ドラ6のブランドンはOP戦9試合で打率.286&1本塁打、指揮官も「パンチ力がある」

 西武の三塁手争いが混とんとしている。昨季69試合でホットコーナーを守った中村剛也内野手が左ふくらはぎの違和感で出遅れ、同54試合のコーリー・スパンジェンバーグ内野手はコロナ禍で来日のメドが立っていない。期待のドラフト1位ルーキー・渡部健人内野手も右肩痛の影響でようやく16日に1軍初合流を果たしたばかりだ。現状で定位置に最も近いのは、ドラフト6位で入団したタイシンガー・ブランドン大河内野手(登録名ブランドン)と見てよさそうだ。

 米国人の父、日本人の母を持つブランドンは沖縄県出身で、同・石川高時代には投打二刀流で名を馳せ、東農大北海道オホーツクを経て西武入りした。沖縄から一気に北海道へ飛び、今度は首都圏の埼玉でプレーすることになった男は彫りの深いイケメン。

 指名順位こそ下位だったが、春季キャンプでA班(1軍)に抜擢され、シート打撃でも練習試合でもチームで最初にオーバーフェンスを放ってみせた。辻発彦監督は「パンチ力がある」と予想以上のパワーに目を細めた。

 3月に入ってからのオープン戦でも9試合で打率.286(21打数6安打)、5打点1本塁打。決して引っ張り専門ではなく広角に長打を打てる。16日の広島戦(メットライフドーム)では、5回先頭で広島・森下から左前打を放つと、続く西川との間でヒットエンドランを成功させ、快足を飛ばして三塁を陥れた。

ドラ1渡部は“1軍デビュー戦”で投ゴロ、失策も

 一方、この日遅ればせながら1軍に合流したのが“ドラ1”の渡部。体重112キロの巨漢と長打力が注目される通称「よくばり君」は昨秋の試合で右肩を痛め、キャンプは終始B班(2軍)暮らしだった。この日の1軍合流も、正式な昇格ではなく“お試し”の意味合いが強い。球団関係者によると、神奈川県内に住む両親は当初横須賀で行われる2軍戦を観戦に訪れる予定だったが、急きょ行き先をメットライフドームに変えた。

 ブランドンの後を受け、6回から三塁の守備に就くと本拠地のスタンドに駆け付けた4730人の観客から大きな拍手が沸き起こった。7回先頭での初打席は、広島の4年目右腕・ケムナに対し、最速150キロのストレートとスライダーでカウントを2-2とされ、初見の118キロのカーブを打ち損なって投ゴロ。8回の守備では高橋大の痛烈なゴロをはじき、初エラーのおまけまで付いた。

 どことなくユーモラスな雰囲気を漂わせ、存在感は抜群。辻監督も「ようやく野球ができるようになったので、どういう打撃をするのか見てみたくて呼んだ。凡打にはなったが、雰囲気があって将来が楽しみだと思います」と評したが、「まだまだ。(プロの世界は)そんなに甘くない」とも。17日の阪神戦(メットライフドーム)に引き続き出場するが、開幕1軍は難しいというのが現状だ。

 キャンプ終了後に2軍に合流した20年目・37歳の中村は、19日のDeNA戦(メットライフドーム)から1軍に復帰する見通し。とはいえ、昨年も右ふくらはぎの張りでキャンプからB班スタートとなり、シーズンも打率.213、9本塁打の不振に終わった経緯があり、無理はさせられない。

 イケメンのハーフが、故障で出遅れた元祖おかわり君とよくばり君をリードする展開。誰を取ってもキャラは立っている。出場機会を維持するためにいったん2軍戦に回っている佐藤龍世内野手を含め、シーズンを通してホットコーナーを占めるのは誰になるのだろうか。(宮脇広久 / Hirohisa Miyawaki)