成功13で、失敗は1度もなかった。

 失敗の数々が教訓となり、無駄を省いて感覚を研ぎ澄ましてきた。だからこそ、指導者の立場となった今は「若い選手は一か八かで行ってみないと、どれが良いか悪いか分からない。練習試合やオープン戦で、まずはチャレンジしてみてほしい。その中から学んでいってほしい」と求める。走らないチームからの脱却に向け、自ら蓄えた無数の引き出しを提供していく。(小西亮 / Ryo Konishi)