「浅村さんに『まだ大丈夫』と思われていたらダメやと思う」

 盤石の内野レギュラー陣に波乱を起こすか。プロ2年目、19歳の楽天・黒川史陽内野手が25日、DeNAとの練習試合(宜野湾)に「8番・二塁」で先発出場し、5打数5安打2打点の大当たり。二塁のレギュラーは昨季32本塁打でタイトルを獲得した30歳の浅村栄斗内野手だが、厚すぎる壁を前にしても若武者に気後れはない。

「浅村さんに『まだ大丈夫』と思われていたら、ダメやと思う。脅かすというか、『黒川、やるな』と思われる結果を出していきたい」。黒川は試合後、キッパリ言い切った。

 2回2死一塁での第1打席は右前打で好機を広げた。4回先頭で迎えた第2打席は左翼線二塁打でチャンスメーク。5回無死一、三塁での第3打席は右越え適時二塁打を放った。勢いに乗り、6回の第4打席は左前適時打。8回には詰まりながら中前へ落とすテキサス性のヒットを放った。左へ、右へ、長打、単打と実に多彩な内容だった。

 智弁和歌山高時代に5季連続甲子園出場を果たし、通算34本塁打を放った左打ちのスター候補は昨季、高卒1年目にして9月に1軍昇格を勝ち取り10試合に出場した。今季はさらなるブレークの予感を漂わせている。「去年1軍を経験させてもらって、やっぱり1軍でやりたいという思いが強くなった」と言い、「1年間1軍にいること」を当面の目標に掲げている。

石井監督は「2、3年後に厚みを持たせるために」と長期的視点で期待

 昨季まで二塁手として5年連続ベストナインに輝いている浅村の壁は当然厚い。石井一久GM兼監督は「これから主力選手がオープン戦に出てくるという中、その前に結果を出している。シーズンでも見てみたいというのはある」と評しつつ、一方で「浅村を? まだ脅かさないでしょ」とバッサリ。守備面で「二塁手はやるべきことが多い。一瞬気が抜けるというか、次の準備ができていないことがある」と苦言も呈した。このあたりは期待の高さの裏返しだろう。偉大な競争相手に本気で勝とうとするなら、高いレベルを求められるのは当然とも言える。

 黒川が二塁のポジションを奪い、浅村が一塁やDHへ回るケースもありえるが、その場合は玉突き的に実績のある鈴木大地、銀次らの出場機会を奪うことになるのだろうが、いずれにせよおいそれとはいかない。石井監督は「僕たちの戦いは1年だけで終わるわけではない。2、3年後のイーグルスに厚みを持たせるためにも、次世代の選手に出てきてほしいし、いい経験をしていると思います」と長期的な視点で期待を寄せる。

 浅村に追いつき追い越そうとする心意気と努力が、スケールを大きくさせるのは間違いないだろう。ぶ厚い内野陣に新風を吹かせることができるか、黒川の奮闘に注目したい。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)